交渉を妨害し後藤さんを見殺し! イスラム国事件で安倍政権が犯した3つの罪

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 では、なぜ日本政府はヨルダンを選択したのか。ひとつ確実なのは、これはアメリカの顔色をうかがった判断だということだ。「テロとの戦い」でアメリカに追従する安倍政権としては、親米で有志連合に入っているヨルダンに現地対策本部をおくのが当然と安易に考えていたのではないか。

 また、この判断には外務省の事情も関係したのではないかとささやかれている。今回の人質交渉を担っているのは外務省の中東アフリカ局はアラビア語の研修を受けたアラブスクール出身者が主流を占め、局長の上村司氏も元イラク大使館参事官。そのため、トルコルートを軽視し、省内の声を抑えて、ヨルダンにベースをおいてしまったのではないかといわれている。

 いずれにしても、この判断によって事態はさらに複雑になり、日本の単独意志で解放交渉ができなくなって、結局、後藤さんは殺害された。

 前出の内藤氏は1月27日、自身のツイッターでこのような推論を立てていた。

「(イスラム国が)恐ろしく狡猾だと思うのは、もしサージダ(・シャラウィ死刑囚)の解放などどうでも良いとすると辻褄が合う。つまり、この件で敵国ヨルダンを翻弄した挙句、パイロットを犠牲にすることで戦果を強調することが可能。日本政府が無策なことを見透かし、欧米の追従者に過ぎないことをアピールする。」

 良好だったヨルダン・日本の関係にクサビを打ち、かつ、日本がアメリカ側の国家にすぎないことをイスラム社会に喧伝する──これがイスラム国の狙いであったならば、今回の事件で日本政府は、まんまとイスラム国の思惑に乗ってしまったということになる……。

 しかも、こういう致命的なミスを犯しながら、安倍政権はそれをカバーするどころか、だめ押しとなるような3つ目の決定的な“ミス”を犯す。いまさら言うまでもない、安倍首相の中東歴訪でぶちあげた2億ドル支援だ。

 イスラム国による最初の殺害予告動画での身代金“2億ドル”要求は、明らかに、安倍首相のカイロでの「2億ドル支援」演説を受けてのものだった。

 政府は後になって人道支援であることを強調していたが、カイロの安倍首相の発言は明らかに戦闘的だった。「支援はISILの脅威を食い止めるため」「ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」と、軍事援助と受け取られかねない発言をしたのである。

 実はこれは発言だけでなく、2億ドルの中には人道支援以外の用途の資金が入っているとの見方もある。たとえば、エジプトのエルシーシ大統領との首脳会談で、安倍首相は「日本のISIL対策でのエジプトの国境管理能力強化のための50万ドルを含む、総額2億ドル規模の新規支援」を伝えている。この「国境管理能力強化のための50万ドル」は、軍備への資金提供と受け取られても仕方がないだろう。

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