“政権批判の学者狩り”が始まった!「正論」は“大学偏向ランキング”作成、杉田水脈議員は「反日学者に税金使わせるな」

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杉田水脈はジェンダー論研究者を“反日学者”よばわりし、科研費止めろ

 さらに杉田議員は、櫻井よしこ氏のネットテレビ『言論テレビ』のなかでも、「科研費が反日の人たちのところに使われている」と言いながら、山口二郎・法政大教授が他の研究者らとともに行なっている共同研究に多額の科研費がおりていることを問題視。これについては櫻井氏が「週刊新潮」(新潮社)4月26日号での連載でも「科研費の闇、税金は誰に流れたか」と題して取り上げ、〈山口二郎氏といえば2015年の平和安全法制に反対する集会のなかで「安倍に言いたい! お前は人間じゃない! 叩き斬ってやる!」と演説したと報じられた人物だ〉などと書き連ねた。

 つまり、杉田氏にしても櫻井氏にしても、その山口教授らによる研究内容には触れず、ひたすら「反日」「安保法制に反対した」などとがなりたてて「研究費の闇」なる妄想をぶちまけているのだ。ヤバいとしか言いようがない。

 まだある。杉田議員はTwitterでも、科研費助成事業のデータベースのURLを貼り付けながら〈人名を検索すれば誰がどんな研究で幾ら貰ったかすぐわかります。「慰安婦」とか「徴用工」とか「フェミニズム」とか入れて検索もできます。ぜひ、やってみてください!〉と投稿。最近では、ジェンダー論を専門にする牟田和恵・大阪大学教授に噛みつき〈国益に反する研究は自費でお願いいたします。学問の自由は大事ですが、我々の税金を反日活動に使われることに納得いかない〉などと攻撃していた。

 頭がクラクラしてくるが、ようするに杉田議員らが煽動しているのは、安倍政権が気に食わない学者たちをあぶりだして締め上げようとする言論弾圧だ。もはや「学問の自由」の侵害であるという指摘すら虚しく、とても正気の沙汰とは思えない。もはや、矢内原事件をはじめとする戦前・戦中の思想弾圧を彷彿とさせる“反日狩り”の様相ではないか。

 もちろん、こうした動きは極右議員や安倍応援団の勝手な暴走ではない。安倍自民党そのものが教員の思想弾圧に乗り出している。

 代表的なのが2016年、自民党がホームページで「学校教育における政治的中立性についての実態調査」と題して設置した“密告フォーム”だ。自民党は〈「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいる〉と書いて、これを〈偏向教育〉として通報させるフォームをつくった。つまり、この国の政府与党は、教員が「子供たちを戦場に送るな」と言う当たり前のことすら、「政治的中立」を騙って糾弾し、監視によって教育現場を統制しようとしているのだ。

 邪魔なものを「反日」「偏向」に仕立て上げる権力は、学者の研究を封じ、次に全て人の口を塞ごうとする。この国はすでに暗黒時代に片足を突っ込んでいるのである。

最終更新:2018.05.13 08:14

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