小泉純一郎が3.11に際して安倍首相の原発政策を批判! 元首相を「原発ゼロ」に駆り立てる本当の理由とは

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 1997年4月の参院厚生委員会ではこんな発言もしている。

「廃棄物の問題は、人間社会、どうしてもこれから環境保全ということを考えますと、解決していかなきゃならない最重要課題の一つだと思います。動植物の世界は見事なリサイクルの世界ですね。食うもの、食われるもの、生まれるもの、死にゆくもの、これがまさに神の見えざる手で、見事なリサイクル社会を形成している。ところが、人間社会だけですね、火を使う、道具を使う。確かに便利になったんですけれども、自らつくり出す文明の利器で、また大きな被害を被っている……」

 つまり、この「廃棄物」問題へのこだわりが、3.11、そして、オンカロへの視察を経て、原発への危機感を生み出したということだろう。

 また、小泉氏にはもうひとつ、原発ゼロを強く打ち出すバックボーンがあった。それは2002年4月、首相になったった直後に行ったある改革が物語っている。

 小泉改革といえば、ほとんどの人は郵政民営化を想起すると思うが、実は小泉氏が改革の第一弾として5月の閣議で全閣僚に指示を出したのが「すべての公用車を低公害車に切り替えよ」という方針だった。低公害車は当時の基準では、電気自動車、天然ガス車、メタノール車、ハイブリッド車で、政府は2000年度には公用車の10%を低公害車にする目標を定めていたが、実際は6%程度に留まっていた。それを一気に100%にしろというのだ。

 当時、ハイブリッド車を生産していたのはトヨタとホンダだけだった。官邸には「大臣や幹部の移動に使うには狭すぎる」「ガソリン車と比べて割高」といった“抵抗勢力”からの声が続々と届いたという。環境省の事務次官が「政府の公用車のすべてを低公害車に切り替えるには7年かかる」と説明すると、小泉は「こんなもんじゃダメだ。生ぬるい」と突き返した。

 自動車メーカー首脳と直接会って「低公害車の開発をよろしく」と打診する場面もあった。国会の所信表明演説でも、高らかにこう宣言している。

「私は21世紀に生きる子孫へ、恵み豊かな環境を確実に引き継ぎ、自然との共生が可能となる社会を実現したいと思います。おいしい水、きれいな空気、安全な食べ物、心休まる住居、美しい自然の姿などは、我々が住む生活です。自然と共生するための努力を、新たな成長要因に転換し、質の高い経済社会を実現してまいります。このため、環境の制約を克服する科学技術を開発・普及したいと思います。環境問題への取り組みは、まず身近なことから始めるという姿勢が大事です。政府は、原則としてすべてに公用車を低公害車に切り替えてまいります」

 つまり、小泉氏はかなり前から、地球環境を守り、 自然と共生するための技術開発を新たな成長要因にするということを政治信念にもち、その実現にこだわってきたのである。

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