辛坊も松井も安倍も…注意!「百田尚樹の言論の自由」を叫ぶ者こそが言論弾圧を狙っている!

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 朝日も毎日も百田の具体的発言を普通に批判しているだけで、「百田氏をつぶせ」「言論の機会を与えるな」などとは一言も言っていない。むしろ筆者から見ると、そのトーンは生ぬるいとさえ思えるほどだ。

 沖縄選出議員や沖縄の市民にしても同様だ。彼らは百田から「普天間基地が出来た後に住んで騒いでる」といった事実無根の侮辱を受けながら、発言の撤回と謝罪を求めているだけで、百田の言論の機会を奪え、などとはけっして言わない。みんな一応、節度をもって百田を批判し、抗議をしている。

 しかし百田はちがう。政権与党の議員たちにはっきりと、沖縄の新聞を「絶対つぶさなあかん」と提言したのだ。これは、沖縄の新聞の論調を批判したとか、事実関係の間違いを指摘したとかいうレベルの話ではない。言論の場所や機会そのものをつぶせ、と言っているのだ。「言論弾圧だ」と批判されて当然だろう。

 しかも、こういう言葉を叫んでいるのは、百田だけじゃない。言論の機会や場所をつぶせ!という煽動は今、百田擁護を口にしている右派の言論人、メディアの専売特許となっている。たとえば、朝日の従軍慰安婦問題のとき、彼らが何を言ったか、思い出してほしい。

 百田や櫻井よしこ、そして右派メディアやタカ派政治家が一斉に「朝日新聞を潰せ」「廃刊しておわびしろ」と叫び、「売国奴」「万死に値する」などと、戦中の非国民狩りを彷彿とさせるような恫喝の台詞を口にしていた。

 また、彼らの言論拠点である花田紀凱の雑誌「WiLL」には、「韓国人を永久に黙らせる」などといった、ジェノサイドを想起させるような見出しまで踊っている。言論弾圧というのは、こういう言葉のことをいうのである。

 自分たちがこんな露骨な言論弾圧を煽動しながら、少しでもメディアから批判を受けると、「言論の自由を奪われた」「言論弾圧だ」と騒ぎ出す――。まったく、その被害妄想とご都合主義にはうんざりさせられるが、彼らにはもうひとつ、話をごまかしていることがある。

 それは、百田がこの台詞を発言した場所だ。百田がたんに「WiLL」やら「正論」やらの右翼雑誌でこの台詞を叫んだだけであれば、ネトウヨ脳同士で仲良く盛り上がってくれ、という話であって、いちいち、目くじらたてるようなことではない。実際、百田は勉強会の前に、メールマガジン等でも同内容の発言をしていたが、まったく問題になっていない。

 しかし、百田がこの台詞を語ったのは、政党交付金を受けているれっきとした公党、しかも政権与党の勉強会なのだ。それも、普通の勉強会ではない。この「文化芸術懇話会」は、産経新聞に掲載された若手議員の談によると、「首相の再選を拒む“邪魔者”の排除が懇話会の役割。いわば首相の応援団」であり、木原稔・党青年局長、萩生田光一・総裁特別補佐ら安倍首相の側近中の側近が中心になって設立。“安倍チルドレン”と呼ばれる直系議員が多数参加していた。

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