国有財産を無償で独占使用するマスコミ=記者クラブの不透明な実態が発覚!

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 白石さんが裁判を起こしたのは2012年9月29日のことだった。国と国会記者会を相手取って、報道の機会を喪失したことに対する損害賠償を求めたのだ。

 裁判の過程でさまざまな問題点が指摘された。ポイントのひとつは、なぜ、本来は「公」の施設であるはずの国会記者会館を、NHKや私企業である新聞社・放送局の社員で構成される国会記者会なる団体が「無償で自由に」使っているのかという点だ。会館は1969年に衆議院事務局が5億6379万円をかけて建設した。2階から4階に新聞社や放送局が入居する部屋があり、それぞれの会社がまるで支局のようにして使っている(しつこいがタダで)。

 それどころか、そもそも国の財産でありながら、記者会に加盟していないメディアに対して高額な家賃を取ってまた貸ししていることもわかった。さらに問題なのが、あれほど大きな国有財産の管理を任されていながら、国会記者会は登記もしていない単なる任意団体で、会計報告などの情報公開をいっさいしていないことだ。テレビ、地方紙、全国紙、通信社の4社の政治部長が持ち回りで常任幹事を担当し、会館の運営を決めていた。あまりにも不透明だ。

 ちなみに、これほど杜撰に管理された国有財産は他にはない。

 国と国会記者会が会館の運営に関して契約らしきものを交わした形跡もなかった。唯一、建物が完成した際に衆議院が国会記者会に通知した「国会記者事務所の使用について」と題するわら半紙に印刷された古びた文書があるだけだった。第一条「使用の目的」には「国会関係の取材のための新聞、通信、放送等の記者用事務室」と記載されており、第三条の「使用料」には「無料とする」と書かれていた。そして第八条2項に、次のように記されていた。

「建物の使用目的に鑑み、国会記者会加盟社以外についても衆議院が必要と認めるものは、使用できるものとし、この場合においても国会記者会が運営管理に当たるものとする」

 この通知に従えば、白石さんらの行政処分の申請は許可されるべきだった。しかし、そうならないのは、建物を所有している国(衆議院)よりも、管理を任されている存在に過ぎない国会記者会(政治部)の方が力関係では「上」だからだ。各社の政治部記者は政治家とも近い。大手メディアの政治部連合体を敵に回すことを怖れて、国有財産の私物化状態が放置されているのである。要するに、既得権だ。

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