まるでゾンビのように…「エボラ出血熱」報道されない恐怖のディテール

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
ebola_01_141017.jpg
『ホット・ゾーン──「エボラ出血熱」制圧に命を懸けた人々』(飛鳥新社)

 西アフリカで過去最大規模の感染拡大を続けるエボラ出血熱は、ついにアメリカにまで上陸する事態となっている。エボラ患者に対応したアメリカの医療関係者が二次感染したのだ。これまでアフリカの一部の地域に止まっていたエボラの拡大に先進国は震え上がった。

 しかしエボラの世界的な感染、パンデミックの危険性は既に20年前から警告されていたことだ。それがエボラの恐怖を描いたノンフィクション『ホット・ゾーン』(リチャード・プレストン/高見浩訳/飛鳥新社)だ。今回の感染拡大を受け復刻版も刊行されたが、それにはエボラウイルスが人類にとって、どれほどの脅威かが余すことなく描かれている。本書の舞台は1989年のアメリカバージニア州レストン。ここで熱帯地域から輸入されてくるサルの検疫所でエボラ感染によるサルの大量死が起こる。これに対しアメリカ陸軍は総力を挙げこれを鎮圧していくというものだ。そこには鎮圧作戦に関与した軍関係者、医療関係者のウイルス感染への“恐怖”も描かれており、まさに予言のノンフィクションといえるものだ。

 なかでも戦慄させられるのはエボラに感染した人々の症状のディテールだ。これまでの報道で、エボラの致死率の高さ、脅威はさかんに喧伝されているが、しかしエボラが人間の人体にどんな悲惨な状況を引き起こすのか、どうやって肉体を死滅させていくかは、あまり具体的には伝えられてこなかった。それはまさに恐怖としかいいようのないもので、その詳細を報道するのがはばかれるからなのかもしれない。しかし本書によるとそれは予想以上に破壊的でセンセーショナルでさえある。

 犠牲者のひとり、ケニア西部に暮らすフランス人のシャルル・モネの症状を紹介しよう。彼はガールフレンドと国立公園に野営し、洞窟に入った。

「段々状の岩盤は緑色の粘ついた物体で覆われていた。それはコウモリの糞だった」

 モネは洞窟を訪ねてから7日後に頭痛を感じた。それは「眼球の奥に疼くような痛み」だった。

「頭痛はひどくなる一方だった。眼球が痛み、こめかみも痛みはじめた。痛みは頭の内部をぐるぐる回転しているようだった」

 さらに背中に激痛を覚え、吐き気を覚え、熱が出て、嘔吐する。それだけでなく奇妙な外形的な激変も始める。

「表情が顔から失われ、眼球が麻痺したように固定した結果、顔全体が仮面に似てきた。おまけに目蓋がやや垂れ下がり、目が半ば閉じながら飛び出したような、妙な様相を帯びた」

 モネはまるでゾンビのようになったという。また眼球は真っ赤に充血し、顔の皮膚は全体に黄ばみ、赤い星のような斑点も出る。モネは治療のために飛行機に乗った。しかしそこでも上体を折る姿勢となり嘔吐を繰り返した。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

ホット・ゾーン――「エボラ出血熱」制圧に命を懸けた人々

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

まるでゾンビのように…「エボラ出血熱」報道されない恐怖のディテールのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。ノンフィクション医療林グンマの記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 安倍が横田早紀江さんを無視している
2 ペジー社・齊藤容疑者が櫻井よしこと
3 生活保護カットで他の低所得者も困窮
4 アンゴラ村長「顔や生まれ蔑む笑い」批判
5 さんま「戦争に税金使うな」と国税に抗議
6 カズオ・イシグロがネタバレ自粛に疑義
7 美智子皇后が誕生日談話で安倍にカウンター
8 富岡八幡宮、祖父は日本会議前身の中心
9 ノーベル賞授賞式で被爆者出席も安倍政権が
10 昭恵の無神経と籠池夫妻の勾留長期化
11 エルサレム問題で安倍がトランプのポチ
12 北原みのり逮捕の原因は安倍批判?
13 田崎とケントに自民党からカネが!
14 流行語大賞の欠席続出はネトウヨのせい
15 山口敬之氏のスポンサーが逮捕された!
16 櫻井よしこは「神社」に住んでいた! 
17 蓮池透氏がさらに安倍の詐術を批判!
18 文春「慰安婦像の正体」報道は完全なデマ
19 山口敬之との関係を質された安倍首相が
20 北朝戦争に”NO”を言わない安倍政権
1田崎とケントに自民党からカネが!
2さんま「戦争に税金使うな」と国税に抗議
3山口敬之との関係を質された安倍首相が
4山口敬之氏のスポンサーが逮捕された!
5義家前文科副大臣が学校法人から献金
6安倍首相、森友加計の虚偽答弁を訂正せず
7加計獣医学部で特別扱いが次々露呈
8北朝戦争に”NO”を言わない安倍政権
9昭恵の無神経と籠池夫妻の勾留長期化
10安倍、麻生、稲田らのデタラメ政治資金
11安倍が横田早紀江さんを無視している
12安倍が朝日攻撃で森友加計追及封じへ
13ペジー社・齊藤容疑者が櫻井よしこと
14ノーベル賞授賞式で被爆者出席も安倍政権が
15SF慰安婦像問題と日本の歴史修正主義
17富岡八幡宮、祖父は日本会議前身の中心
18大林宣彦「青春は戦争の消耗品ではない」
19エルサレム問題で安倍がトランプのポチ
20「森友加計は朝日の捏造」本を自民党が

人気連載

アベを倒したい!

室井佑月

連載一覧へ!

アベを倒したい!

ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100

ブラック企業被害対策弁護団

"驚愕のブラック"マッサージチェーン! 4日間睡眠時間ゼロの社員研修、会議の締めに男性社長と強制ハグ...

ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄

"体育会系相田みつを"松岡修造は本当に「ブレない男」なのか? 年を追うごとに変わっていく修造語録を読み解く

「売れてる本」の取扱説明書

ネット右翼の15年

野間易通

高市早苗はいかにして"ネオナチ"と出会ったか

ネット右翼の15年

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

戦争を放棄せよ! 軍事力がなくても侵略と闘う方法はある、自由のために闘える!

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」