失態続きの「アジア大会」に新事実 大会運営を大阪万博で工費未払いトラブルの仏イベント会社に630億円で発注していた

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アジア大会公式HPより


 開催中の愛知・名古屋アジア競技大会(アジア大会)で、失態が相次いでいる。
まず、大きな問題になったのが、各国選手の歓迎行事に、朝鮮侵略をおこなった豊臣秀吉のキャラクターを登場させたこと。当然ながら、韓国オリンピック委員会から強い抗議を受け、組織委員会が釈明する事態となった。

 ほかにも、18日のホッケー男子で韓国の試合前に北朝鮮国歌を流したり、近代五種の男子団体で金メダルを獲得した韓国のことを「Republic of China(=中華民国)」とアナウンスしたりと、国際問題に発展しかねないようなミスを連発。SNSでは「嫌韓の差別主義者が運営しているのではないか」との声まで出る始末だった。

 しかし、これらは氷山の一角で、そもそも今回のアジア大会は全体的に不手際、不備だらけなのだ。

 たとえば、ロジスティクスのトラブル。各国の選手に迎えのバスが来ず、空港で数時間待たされたり、前日練習ができなくなってしまったケース、別の競技会場に連れていかれてしまったというケースなど、一つや二つではない。

 施設も不備・不手際が頻発している。大会会場になった愛知県小牧市の「パークアリーナ小牧」では、設営業者のミスによって、メインアリーナの設置済み照明器具156台すべてが壊れてしまうという事故も起きた。

 さらに多いのが、選手の宿泊施設への不満の声だ。今大会では新たな選手村を建設せず、各国の選手や関係者をコンテナを改造した施設、クルーズ船のチャーター、市内のホテルに分散させて泊まらせているのだが、このうちコンテナは異常に狭い上、水漏れなどの不備も発生。クルーズ船も乗船に6時間以上かかって、乗船をあきらめる選手が出る事態となった。

 宿泊施設については、不備どころではない。想定人数が甘く施設が足りなくなったのか、オペレーションの問題なのか、自力で宿泊先を探すよう求められたケースも続出していたという。

“日本スゴイ”が幅を利かせているワイドショーやSNSでは、他国で国際スポーツ大会が開催されると、よく、その不手際や不備をあげつらって「恥ずかしくないのか、日本ならこんなことはあり得ない」などと嘲笑っているが、今回はその“上から目線”が恥ずかしくなるお粗末ぶりといってだろう。

 しかも、今回の愛知・名古屋アジア大会にはたんに不手際が多いだけでなく、もう一つ大きな問題がある。
 
 それは、大阪・関西万博で下請け業者への「工費未払い」というトラブルを引き起こしているあのイベント業者が、大会運営を630億円という巨額で受注していたことだ。

アジア大会運営受託の「GLイベンツ」は大阪万博の4パビリオンで工費未払い係争中

 愛知・名古屋アジア大会の運営を630億円で受注していることが判明して問題になっているのは、フランスに本社を置く「GLイベンツ」の日本法人。フランスでは、スタッド・ド・フランス(国立競技場)の運営管理を委託されるなど、有名なイベント企業だとされているが、今回のアジア大会運営では、ありえないミスを起こしている。

 それが、前述した「パークアリーナ小牧」照明器具の全156台破損だ。これは電気系統の故障などが原因ではなく、会場の設営を担当する「GLイベンツ」が大会で使う仮設発電機のテストをした際、照明器具の耐圧を上回る400ボルトの電圧をかけるという信じがたいミスの結果だった。

 お粗末としか言いようがないが、実は、この会社、大阪・関西万博ではもっと大きなトラブルを引き起こしている。

 GLイベンツは、大阪万博で6つのパビリオンの建設を元請として受注していたが、うち4つのパビリオンをめぐって、下請け業者から「工費未払い」の告発を受け、係争中なのだ。

 しかも、訴えている下請け業者は1社ではない。マルタ館では、施工した京都の建設会社が2025年6月に約1億1800万円の支払いを求めて提訴。セルビア、ドイツ両館を手がけた大阪市の建設会社は25年8月に、約3億3000万円を求めて提訴。ルーマニア館を手がけた別の大阪市の建設会社は、25年6月の会見で約1億2500万円の未払いを訴えた結果、GL側が未払いがないことの確認を求めて提訴している。

 しかも、訴状や会見の内容を見ると、未払いの大きな原因は、同社のずさんで強引な施工指示・管理にあった可能性が高い。下請け業者たちが一様に、GLイベンツ側がまともに設計図を用意していなかったこと、工事内容に変更があっても契約書を交わさずに口頭で済まされたこと、クライアントが気に食わないからと工事を何度もやり直しをさせたこと、にもかかわらずその対価である工費を払おうとしなかったことなどを告発しているからだ。

 こうした告発が事実なら、GLイベンツの行為は建設業違反に当たる可能性もある。しかも、未払いの結果、これらの下請け業者の多くは経営危機に陥り、なかには、それが原因で、従業を減らさざるを得なくなったり、経営者が離婚に追い込まれ子どもと別々に暮らさざるをえないケースも出ていた。

 そういう意味では、この未払いはGLイベンツだけの問題ではなく、同社に発注した万博協会や事実上の開催主体である大阪市・大阪府、そして日本政府の責任でもある。実際、万博開会中から、マスコミや府議会もこの問題を追及していた。

 ところが、万博協会の副会長でもある吉村洋文大阪府知事らは、解決に乗り出す姿勢を微塵も見せず「民と民の問題」と突き放してきたのである。

 信じられない無責任ぶりだが、もっと呆れたのは、GLイベンツに、今回、アジア大会という大きな国際イベントの運営業務を発注していたことだろう。

国費や県から巨額の金が投入されるアジア大会がなぜトラブル渦中の企業を運営に使ったのか

 アジア大会の大会経費は、当初、1200億円と見込まれていたのが、3700億円と、3倍超に膨れ上がり、愛知県の財政調整基金から800億円を取り崩し、国費136億円も投入されている。

 そんな巨額の公費を投入するイベントに、万博の工費未払いというトラブルを抱えた企業をまたぞろ使っていいのか。

 しかも、今回のGLイベンツの受注額は630億円と巨額であるにもかかわらず、競争入札でなく随意契約である。同社がアジア大会に22億円の協賛金を出し、最上位のスポンサーになったことが決め手だったといわれているが、22億円支払ったら、入札なしに630億円の仕事が受注できたというのは、どう考えても不自然すぎるだろう。

 もちろん、GLイベンツにアジア大会の運営業務を巨額発注していたことについては、早くから疑問の声が上がっていた。2025年11月には、れいわ新選組の大石あきこ共同代表(当時)が、翌12月には、共産党の辰巳孝太郎衆院議員が国会でこの問題を追及している。

 中でも、辰巳議員は重要な事実を指摘していた。万博工事の工費未払い訴訟の訴状で、業者側が支払いを求めた際、GLイベンツから「アジア大会への多額の協賛金を支出したばかりのタイミングのため、現時点では請求を支払うだけの資力がない」との弁明を受けたことを明らかにしていたというのである。

 これが事実なら、GLイベンツが未払いを起こした要因の一つに、アジア大会への参入があったということになる。

 ところが、こうした問題が明らかになり、批判の声が上がったにもかかわらず、愛知名古屋アジア大会の組織委は、GLイベンツへの発注を止めようとはせず、そのまま運営の重要な部分を任せてしまったのである。これは、明らかにおかしいだろう。

 しかも、問題なのは、こうした不可解な発注を追及しようという動きが、せいぜい共産党とれいわ新選組くらいで、自民・維新はもとより、他の主要野党もほとんど反対の声をあげなかった。

 マスコミも同様だ。GLイベンツへの発注を追及しないのはもちろん、前述したように、このアジア大会は、136億円の国費や、800億円の愛知県の金が注ぎ込まれようとしているのに、ほとんど問題にしない。それどころか、相次ぐ不手際すら、テレビも大手ネットニュースもまともに取り上げようとしない。

 この国は、いつのまにか、権力がどんな無駄遣いをしようが、どんなデタラメな政策を強行しようが、なんの追及も受けず、嘘と不正が堂々とまかりとおってしまう、まるで独裁国家並みの状況になっているのかもしれない。

最終更新:2026.09.23 04:36

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