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高市早苗と赤旗が「政治資金規正法違反」報道でバトル! 高市が「赤旗」をデマ呼ばわりも領収書偽造や隠蔽工作の実名証言が次々
高市早苗公式HPより
同性婚をめぐる荒井勝喜・首相秘書官の差別発言で、大批判を浴びている岸田政権。だが、岸田政権にはいま、もうひとり、閣僚が追い詰められている。
大手メディアは大きく報じていないが、じつは、高市早苗・経済安全保障担当相が政治資金規正法違反の疑いで刑事告発された上、高市大臣側が疑惑隠蔽のために「虚偽の領収書」を発行したという疑惑を「しんぶん赤旗 日曜版」が報道。ところが、高市大臣はこれを認めようとせず、「赤旗」の報道をデマ呼ばわりしたところ、さらなる証言を突きつけられるという事態に発展しているのだ。
まず最初に、これまでの流れを整理しよう。事の発端は昨年、高市氏と、高市氏が代表を務める自民党奈良県第2選挙区支部の会計責任者(高市氏の公設第一秘書)を、上脇博之・神戸学院大学教授が政治資金規正法違反の疑いで奈良地検に刑事告発をおこなったことにはじまる。
告発状などによると、第2選挙区支部は、2019年3月17日に大阪市で、2021年7月24日に奈良市で、それぞれ政治資金パーティを開催。対して、高市氏の選挙区である奈良県山添村の「自民党山添村支部」は、第2選挙区支部に「パーティチケット購入」費として各22万円を支出したことを政治資金収支報告書に記載していた。ところが、各22万円を受け取っているはずの第2選挙区支部の政治資金収支報告書には、山添村支部からの収入が記載されていなかったのだ。
政治資金規正法では、1回の政治資金パーティで同一の者から20万1円以上のパーティ券の収入があった場合、金額や相手の名前などを記載することを義務付けており、不記載には5年以下の禁錮または100万円以下の罰金という罰則が設けられている。つまり、この高市氏が代表を務める第2選挙区支部には政治資金規制法違反にあたる不記載の疑いがあるとして、上脇教授は奈良地検に告発をおこなったのだ。
政治資金規正法違反といえば、昨年末、自民党の薗浦健太郎衆院議員が政治資金パーティの収入を約4900万円も過少記載していたことが判明して議員辞職に追い込まれたことが記憶に新しいが、じつはこの一件も上脇教授が政治規制法違反の疑いで2021年に東京地検に薗浦氏の告発状を出したことがきっかけだった。
ただ、じつのところ、パーティ券収入が記載されていないという問題はとくに自民党議員に頻発しており、メディアなどから不記載の指摘を受けると議員の事務所側は「事務的なミス」「確認漏れだった」と言い訳し、「直ちに訂正する」などと対応することで違法性の追及から逃げ、有耶無耶にしてきた。
ところが、高市大臣は今回の政治資金規正法違反の告発に対し、驚きの対応に打って出る。
違法の証拠である領収書が差し替え! 高市早苗大臣に都合のいい内容に…
この告発を受けて「しんぶん赤旗 日曜版」編集部が、昨年より取材を開始したところ、高市氏が代表を務める第2選挙区支部の会計責任者が、12月16日におこなわれた同編集部の取材に対し、奈良地検から呼び出されたことを認めながらも、「山添村支部に販売したパーティー券は、19年は20万円分、21年は12万円分だ。先方が勘違いして22万円と記載した」と主張したのだ。
しかし、「赤旗日曜版」は、2019年に山添村支部が第2選挙区支部に22万円を支出したことを示す振り込み明細と、2021年に山添村支部から第2選挙区支部が22万円を受け取ったことを示す領収書の写しを入手していた。また、購入した側の山添村支部の会計責任者も赤旗の取材に「支部では(パーティー券を)11枚購入し、11人が参加した。高市さん側から案内があり、行く人を募ったところ、11人だった」と具体的に証言していた。
ところが、高市大臣が代表を務める第2選挙区支部側は「山添村支部側が間違っている」「山添村支部には12万円分しか買ってもらっていない」などと主張。
しかも、「赤旗日曜版」の取材から3日後、山添村支部が高市大臣側の主張どおりに2021年分の政治資金収支報告書を訂正したのだが、「赤旗日曜版」によると、〈違法の疑いの“証拠”である22万円の領収書を、編集部の取材後に第2選挙区支部が再発行した12万円分の領収書に差し替え、奈良県選挙管理委員会に提出〉したという。
「赤旗日曜版」は、この「領収書差し替え」について、1月15日号で〈違法の疑いの“証拠”を“亡きモノ”とした〉と指摘。上脇教授も「山添村支部の支出が22万円だった場合、高市氏側の不記載となる。その訂正を免れるため高市氏側が虚偽の領収書を再発行し、山添村支部側に虚偽の報告をさせた疑いが出てくる」「領収書は支出側と受領側が取り交わした証明書だ。告発後に違法の“証拠”となる領収書を差し替えるなど聞いたことがない。違法性を否定するために虚偽の領収書を発行したとすればこれ自体が重大問題だ」とコメントした。
だが、この「赤旗日曜版」の報道に高市大臣は強気の姿勢に出た。13日におこなわれた閣議後会見で、日本テレビの記者がこの問題について質問すると、「まったく事実ではない」「『(領収書を)差し替えた』という件に強く抗議したい」「強く憤っている」と報道を否定。さらに、高市大臣は、1月16日にこうツイートした。
〈共産党の「赤旗」の報道で大迷惑をしていますが、私が支部長を務める自民党奈良県第二選挙区支部は、正しい領収書を発行し、正確な収支報告をしています。事務的ミスをした他の地域支部が収支報告を修正したまでの話です。〉
つまり、高市大臣は「領収書差し替え疑惑」を全面否定し、報道に対し「強く憤っている」「大迷惑をしている」と怒りをあらわにしたのだ。
しかも、高市大臣のこうした“怒りの表明”によって、高市応援団やネトウヨまとめサイトなどは「しんぶん赤旗がデマ!」「赤旗はデマで高市さんを引き摺り下ろす作戦したが失敗しました」「赤旗はちゃんと訂正したの?」などと赤旗の報道をデマ扱い。他のマスコミも後追いや疑惑を深掘りすることはなかった。
高市早苗大臣は「山添村支部のミス」と説明するが、そんなミスあり得るのか?
だが、高市大臣が“身の潔白”のためにおこなった説明は、かなり不自然なものだった。
まず、高市大臣の説明によると、第2選挙区支部が22万円を集金した際に山添村支部宛で領収書を発行したが、そのあとすぐに電話がかかってきて「山添村支部で購入した分は12万円分。あとは個人がそれぞれ自分のお金で購入したので個人宛で領収書を送ってほしい」と言われた。そのため山添村支部宛に12万円分の領収書と計10万円分の個人宛の領収書を発行した。つまり、山添村支部からの支払いは22万円でなく10万円も少ない12万円であり、領収書を再発行したのは告発後ではなく2021年7月当時だったと主張した。
さらに高市大臣は、こうも説明した。
「山添村支部の状況を聞いたら、毎年、総会のたびに会計責任者が変わっている。お金の出入りがあった時期と収支報告を作成する時期は違うので、全然違う人が(会計責任者を)やっている。なので、たまたま先に発行して廃棄してくれと言った22万円のほうの領収書を使って、向こう(山添村支部)は報告書をつくってしまった」
ようは、すべて山添村支部のミスと体制に問題があって、高市大臣側は何ら間違いはなかったと主張しているわけだ。
しかし、この主張に対し、上脇教授は「収支報告書を提出した際の会計責任者は当時、事務担当者だった。領収書を切りなおすという出来事を知らないはずがない」「年間収入が数十万しかない山添村支部で、収支が10万円もあわなければ、すぐに誤記に気が付くはずだ」と指摘(「しんぶん赤旗 日曜版」1月22日号)。朝日新聞(1月14日付)によると、〈与党内からは「これはダメだ。大丈夫なわけがない」との声が出た〉という。
しかも、高市大臣は「しんぶん赤旗 日曜版」最新の2月5日号で新たな疑惑と証言を突きつけられることになった。
高市早苗大臣側の偽装工作をうかがわせる実名証言が続々と…
前述したように、高市氏が代表を務める自民党第2選挙区支部のパーティをめぐっては、領収証を差し替えた2021年だけでなく、2019年にも山添村支部が22万円を支出。同支部が2019年3月15日、第2選挙区支部に22万円を一括で支払った際の払込票兼受領証も残っていた。
しかし、高市大臣がTwitterで「赤旗の報道に大迷惑をしている」と投稿したのと同じ1月16日には、奈良県選挙管理委員会のHPに山添村支部が訂正した2019年分の政治資金収支報告書が掲載。昨年11月22日に山添村支部はこの払込票兼受領証を削除し、第2選挙区支部が新たに発行した20万円の領収書に差し替えるかたちで、奈良県選挙管理委員会に収支報告書の訂正をおこなっていたのだ。
そして、「赤旗日曜版」編集部が山添村支部を取材したところ、疑惑隠蔽のための偽装工作をうかがわせる証言が次々と浮上したのである。
差し替えられた領収書の日付は、2019年3月15日となっていたが、収支報告書の訂正をおこなった2019年当時の事務担当者である大谷敏治・山添村議が取材に対し、このような証言をおこなった。
「(訂正は)高市事務所とのやりとり(がきっかけ)」
「(20万円の)領収書は、昨年11月の告発後に高市事務所が新たに発行したものを受け取った」
なんと、上脇教授が不記載の疑いで刑事告発した昨年11月以降に、高市事務所が領収書を新たに発行していたというのだ。
しかも、高市サイドの偽装工作疑惑を証言したのは大谷村議だけではなかった。訂正をおこなった収支報告書には、訂正印として山添村支部の現在の会計責任者である西忠護・山添村議の名字である「西」のハンコが押されているのだが、当の西氏もこう証言したのだ。
「19年、21年のいずれの訂正も私は関与しておらず、詳細も聞いていない。大谷さんが訂正するような話は聞いたが、『西』のハンコは私が貸したものではなく、大谷さんが用意した。(20万円の)領収書も見たことがない」
さらに、2019年6月から2022年2月まで同支部の会計責任者を務めた向井秀充・元山添村議も、こう証言している。
「山添村支部の2019年分の収支報告書は私が作成した。しかし20万円の領収書など見たことがない」
「19年分の収支報告書は奈良県選管に提出する前に自民党奈良県連にも確認してもらった。収支報告書は会計帳簿や資料をもとに作成しており、根拠がある。訂正には根拠がないと思う」
そればかりか、山添村支部の現在の代表者である福井新成・元山添村議も、こう述べているのだ。
「訂正は(赤旗)日曜版報道で知った。事前にも事後にも報告はなかった」
つまり、これらの証言をまとめると、刑事告発をされて高市氏側は慌てて20万円の領収書を発行し、山添村支部の現在の代表者や会計責任者が知らないなか、高市氏に違法性が問われないかたちに訂正された収支報告書が選管に提出されていた疑いがあるのだ。
その上、新たな疑惑を突き止めた「赤旗日曜版」編集部の質問に対し、高市事務所は回答せず。1月13日の会見で高市大臣は「赤旗からの取材にも誠意をもって対応している」と主張していたにもかかわらず、だ。
虚偽の領収書差し替え疑惑に、国民に対する虚偽説明の疑惑──。そもそも高市大臣にはこれまでも、約875万円の収入の不記載問題や高市後援会企業の不透明融資問題など、カネをめぐる疑惑がたびたび浮上。また、最近は「嘘つき」疑惑も話題に。昨年、会合で高市大臣が「(安倍晋三・元首相の)国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだった」と発言したと三重県議が投稿したことに対し、高市大臣は「そのような発言をすることはない」「そもそも大陸という言葉は使わない」などと否定したが、「AERA.dot」の取材に対し、会合に出席したある市議は、高市大臣からその旨の発言があったことを証言したからだ。
しかも、問題は言い逃れの嘘にとどまらない。もし、高市大臣側が、政治資金規正法違反から逃れるために虚偽の領収書を発行していたとなれば、これは証拠の捏造とも言うべきとんでもない重大問題だ。捜査の進展に注目するだけでなく、高市大臣には収支報告書の訂正にいたった経緯をはじめとして、しっかりと説明する責任があるのは言うまでもない。
(編集部)
最終更新:2023.02.06 07:31
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