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厚労省23人会食で更迭処分なら、菅首相と二階幹事長らのステーキ宴会は…官僚に責任とらせ政治家は不問の矛盾 接待問題でも
自由民主党公式サイトより
大きな非難が巻き起こっている、厚労省の職員23人が深夜0時ごろまで送別会と称して宴会を開いていた問題。厚労省は会合を主催した老健局老人保健課の真鍋馨課長を減給1カ月とした上で大臣官房付に異動させるとし、事実上、更迭する処分を下した。
国民には「歓送迎会の自粛」や「会食は家族または4人以内」などと呼びかけておいて、当の厚労省がそれをあっさり破って大宴会をおこなっていたのだから、批判や田村憲久厚労相の監督責任を問う声が起こるのは当然だ。
だが、そんななかにあって、「お前には批判の資格はない」とツッコまざるを得ない人物がいる。菅義偉首相と自民党の二階俊博幹事長だ。
菅首相は昨日31日におこなわれた衆院内閣委員会で、今回の厚労省宴会問題について「国民に申し訳なく、心からお詫びする」と答弁し、田村厚労相に対して「膿を出して国民の信頼に応えるよう取り組んでほしい」と述べた。
「膿を出して」とはよく言ったものだ。忘れた人はいないと思うが、菅首相といえば、政府が「5人以上の会食は感染リスクが高まる」と国民に注意を促し、東京都が大人数の会食を避けるよう呼びかけていた最中の昨年12月14日、銀座の高級ステーキ店で自民党の二階俊博幹事長や林幹雄幹事長代理、福岡ソフトバンクホークスの王貞治・球団会長や俳優の杉良太郎、みのもんた、政治評論家の森田実氏らと忘年会と称して会食し、非難を浴びた張本人だからだ。
この「不要不急のステーキ忘年会」に批判が殺到すると、菅首相は同月16日に「国民の誤解を招くという意味においては、真摯に反省している」などと釈明。「国民の誤解」と国民に責任転嫁した菅首相への批判がさらに高まったが、しかし、驚くべきことに、菅首相は「反省」を口にしたあと、その足で永田町のザ・キャピトルホテル東急に向かい、日本料理店「水簾」で横浜銀行の大矢恭好頭取、大久保千行顧問と会食。その上、菅首相はつづけて東京・日比谷公園のフランス料理店「日比谷パレス」に移動すると、政治ジャーナリストの田崎史郎氏や小田尚・読売新聞東京本社調査研究本部客員研究員、粕谷賢之・日本テレビ執行役員と「ハシゴ会食」した。
厚労省会食を批判した菅首相と二階幹事長の厚顔! 自分たちの宴会では責任もとらず開き直ったのに
「反省」などと言っておいて、感染拡大期に“5人以上の大人数じゃないから”と開き直ったかのように会食に出かける──。ご存知のとおり、東京都はその後も感染者数が右肩上がりとなり、大晦日に1353人、年明け1月7日には2520人と衝撃の数字を叩き出した。無論、この数字は、コロナ対策のトップに立つ菅首相が忘年会に出かけるという「模範」を国民に示したことも大きな要因になったのは間違いない。
ようするに、菅首相自身が国民への呼びかけを堂々と破り、第3波の呼び水となるという「膿」そのものであったというのに、何の処分も受けず、いまでは何事もなかったかのように「膿を出せ」などと指示しているのである。
二階幹事長も同様だ。二階幹事長は今回の問題を受け、30日の記者会見で「皆の協力をいただいている役所。普通の標準的な常識があるんだろうから、しっかり反省して対処してもらいたい」と苦言。だが、「ステーキ忘年会」批判に対して、「飯を食うために集まったんじゃない」などと口にしていた人間が何を言うか、という話だ。
しかも、二階幹事長といえば、3月22日に自民党所属の国会議員に対して会食自粛の要請を緩和する通達を出したばかり。1月に出された通達では人数問わず「飲食を伴う会合への参加を控え、20時以降の不要不急の外出自粛」を求めていたが、今回の通達は〈大人数での会食を控え、感染拡大防止に最大限配慮するよう求める内容〉(東京新聞3月22日付)となっており、事実上の「会食解禁」だ。
このように、菅首相や二階幹事長が繰り広げた大人数忘年会の問題は、国民に注意や自粛を呼びかける立場にあるのにそれを破ったという意味では、厚労省の宴会問題とまったく同じ。いや、年末年始の感染爆発を考えれば、菅首相の行動が国民に与えた影響は計り知れないほど大きい。なのに、菅首相や二階幹事長には何の処分もなく、官僚は更迭処分を受けるというのは、あまりにも理不尽ではないか。
東北新社やNTT接待でも武田良太総務相や野田聖子、高市早苗にはおとがめなし
そして、これは東北新社やNTTからの接待問題においても同じことが言える。東北新社やNTTから国家公務員倫理規程に違反する高額接待を受けていたことが発覚した谷脇康彦・総務審議官は事実上の更迭となり、辞職。その他の官僚たちも処分が下されたが、総務相経験者である野田聖子氏や高市早苗氏、さらには現総務相の武田良太氏らといった政権幹部も大臣規範に反する高額接待をNTTから受けていたことが判明したというのに、こちらは何のお咎めもないからだ。
武田総務相にいたっては、国会で野党議員が東北新社の疑惑追及をおこなうなか、答弁席に立とうとする総務省幹部に対して「『記憶がない』と言え」などと命令したことも問題になったが、こうして頭ごなしに官僚を抑えつけている大臣が接待を受けても平然としていれば、官僚の倫理が崩壊するのも当然のこと。しかし、いざ同じ国民の信頼を裏切る不正な問題行動を起こしても、より厳格な処分が下されるべき首相や閣僚、政治家が無罪放免というのは、公平性の点からもありえない。
今回の厚労省の宴会問題に対し、メディアやワイドショーのコメンテーターたちは「モラルの崩壊だ」「やってることがチンピラと一緒」「同じことの繰り返し。学びってないのかな」などと批判の声があがっているが、モラルを崩壊させているのは菅首相をはじめとする政治家たちであり、チンピラと誹りを受けるべきは政権幹部たちのほうだ。その本質が覆い隠されているうちは、同じような問題は何度も繰り返されていくだろう。
(編集部)
最終更新:2021.04.01 02:26
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