大阪の医療崩壊と看護師不足は維新の医療削減政策のせい! 橋下徹は大阪市長時代、看護師の給料を「バカ高い」と攻撃

2020.12.05 11:51
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吉村洋文公式サイトより


 新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、とりわけ深刻な状態の大阪。12月3日には、独自の基準である大阪モデルの「赤信号」を点灯、「医療非常事態」を宣言した。

 吉村洋文・大阪府知事は「重症病床の使用率はいずれ70%に達すると見込まれる。先んじて、今は赤信号のボタンを押すべき時期だと考えた」「早めに対応することで、社会経済に与えるダメージをできるだけ最小にしていきたいので、府民の協力をお願いしたい」などと語り、「先んじて」「早めに対応」とあたかも先手を打ったかのようにドヤ顔でアピールしていたが、早めどころか遅きに失したと言っていいだろう。

 本サイトでも繰り返し指摘してきたが、「いずれ70%に達する見込み」と言っている重症病床使用率は確保病床数(206床)を基準にしたものであって、実際に運用可能な重症病床の使用率は11月30日の時点ですでに86.7%と70%に達するどころか、とっくに8割を超えていた。実際、昨日4日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)に出演していた大阪府医師会の茂松茂人会長も「もっと早く赤信号にしてほしかった」と語っていた。

 いや、遅きに失したのは、医療非常事態宣言だけではない。そもそも大阪がここまで感染が拡大し、医療崩壊寸前まで追い詰められているのは、吉村知事や松井一郎・大阪市長が都構想などにかまけて、第三波の感染拡大に備えた対策をさぼってきたからだ。

 たとえば、その典型が、今月中旬開設予定の臨時施設「大阪コロナ重症センター」だ。建物は先月完成したというのに、約130人必要な看護師のうち約80人が不足していることが明らかになった

 吉村知事は11月24日、記者団の取材に対し「感染がどれくらい増えるかは誰にも予測できない。(判断は)難しかった」などと言っていたが、スペイン風邪の例を出すまでもなく秋から冬にかけて感染が拡大することは、多くの専門家が指摘し、素人でも口にしていたようなことだ。「大阪コロナ重症センター」の人手不足についても、大阪の医療関係者からはかなり前から指摘されていた。

 にもかかわらず、吉村知事はずっとなんの手も打ってこなかったのである。大阪府は今頃になって、不足している約80人のうち40人を府内の医療機関に、残りの40人を全国知事会や関西広域連合、国に派遣要請をしているが、同時期に感染再拡大の傾向が見られた北海道がとっくに看護師や保健師の派遣を要請し、実現していることを考えると、あまりに遅すぎる。

 関西広域連合や全国知事会への協力要請にしても、何を今さらというしかない。というのも、吉村知事は春先からワイドショーに出まくり“やってる感”アピールをする一方、関西広域連合や全国知事会をたびたび欠席して、協力体制の構築や連携を怠ってきたからだ。それを自分のところが困ったからいきなり協力要請とは、無責任というより無能というべきだろう。

吉村知事が「桜よりコロナ」と発言 都構想にかまけて対策を放置しておいてどの口が

 しかも、この医療従事者の人出不足は、「大阪コロナ重症センター」の問題だけではない。松井市長のトップダウンで事前調整もなくコロナ専門病院となった大阪市立十三市民病院では、10月までに医師4人・看護師14人をはじめ約25人が退職。また、大阪市立総合医療センターでも若年がん病棟を一時閉鎖し、コロナ対応に当たる看護師不足を補わざるをえなくなった。

 メディアでは“第1波のときは素早い対応だったのになぜ?”などという声もあるようだが、そもそも第1波のときも、吉村知事は“やってる感”アピールに成功しただけで、実態は後手後手だった(詳細は既報→https://lite-ra.com/2020/08/post-5558.html)。

 しかも第1波が落ち着いたあとも、吉村知事と松井市長は疲弊しきった医療体制を支援・整備することもせず、都構想にかまけていた。都構想の選挙活動に夢中になっている間に、感染が拡大、深刻化していったのである。

 実際、感染が再拡大していた8月の大阪府の新型コロナ死亡者数は62人(NHKまとめから算出。以下同)にもおよび、東京都の31人の2倍もの数に。9月も同様に東京都45人に対して大阪府は54人と上回った。さらに新規感染者数も、都構想の住民投票が行われた11月1日には大阪府が123人で、東京都の116人を上回っている。東京都の人口が約1400万人で大阪府の人口が約880万人であることを考えれば、この時点で大阪府がいかにたいへんなことになっていたかがよくわかるだろう。

 それを棚に上げて、吉村知事は11月30日の会見で、「安倍前総理の桜(を見る会の前夜祭)の話とか(日本)学術会議の問題は国民の命にはかかわらないが、コロナは国民の命にかかわる問題ですから。メディアの皆さんが果たすべき役割は多いんじゃないか。野党も桜を取り上げた方が皆さんに取り上げられるけど」などと言っていたが、ブーメランどころの騒ぎではない。

 まさに、自分たちが命に関わるコロナの対策をほったらかしにして、都構想にかまけていたことが現在の事態を招いたのである。

橋下徹が大阪市長時代に大阪市の看護師の給料が「高すぎる」「バカ高い」と攻撃

 しかも、もうひとつ指摘しておかなければならないのは、そもそも現在の大阪のこのコロナをめぐる事態は10数年にわたる維新府政による人災でもあるということだ。

 最近、ネット上では橋下徹氏が大阪市長だった2012年のこんなツイートが話題になっている。

〈運転手、看護師、保育士、給食調理員、警備員・・・・・ここが民間と比べて物凄く高い。大阪市では、ここの組合に応援を受けていた平松前市長まで、全く改革できず。僕が市長になってから、現業職の給与見直しをやっているが民間ときちんと比較できる物差しがない。これは国を挙げてやる問題だ。〉(2012年11月12日)

 末端の公務員をスケープゴートにして人気を集めてきた橋下氏の政治手法の典型のようなツイートだが、問題はこのあとだった。

 こうした橋下氏の主張に、現役の看護師であるというユーザーが〈先のツィートは即刻、訂正していただきたい。給料が高く感じるのは夜勤手当です。人が寝ている時に忙しい時は仮眠なく一睡もせず働いています〉と抗議ツイートしたのだが、橋下氏は〈???公務員の看護師が民間の看護師と比べて高すぎると言っているのですが〉(2012年11月13日)と一蹴。

 さらに、別のユーザーから〈現状では、民間で収益があがりにくいところを埋めているのが公立病院の存在意義だと思っていますがどうでしょうか?〉と公立病院の存在意義を指摘されても、〈そのような役割の公立病院はごく一部です。その場合でも赤字は税で埋めますが看護師の給料をバカ高くしなくても良いでしょう。普通にすべき〉(2012年11月14日)などと、ほざいていたのだ。

 周知のように、大阪市の場合でも看護師の給与はその労働量を考えればけっして高いとは言えない。それを橋下氏は「高すぎる」「バカ高い」などと攻撃してきたのだ。

橋下時代から医師・看護師を大幅に削減してきた大阪 そのツケが…

 しかも、これは単なるツイート上のパフォーマンスなどではなかった。橋下氏は大阪府知事、市長時代に、医療福祉を切り捨て。公立病院や保健所を削減したほか、医師・看護師などの病院職員、そして保健所など衛生行政にかかわる職員を大幅に削減してきた。もちろんこうした医療福祉の削減は大阪に限ったことではなく、小泉純一郎・竹中平蔵の新自由主義路線により日本全体で起きていることではあるが、それでも大阪の削減ぶりは突出している。

 また、2018年4月には、関西最大の看護専門学校で、公立病院や公的病院に多くの人材を輩出してきた「大阪府医師会看護専門学校」が2019年度募集をもって閉校することが発表されているが、この専門学校を運営していた府医師会によればこれも〈大阪府・大阪市の財政再建を名目に、一方的に補助金が打ち切られた〉ことが主要因だったという(「府医ニュース」2018年4月4日)。

 さらに、住吉市民病院を廃止し跡地に民間病院を誘致するとしていたが、誘致に失敗。医療空白を生み出してしまったのも有名な話だ。

 2017年には府立病院機構の大阪母子医療センターが新生児を搬送する専用の保育器の購入資金をクラウドファンディングで募った問題など、維新政治による大阪の公的医療体制の脆弱化はこれまでも度々危惧されてきた。平時ですらギリギリの状態なのに、非常時に対応できるはずがない。

 現在、大阪では、医師や看護師、保健所の人手不足など脆弱な検査・医療体制が、感染を拡大させ、さらに医療現場を逼迫させるという悪循環に陥っているが、この状況は維新政治が医療を削りに削った結果、必然的に起きている事態なのだ。

維新の新自由主義政策のせいで大阪の医療が崩壊しているのに、橋下前市長と吉村知事は…

 こうした批判を先回りしたのか、橋下氏は春先の第1波さなかの4月3日に〈僕が今更言うのもおかしいところですが、大阪府知事時代、大阪市長時代に徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させているところがあると思います。保健所、府立市立病院など。そこは、お手数をおかけしますが見直しをよろしくお願いします〉と殊勝なツイートをしていた。しかし、このツイートの続きでは〈平時のときの改革の方向性は間違っていたとは思っていません。ただし、有事の際の切り替えプランを用意していなかったことは考えが足りませんでした〉ともツイートしていることからも明らかなように、これは単なる予防線でなんの反省もない。

「切り替えプラン」も何も、平時にギリギリの状態まで削減しておいて有事になっていきなり増やせるわけがない。建物や病床は突貫工事で用意できたとしても、人材はそうはいかない。一見無駄に見えても、平時に余裕を持たせておく。それこそが有事の備えだということが、今回のコロナ禍で明らかになったというのに、「平時は間違っていなかった」「切り替えプラン」などとすり替えているのだ。

 コロナ禍という非常事態に直面して、公的医療の存在意義が世界中であらためて実証されたにもかかわらず、いまだに「平時は間違っていなかった」などと開き直る──。しかしこうした開き直りは、橋下氏に限ったものではない。維新政治の裏には明らかに「生きる権利より医療費削減」「生産性の低い高齢者は早く死んだほうがいい」という優生思想がある。

 実際、その典型が大阪維新の会代表に就任した吉村知事だ。自分たちの対策の遅れで感染をここまで拡大させ、医療を逼迫させているにも関わらず、吉村知事は11月21日に生出演した『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)で、司会の辛坊治郎から“医療のキャパシティを超えた場合どうするか”、“年齢その他で何かを区切るみたいなことはありえるか”と問われ、こんなふうに答えていた。

「ICUっていうのは限りがありますから、そういった意味ではどこをどう命を救っていくのかという、そういった選別のような、これは本質的な議論をしなきゃいけない状況に……」
「一定の本当にもう超高齢であったりご家族の同意が得られるような場合については、人工呼吸とかそういうのじゃなくて、これはもう若い人にそれをバトンタッチするというような判断というのが必要になってくることがあるかもしれない」

「超高齢者は若い人にバトンタッチする」という発言にも明らかなように、これは紛れもなく「命の選別」発言だ。

大阪の死亡者は8割が軽症・中等症の患者が入院する通常病床で死亡

 しかも、大阪の医療現場では為政者のこうした姿勢を反映するような現象がすでに起きているのではないか。そんな疑念を抱いたのは、大阪のコロナ死亡者の大半が、重症者病棟からではなく、軽症・中等症病棟から出ているニュースに触れたからだ。

 大阪府が11月20日におこなった府の対策本部会議に提出された資料「重症及び死亡事例のまとめ」によれば、大阪府では、10月10日~11月19日に5317人の感染者、41人の死亡者が確認されているが、実はこのうち、重症者が死にいたったのはわずか6人。死亡者の8割超にあたる35人は、軽症・中等症の患者が入院する通常病床で亡くなっていた。

 急変例が多いのか、検査が遅れすでに悪化した状態で運ばれているのか、重症・軽症の識別に問題があるのか、あるいは重症病床が逼迫しているため重症患者が通常病床に入院しているのか。

 気になるのは、通常病床から死亡者が多数出ている理由について、大阪府保健医療室感染症対策課は『羽鳥慎一モーニングショー』の取材に対して「容体が急変する場合」「気管挿管などを望まない場合」などと説明していたことだ。気管挿管など積極的治療をあえて選択しなかった患者いるのである。

 実は、同様の調査結果は10月にも明らかになっていた。9月15日までに確認された死亡者186人のうち約6割にあたる115人が「重症」に分類されないまま死亡していたことがわかったのだが、このときも府は〈持病や高齢を理由に延命治療を望まず、人工呼吸器の装着など大阪府が重症と定義する治療を受けないまま亡くなった患者や、クラスター(感染者集団)が発生した施設や医療機関を利用した高齢者らが含まれる〉(毎日新聞10月8日)と説明していた。

 大阪府では、気管挿管など都や国の基準よりも重症基準を幅広く取っているとしているが、そもそも気管挿管せずに亡くなっている人が多数いるというのだ。

 重症化もしていない段階で、高齢者が治療を辞退する。こんなことが、なんの議論も検証もなく起きているとしたら、重大問題だ。しかも今後、大阪の医療はさらに逼迫すれば、こうした事例がさらに増えてしまうのではないか。大阪で何が起きているのか。一刻も早い検証が必要だろう。

最終更新:2020.12.05 11:56

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