防衛官僚が辺野古を食い物! 防衛省の米軍基地担当元幹部が新基地建設関連事業への投資謳うファンドの広告塔に

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元防衛省幹部が辺野古で約9億円!(防衛省HPより)


 2月の沖縄県民投票で明確に「新基地反対」の民意が示されたにもかかわらず、新たな護岸工事に着手するなど有無を言わせぬ安倍政権。そんななか、辺野古新基地をめぐるとんでもない疑惑が明るみに出た。

 それは、辺野古新基地建設を担当していた防衛省の元幹部が、新基地建設の関係企業に金を貸し付けるという投資ファンドの「広告塔」となっていたというものだ。

 スクープしたのは3月17日付の「しんぶん赤旗日曜版」だ。問題になっているのは、ネット上で個人投資家から資金を集めて企業へ融資する仲介業務(ソーシャルレンディング)を行なう「エーアイトラスト」という東京都の会社。同社はもともと沖縄の軍用地投資なども手がけているが、「赤旗」によれば、米軍新基地建設工事用の大型海砂利採取・運搬船をつくる資金を調達するファンドを立ち上げていたのだという。

 実際、同社HPのファンド紹介には、こんな文言が書かれていた。

〈本借入人は九州・沖縄地方に本社を置き、主に国や県から発注される公共工事で使用される砂利の採取・運搬卸しを行っている会社です。自社所有船舶を用い許可を得た地域での砂利採取を行い土木工事業者等に砂利を卸しています。〉
〈本借入人は地方防衛局からの発注を受けた大手スーパーゼネコンJVより総額約40億円(本ファンド募集時点)の発注依頼を受けており、今回新たな船舶を建造し本プロジェクトへの受注に対応する事が急務となっております〉
〈本件はデリケートな内容の案件であるため地元金融機関からの借入が困難であったため、当社に案件の相談持ち込みがあったものです〉

 エーアイトラスト社の担当者は、「赤旗」の取材に対してこの「地方防衛局」が沖縄防衛局のことであり、米軍新基地建設の埋め立て事業に関わる案件であることを認めたという。

 しかし、同社HPなどの説明によれば、このファンドは集まった資金を砂利採取・運搬船を建造する企業になんと15%の利率で貸し付け、投資家には11.5%の利率で還元するというもの。日本の税金を投入する米軍新基地建設事業で、投資ファンドがこんな暴利をむさぼっていいのか。しかも、海砂利採取船建造のためというが、辺野古では海の砂利は使用しないという方針ではなかったのか。

 きな臭い匂いがぷんぷんしてくるが、疑惑の本丸はここからだ。実はこのファンドを運営するエーアイトラスト社には、元防衛省幹部で、米軍基地建設を担当していた渡邉一浩氏が取締役に就任していたのだ。

 渡邉氏は防衛省を2016年に退職したキャリア官僚で、最終役職は大臣官房施設監。施設監というのはまさに、自衛隊の施設や米軍基地の建設・整備を統括管理する責任者だ。そんな人物が、米軍新基地建設関係会社への貸し付けを謳い文句にした投資ファンド運営会社の幹部におさまっていたのである。

 しかも、渡邉氏がエーアイトラスト社の社外取締役に就任したのは、同社がこの投資ファンドを立ち上げる1カ月前の2018年7月。明らかに、投資ファンドの広告塔として起用したと言っていいだろう。

 実際、同社HPには渡邉氏の経歴を強調する紹介文が掲載されていた。また、「赤旗」の取材に対しても、同社は、渡邉氏の取締役就任について「米軍基地について精通した人間を入れて意見を聞くことが必要という判断」で、「工事の進ちょくがどうなっていくのかを聞きながら投資募集を進めていった」と説明している。

 安倍政権の新基地ゴリ押し政策の実務担当者である防衛省の元官僚が、その工事などを熟知した立場を利用して、新基地関連事業を金集めの道具にする投資ファンドに全面協力するなどということが許されるのか。ちなみに、このエーアイトラスト社は今年2月、虚偽表示による金融商品の勧誘をめぐって行政処分されている曰く付きの会社だ。渡邉氏は2月22日に同社取締役を辞任しているが、これは辺野古新基地建設を食い物にする“官民癒着”と言われても仕方がないだろう。

辺野古新基地建設には政治家、警察OBの利権や癒着も

 しかし、本サイトでも報じてきたように、辺野古新基地建設を利権化し、食い物にしているのは、この元防衛官僚だけではない。

 たとえば、昨年12月、名護市の会社「琉球セメント」の桟橋で土砂を船に積み込むという手段で辺野古沿岸部への投入を開始したが、この琉球セメントの背後には、大株主で主要取引先である大手総合化学メーカー「宇部興産」がいる。山口県宇部市を拠点とする宇部興産は安倍首相とつながりが深く、その関係は祖父の岸信介、父の晋太郎から引き継がれているおり、かつて安倍氏が代表を務める自民党県連支部への献金をめぐって政治資金規制法違反に問われたこともある。

 また先日、防衛省沖縄防衛局が2015年、辺野古の海上警備を委託していた警備会社「ライジングサンセキュリティーサービス」に対し、「基地反対派のリスト」を作成して監視するよう依頼していたとする内部文書を毎日新聞が報じた。同社は2015年11月に元警視総監の池田克彦氏を顧問に迎えており、警察庁公安部や沖縄県警警備部、防衛省が連携して「基地反対派リスト」を作成していたのではないかとの疑惑も浮上している。

 さらに、第三次安倍第二次改造内閣で沖縄北方担当相を務めた鶴保庸介参院議員にも、辺野古工事関連事業への参入を計画していた民間業者と重大癒着疑惑が報じられたことがある。詳しくは過去記事(https://lite-ra.com/2017/11/post-3592.html)をご覧いただきたいが、これは鶴保参院議員が大臣在任中に何度も面会していた鹿児島県の採掘業者A社の代表が、鶴保参院議員の後援会会長から「1回動いたら10万円」「鶴保と会うにはお金が必要」などとして金銭を要求されていたというもの。A社代表は、出資者である神奈川県のB社とともに、鹿児島県内の採石場の石を辺野古埋め立て工事などに納入する計画を立てていた。鶴保参院議員本人も、この業者らから六本木の高級飲食店やクラブ、ガールズバーで接待を受けながら、防衛省への照会やA社代表らを自民党の森山裕衆院議員に紹介するなどの働きかけを行っていたとされる。

 いずれにしても、辺野古新基地建設をめぐっては、安倍政権を中心とした政官民の癒着などの疑惑がいくつも浮上している。だが、こうした疑惑を伝えるのはしんぶん赤旗などごく一部で、マスコミ、とりわけテレビで取り上げられることはほぼ皆無だ。何度でも繰り返すが、安倍首相が民意を無視して強行する新基地建設は、沖縄の基地負担を固定化し、住民を危険にさらし、辺野古の海を破壊する暴挙だ。そして、その背後に基地建設によって私腹を肥やそうとする者たちがいることも忘れてはならない。

最終更新:2019.03.14 11:19

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