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財務省が「ブラック企業大賞」市民投票賞を受賞! セクハラだけじゃない、元職員が公文書改ざんを生んだブラック体質を告発
ブラック企業対象2018HPから
昨日、「ブラック企業大賞2018」の授賞式がおこなわれ、三菱電機が大賞に選ばれた。
三菱電機といえば、2017年度の売上高が4兆4311億円、営業利益は3186億円と過去最高を更新する一方、長時間労働が原因で5人の男性社員が精神障害や脳疾患を発症し、うち2人が過労自殺。5人は2014〜17年に労災認定されている。まさに大賞にふさわしい「ブラック」ぶりだ。
今年のブラック企業大賞はほかにも、「裁量労働制」が違法適用されていた野村不動産や、第三者委員会の調査により凄絶なパワハラ実態が明るみに出たスルガ銀行、「事業場外みなし労働時間制度」の違法適用や長時間残業のほか、支店長が出す「有給チャンスクイズ」に正解しないと有給がもらえないなどのパワハラが発覚したジャパンビバレッジ東京など、9社がノミネート。
しかし、なかでも注目を集めていたのは、ノミネートのなかに、あの「財務省」が入っていたこと。そして今回、一般投票で決まる「市民投票賞」に、財務省は見事(?)選ばれたのだ。
財務省が今回、ブラック企業大賞にノミネートされた理由は、今年4月に発覚した、財務省の福田淳一事務次官(当時)によるテレビ朝日女性記者へのセクハラ問題だ。
ブラック企業大賞HPに掲載されているノミネート理由によれば、問題が「週刊新潮」(新潮社)に報じられた際、財務省トップの麻生太郎財務相が〈被害女性に名乗りでるよう促す一方で、事務次官がはめられた可能性などにも言及〉したこと、さらに〈日本には「セクハラ罪という罪はない」と発言し、セクハラを軽視する態度を崩さなかった〉〈セクハラ行為を防止することが第一であるはずなのに、「男を番記者にすればいい」などと女性記者を排除するような発言もあった〉ことを指摘。こうまとめている。
〈こうした麻生大臣の言動は、セクハラが深刻な社会問題であることの認識を欠いていると指摘せざるを得ない〉
〈「女性活躍」を標榜する政府の中枢機関で起きたセクハラ事件に対して、その対応があまりにお粗末であったと言わざるを得ない。その悪影響は計り知れないほど大きい。そこで、民間企業ではないが特別にノミネートした〉
福田事務次官のセクハラの中身も酷いものだったが、それだけではなく、問題に厳しく対処すべき大臣が自ら“ハニートラップ”説を唱え、「男に替えればいい」と公言する…。これは「お粗末」などというレベルではなく、副総理でもある麻生財務相による「セクハラくらいでガタガタ言うな」という、全女性に対する侮蔑としか言いようがない事件だ。
今回、市民の投票によって、この事件が「ブラック」認定を受けたことは当然であるし、あらためて注目が集まったことの意味は大きいだろう。
だが、財務省の「ブラック」問題は、セクハラ問題にかぎらない。なかでも忘れてはならないのは、財務省による森友問題の決裁文書の改ざんをめぐって、今年3月、近畿財務局の担当職員を自殺に追い込んだ一件だ。
自殺した近畿財務局職員が遺したメモには、「決裁文書の調書の部分が詳しすぎると言われ上司に書き直させられた」「勝手にやったのではなく財務省からの指示があった」「このままでは自分1人の責任にされてしまう」「冷たい」などという言葉が綴られていたというが、一方、職員の自殺が報じられるや否や、麻生財務相は佐川宣寿・国税庁長官を辞任させただけ。その後の内部調査結果でも佐川氏にすべての責任を押し付けながら、「3カ月の停職処分相当」として退職金から相当分を差し引くという大甘な処分に終わった。
直接、文書を改ざんするという“汚れ役”を命じられ、自らの意志に反した違法な作業を強要され、精神的にも肉体的にも追い詰められ、さらに改ざんが発覚すると財務省は近畿財務局に責任を押し付けようとした。こうして人ひとりの命を奪っておきながら、麻生財務相は何食わぬ顔で、いまだに大臣として居座りつづけているのである。
近畿財務局元職員が「何も変わっていない」「職場は真っ暗になってしまう
しかも、だ。改ざん前の決裁文書には、籠池泰典前理事長が安倍昭恵氏と撮った写真を見せていたことが書き込まれていた。今月19日付の朝日新聞では、実名による証言をおこなった近畿財務局で国有財産の管理に携わった元職員4人は、これが不当な値引きにいたる端緒ではないかと見ている。
「公表された記録を読むと、財務局は当初、学園側からの要求もきちっと断っているのに、このころを境に押し込まれるようになったように見える。主客が逆転し、籠池さんの方が主人公というか、強くなってしまったようだ」(喜多徹信氏)
「この写真が出てくる事態になった時点で、本省と財務局は綿密に連絡を取り合って、学園の要求を蹴ってしまうのか、それとも最後までやり通すのかを決断したのではないか」(伊藤邦夫氏)
“総理夫人案件”として国有地が約8億円も値引きされ、疑惑が報じられると公文書を改ざんして問題を隠蔽する。その結果、ひとりの職員が死に追い込まれた──つまり、近畿財務局職員の自殺は、財務省だけの問題ではけっしてないのだ。
森友問題にかんして実名で証言をおこなっている理由について、元職員はこう話している。
「公務員は馬鹿正直に文書を大切にする。それなのに国会で財務省は「(学園との交渉記録が)ない」などと言い切って驚いた。大きな犠牲も出ているのに、だれもまともに責任を取っていない。このままではいけないと思った」(田中朋芳氏)
「公文書の改ざんが発覚しても、上の人は知らん顔を決め込んで何も変わっていないように見える。この問題をないことにしてしまったら職場が真っ暗になってしまうんじゃないかと思った」(安田滋氏)
“ブラック”な組織を変え、健全な職場や労働環境をつくっていくには、実態の告発や外部からの指摘が重要になってくる。不名誉にも一般市民の投票で「ブラック企業大賞」に選ばれた財務省の問題は、まだ膿が出きった状態ではない。このままフェードアウトさせるわけにはいかない問題だ。
(編集部)
最終更新:2018.12.24 07:55
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