亡くなった俳優の加藤剛が「安倍政権は憲法違反の政権」!生前繰り返し語った戦争への危機感と憲法への思い

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加藤の出演した『この子を残して』(DVD版)

 今月9日、俳優の加藤剛氏が亡くなっていたことがわかった。80歳だった。

 加藤剛氏といえば、30年近くにわたって続いた『大岡越前』(TBS)での大岡忠相役が印象的だが、もうひとつ知られている側面が、戦争を知る世代として、「俳優」の仕事を通して、平和への思いを伝え続けてきた姿だ。

 加藤氏は1962年にテレビドラマ版『人間の條件』(TBS)で本格的なデビューをしている。『人間の條件』では、第二次世界大戦中の満州を舞台に、激化する戦争のなかにおいても、自らの正義を貫き通す役を演じた。デビュー作が『人間の條件』であったということは、加藤氏の俳優としてのキャリアの方向性を決定づけたようだ。2015年4月12日付しんぶん赤旗日曜版で彼はこのように語っている。

「「人間の條件」で、平和な世の中をつくり、戦争に反対することが、僕の俳優という仕事の基本になりました。以来、どの作品に出ても、平和のために自分は何ができるかと考えてきました」

 その後、加藤氏は『大岡越前』や、映画『砂の器』といった作品をヒットに導く一方で、「戦争」を題材にした作品にも多く出演している。木下恵介監督作品『この子を残して』では長崎で原爆により被爆した放射線医学の永井隆博士を演じ、また、舞台『コルチャック先生』ではユダヤ人孤児院の院長でナチスの弾圧のもとガス室におくられたヤヌシュ・コルチャックを演じた。

 2014年の読売新聞のインタビューでも、「僕は戦争反対の一心で俳優を続けてきましたから、観客の心に平和への思い、弱い人への思いやりをこれからも与え続けられるよう、仕事を続けたい」(読売新聞2014年6月9日夕刊)と語り、その俳優人生をかけて戦争反対の思いを貫いてきたことを明かしている。

 加藤氏のこうした反戦への強い思いは、加藤氏自身の生い立ちと無縁ではないだろう。

 加藤氏は1938年に静岡で生まれた。東京方面に向かうB29から焼夷弾が落とされることも珍しくない環境で育つ。加藤氏はこの戦争で身内を二人も亡くしている。

 ひとりは、実の兄のように慕っていた義兄。軍医だった義兄は北マリアナ諸島のテニアン島で頭部を撃たれて即死した。また、二番目の姉は結核を患っており、戦後の厳しい食糧難と物資不足のなかでまともな医療を受けられなかったことが災いして亡くなってしまった。まだ28歳の若さだった。

 そんな加藤氏にとって、近年の日本の状況は看過できるものではなかった。特に、第二次安倍晋三政権以降の動きには、直接的な表現を用いて痛罵している。

「今の政権は、憲法違反の政権です。アメリカの戦争に協力するため、勝手に憲法の解釈を変えて、戦争法を通してしまった。
 安倍首相は、「国民に理解されていないから反対されている」などと言いますが、私たちは戦争への道を開くことになる法律だとよく理解しているから反対しているんです」(2015年11月29日付しんぶん赤旗日曜版)

 戦争が終わったことで、「もう枕元に防空頭巾を置いて寝なくていいんだ」(15年4月12日付しんぶん赤旗日曜版)と心からの安堵を抱いた経験をもつ世代として、日本国憲法、特に9条は何ものにも代え難い希望だった。加藤氏は日本国憲法を「戦争で命を奪われた人たちの夢の形見」とまで呼んでいる。

「私は、憲法は、戦争で命を奪われた人たちの夢の形見だと思っています。多くの犠牲の上に、今の平和な世の中がある。だから私たちには、子どもたちのために憲法を守る使命があると思います」(15年11月29日付しんぶん赤旗日曜版)

 しかし、その憲法がいま危うい立場に追いやられようとしている。この国は過去の教訓を忘れ、再び「戦争ができる国」へ戻る方向へ舵を切りつつある。その先にあるのは、70年以上前に体験し、二度と繰り返さないと誓ったはずの悲劇の再来だ。

加藤剛、桂歌丸が生前語った戦争への危機感「戦争を知らない人が、国を動かしている」

 今月2日に亡くなった落語家の桂歌丸は、17年8月5日放送『報道特集』(TBS)で、戦争を知らない世代の政治家たちがまともな勉強もせず、安易な気持ちで戦争に関わる法整備へ踏み出すことを、「戦争を知らない政治家が戦争に触れるなと言いたくなるんです。戦争を知らなかったら、戦争をもっと研究しろって言うんです。戦争っていうのは良い物なのか悪い物なのか、この判断をきっちりとしろって言いたくなるんです。それをただ上辺だけで話しているからおかしくなっちゃうんです」と痛罵していた。同じことを加藤氏も語っている。

「国を動かしている人たちが、なぜそんな世の中にしたいのか、戦争を体験した僕にはまったく理解できません。本当の戦争というものを知らないからでしょうか」(15年4月12日付しんぶん赤旗日曜版)

 戦争を知る世代が最期に残した「平和」への思いを、私たちはしっかりと受け止めなければいけない。

最終更新:2018.07.11 12:04

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