豊洲新市場問題“最大の闇”は都職員の天下りだ! 責任者の幹部職員が土地購入先の東京ガス、工事受注ゼネコンに

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東京ガスHPより


 6日に開かれた東京都議会での豊洲新市場問題の集中審議は、結局、東京都庁の“隠蔽体質”が露わになっただけだった。盛り土なしの決定にかかわった担当幹部名を訊かれれば「資料がない」、設計会社とのやりとりを問われれば「記憶が定かでない」。さらに、都は検証報告書で“地下に作業空間を確保する必要がある”と専門家による技術会議が提案したとしていたが、実際は都が提案していたことが発覚。都が会議録を改ざんしていた疑いも浮上している。

 もちろん、豊洲新市場問題の最大の“戦犯”は、言うまでもなく石原慎太郎元知事だろう。だが、そうした親分の下で、都職員たちもまた同じように利権にありついていたのではないかという疑惑も出ている。

 そのひとつが、都責任者の“東京ガス天下り”問題だ。

 豊洲の移転および東京ガス工場跡地の土地購入にかんしては、石原元都知事が「浜渦氏が過剰な権限を行使するに至ったのであれば、強く反省しています」とコメントし、責任を石原氏の懐刀ともいわれた浜渦武生元副知事に押し付けようとし、一方の浜渦副知事も「おっさん(石原氏)が勝手に自己弁護で言ってるだけでしょう。実際はものすごく感謝されたんだから」などと反論。みっともない泥仕合に発展しているが、じつは都側の責任者のひとりにも疑惑の目が向けられている。それは、現在、練馬区長を務める前川燿男氏だ。

「週刊朝日」(朝日新聞出版)2016年10月14日号の報道によると、前川氏は東京都庁に34年間勤め、知事本部長、知事本局長(現・政策企画局長)などを歴任。前川氏は2005年7月に退職したが、その後、同年9月には東京ガス執行役員に“天下り”しているのだ。しかも、退職した05年は〈東京都が東京ガスと豊洲の用地買収について話し合いをしていた時期〉であり、〈前川氏はその責任者の一人〉だった。

 そもそも、豊洲新市場の土地は東京ガスのガス製造工場の跡地であり、2001年1月には土壌から基準値を大きく上回る猛毒のシアンなどが検出されていた。にもかかわらず東京都は同年12月に築地市場の豊洲移転を決定。02年には都と東京ガスなどの地権者らが豊洲移転を最終合意し、東京ガスと購入価格などの協議をはじめている。

 石原都知事や浜渦副知事が豊洲移転で話を進めるなかで、直接、東京ガスと交渉を行っていた都の責任者のひとりだった前川氏が、偶然にも都を退職するや否や東京ガスに天下り。──これでは、東京ガスに利益を与えた見返りに、執行役員として天下ったのだと見られてもおかしくはないだろう。

 だが、こうした都職員の“癒着”の疑いは、前川氏だけに限らない。実際、豊洲新市場の工事を受注した企業17社に、東京都職員のOBがなんと64人も在籍していることを、しんぶん赤旗(14年5月14日付)が報道。同紙によれば、〈局長級は9社・19人(約3割)で、その大多数がいったん外郭団体に天下りした後に、ゼネコンに再度天下り〉していたといい、しかも10~13年の4年間に限っても、清水建設に3人、大成建設と大林組に各2人、鹿島建設、竹中工務店に各1人など、豊洲の工事受注ゼネコンに東京都幹部17人が直接天下りしていたのだ。

 豊洲新市場の工事入札をめぐっては、都とゼネコンの談合があったのではないかといわれている。事実、清水建設などのジョイントベンチャー(JV)が落札した水産仲卸売場棟の落札率は99.87%、大成建設などのJVが落札した水産卸売場棟は99.79%、鹿島建設などのJVが落札した青果棟にいたっては99.95%という談合があったとしか考えられないような落札率となっている。こうした問題とゼネコンへの都職員OB天下りの実態は、無関係であるはずがない。

 そして、同様の問題は東京五輪の施設建設工事でも発覚している。建設見直しで揺れる「海の森水上競技場」は、大成建設のJVが落札率99.99%という異常な数字で落札したが、先日もお伝えしたとおり、大成は“五輪のドン”とも呼ばれている森喜朗氏ともっとも近いゼネコンともいわれている。だが、森氏のみならず、大成には前述したように東京都職員OBがわんさといるのだ。こんな状況で、談合はなかったなどと言えるだろうか。

 現在、批判を受けている都職員幹部たちにしてみれば、豊洲の責任を石原元都知事にすべて押し付けて決着を図りたいとでも思っているのかもしれないが、絶対的権力の下で都職員たちが天下り利権を手にしてきた構造に切り込まない限り、問題は今後も繰り返されていくことだろう。
(編集部)

最終更新:2017.11.12 02:33

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