夫の死後PCを開いたら不倫が発覚、FX負債が遺族にふりかかる…「デジタル遺品」めぐるトラブルが続々

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 デジタル遺品の管理が杜撰だったせいで、隠し通すべきだった秘密がバレてしまった瞬間である。他にも本書では、亡き夫の行っていたFXの取引を停止しなかったばかりに多額の負債を抱えたケース、故人のブログを放置していたら何者かに乗っ取られ故人の友人が悪質アフィリエイトの被害に遭ったケース、放置した故人のPCがウイルス感染して会社の情報が漏洩したケースなどが紹介されている。

 そこまで大きなトラブルでなくとも、自動引き落としで登録している有料サイトやネットバンキングなど、存在を知らなければ自分の死後遺族に負担をかけてしまう情報がPCのなかにはたくさんある。

 では、どうすれば良いのか? そのためには、まず「エンディング・ノート」をきちんと残すことである。

「エンディング・ノート」とは、「終活」においてしばしば言及される、相続・葬儀・延命措置を望むか否かなどを書き記すノートのこと。遺言のような正式な文書ではないが、遺族の負担を減らすために書き残すよう推奨されている。

 この「エンディング・ノート」に、普段使っているサイトのIDやパスワード、扱っているネットバンキング・株・証券などの情報も遺族のために整理して残しておく。萩原氏は〈私は、成人を過ぎたらぜひエンディング・ノートを書いておくことを、おすすめしています〉と綴っている。

 また、もう一つ必要なのが「墓場まで持っていく」秘密の処理だ。前述した不倫関係もそうだし、そんな大きな秘密はなくとも、日記や、あまり他人に見られたくないデータ(エロ動画など)も「墓場まで持っていく」情報に含まれるだろう。

 そこで萩原氏がオススメしているのが、一定期間パソコンを起動していない場合に遺しておきたくない書類を自動削除する機能を備えたソフトを入れること。

 また、あらかじめ「家族に見られたくないファイル」を指定しておけば、自分の死後、デスクトップ上にある「遺言」を誰かがクリックした瞬間自動的にそれらが削除される機能をもつ、いわゆる「遺言ソフト」を入れることも効果的であると言う。

 人生、「一寸先は闇」だ。きちんと準備をしたうえで旅立てればいいが、必ずしもそうとは限らない。愛する家族や友人を守るため、「デジタル遺品」の取り扱いについて考え直してみてはいかがだろうか?
(田中 教)

最終更新:2018.10.18 05:49

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