「大分自宅放火」海自一尉の父親も被害者? 自衛隊内で横行するいじめとパワハラ

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 もっとも有名なものが「たちかぜ」事件だろう。04年、24歳の「たちかぜ」乗員が電車に飛び込み自殺した。名指しで「許さねえ」と記された遺書があり、海上自衛隊横須賀地方総監部が内部調査を行ったところ、「虐待」が判明する。虐待を行っていたのが艦歴7年の古参、2曹のSだった。

「S2曹は玩具のガス銃や電気銃を艦に持ち込んで後輩を頻繁に打っていた。また殴る蹴る、恐喝するなどの犯罪行為を繰り返していた。さらに、わいせつなビデオを多数艦内に持ち込んで鑑賞したり、工具をそろえて趣味の大型ナイフを製作するといったことも行っていた。やりたい放題だった」

 Sは懲戒解雇され、刑事事件でも立件されたが、自衛隊は自殺との因果関係を認めず、「風俗通いで借金を作った」ことが原因ではないかとさえ主張した。そのため両親が真相を求め国を提訴。だが自衛隊は自殺に関する内部アンケートを隠蔽するなどして、ようやく最高裁で国の責任が認められたのは今年4月になってからだ。

 まだある。07年5月14日、北海道名寄市の陸上自衛隊で25歳の隊員・植田大助さんが首つり自殺した。20万円がはいった金庫を盗んだという濡れ衣を上司に着せられた“抗議の自殺”だった可能性が高いという。大助さんは部隊の金庫当番を命じられた。「盗難事件」はそれからわずか二〇日後のことだ。遺書には「金庫を盗んでいない」「もう限界です」「犯人を見つけて下さい」と記されていた。生前の大助さんの話や、上司である中隊長の言動に不審を持った家族はこう類推している。

「何ものかによって罠にはめられたのではないか」
「一連の不自然な行動や言動をみていると中隊長が犯人なんじゃないかとすら思えてくるんです」

 何らかの理由から大助さんが中隊長に目をつけられ、そのため濡れ衣を着せられた──遺族はそう考えたのだ。一時は訴訟も考えたが、それにはいたってはいない。そしてこの窃盗事件は今でも捜査中だという。

 本書では防衛省が公開した自衛隊員の自殺志望者数の一覧が掲載されている。それによれば、1994年から2003年にかけて、年間50人〜80人ほどで推移してきた自殺者数が、2004年から2006年までは100人となり、その後80人台となっている。

「自衛隊の自殺率は一〇万人あたり三五人〜四〇人で、省庁のなかで突出して高い」

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