「演歌は日本の伝統」を掲げる議員連盟に「？」演歌は1960年代に生まれたもの、みだりに「伝統」を使うな！

2016.03.17 11:52

輪島裕介『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』（光文社）

「日本の国民的な文化である演歌、歌謡曲をしっかり応援しよう」

　今月2日、今村雅弘元農林水産副大臣によるこんな挨拶で、演歌や歌謡曲を支援する超党派の議員連盟「演歌・歌謡曲を応援する国会議員の会」の発起人会合は開かれた。

　この集まりには、歌手の杉良太郎氏も出席し、「演歌や歌謡曲は若者からの支持が低い。日本の良い伝統が忘れ去られようとしている」と発言。日本の伝統である演歌を守るべきであると強調した。今後、この会では、各議員の地元選挙区で開かれるカラオケ大会に演歌歌手を呼ぶ活動を行うなど、振興策を打っていく予定だという。

　演歌は日本の伝統──、今ではごく当たり前のように用いられているこのフレーズだが、ちょっと引っ掛かるものがある。果たして本当に演歌は日本の伝統なのだろうか？

　ポピュラー音楽研究を専門とする輪島裕介氏は『創られた「日本の心」神話「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』（光文社）のなかで、作家・小林信彦氏の文章を引き、その認識に対し疑問を呈している。

〈〈演歌は日本人の叫び〉
　といった文章を見るたびに、ぼくは心の中でわらっていた。わらうと同時に、いったい、いつからこういう言葉が通用するようになったのか、いや、いつ発生したのかと疑問に思っていた。
（略）
　昭和三十年前後に登場した三橋美智也は民謡調歌謡曲、三波春夫は浪曲調歌謡曲であり、その時点では誰も演歌とは呼ばない。こう見てくると、〈演歌〉そのものが見当たらない。一九六〇年代のどこかで発生したとしか、言いようがない〉

　1948年より刊行されている『現代用語の基礎知識』（自由国民社）に「演歌」の項目が立てられたのも70年版からであり、それ以前にこの言葉は載っていない。このことからも現在親しまれている「演歌」が果たして本当に「伝統」なのかどうか疑問が生まれる。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

@litera_webさんをフォロー

この記事に関する本・雑誌

創られた「日本の心」神話　「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 (光文社新書)

1	オウム・菊池直子と教団の性愛事情
2	『嫌われる勇気』を捨てろ！
3	グレタさん攻撃の登山家・野口健氏とコスモ石油、電力業界
4	オウム菊地無罪！井上証言の裏に
5	萩生田光一“事実上お咎めなし”の裏に岸田首相の描く悪夢のシナリオ
6	吉村が「万博出禁」玉川徹のコメントは当たり前の指摘ばかり！
7	乙武洋匡が不倫旅行、5人の女性と関係
8	戸塚宏の“体罰”を支持する右派の狙い
9	葵つかさが「松潤とは終わった」と
10	セカオワFukaseのいじめ発言
11	櫻井よしこの朝日攻撃の「捏造」が法廷で
12	大阪万博の工事現場でガス爆発　会場地下メタンガスへの懸念が現実に！
13	嵐・松本潤に葵つかさが反撃開始？
14	グレタさん攻撃で炎上した野口健は15歳のシェルパの娘と「児童婚」
15	久米宏が終了決定のTBSラジオで田中真紀子と
16	世界的建築家の「カジノありきの万博」批判に大阪市長が大ウソ反論
17	小林製薬「紅麹」で問題視される「機能性表示食品制度」は安倍案件！
18	ジャニーズタブーで犯罪もみ消し
19	痴漢しても中島裕翔のドラマは放送開始
20	グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音

オウム・菊池直子と教団の性愛事情

『嫌われる勇気』を捨てろ！

グレタさん攻撃の登山家・野口健氏とコスモ石油、電力業界

オウム菊地無罪！井上証言の裏に

萩生田光一“事実上お咎めなし”の裏に岸田首相の描く悪夢のシナリオ

吉村が「万博出禁」玉川徹のコメントは当たり前の指摘ばかり！

大阪万博の工事現場でガス爆発　会場地下メタンガスへの懸念が現実に！