渋谷区がLGBTに優しくホームレスに厳しいのはなぜ? マツコも憤るLGBTの商売利用

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ナチュラルエイト公式サイトより


 先月の統一地方選に際して行われた東京・渋谷区長選で、無所属の長谷部健氏が選出された。長谷部氏といえば、渋谷区で4月1日から施行された通称・同性パートナーシップ条例を提案したとして知られる人物。正式には「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」といい、区がLGBTカップルを結婚に相当する関係と認め証明書を発行するというものだ。

 これは性的マイノリティの人々にとって当然の権利であり、世論も「画期的だ」と賛同する声が大きい。本来的にはLGBT同士の婚姻も法律上認められるべきで、その成立にはまだまだ課題が山積みとはいえ、同条例の施行は、性的マイノリティの社会からの疎外がすこしでも軽減されることが期待されている。

 しかし、である。それだけで、渋谷区及び長谷部区長の政治を「マイノリティに優しい」と諸手を挙げて評価することはできない。なぜならば、彼らはLGBTの権利に理解を示す一方で、他のマイノリティを強制排除してきた事実があるからだ。

 長谷部氏は大手広告代理店・博報堂を退社後、2003年に渋谷区議選に初出馬以来、3期連続トップ当選。今回の区長選でも無所属での出馬とはいえ、桑原敏武・前渋谷区長から後継者として推されていた。その桑原区政の09年、渋谷区は同区にある宮下公園の命名権を年間1700万円の10年契約で大手スポーツメーカー・ナイキジャパンに売却する方針を発表。これは単にネーミングライツに関する契約締結ではなく、実際にはナイキによる公園の使用を前提としており、改修工事のため、渋谷区は宮下公園で路上生活をしていたホームレスを強制的に追い出したのである。

 具体的には、渋谷区は整備を名目とした行政代執行で反対団体が設置したテントなどを強制撤去したわけだが、東京地裁は今年3月、「路上生活者の男性を無理やり担ぎ上げて退去させたのはやり過ぎだ」として違法性を認め、区側に男性へ損害賠償などを支払うように命じている。生活者の居場所を奪うことは生存権を侵害する行為であり当然としか言いようがないが、区側は判決を不服として控訴中である。

 この桑原区政の下で渋谷区とナイキを結びつけ、ホームレスを強制排除した張本人の一人が現渋谷区長・長谷部健氏なのだが、現在でも渋谷区は年末年始などに一方的に公園を閉鎖しており、炊き出し支援の機会を阻止しているとして批判されている。これに対し桑原前区長は今年3月の会見で、支援団体による年末年始の炊き出しなどは「政治運動」であるなどと主張、「わけのわからない主義主張のために譲歩することはない」と強弁した。

 このように、市民による路上生活者の生活支援に対し明らかに拒絶的な発言をしている一方、「多様性の尊重」「寛容性」を打ち出したパートナーシップ条例もまた、桑原前区長の肝いりだった。前述の通り、長谷部氏はその「発案者」として選挙でのアピールポイントにしていたわけだが、条例のなかで30回以上も登場する「多様性」のサークルの内側に、ホームレスやその支援者を入れることはできない、ということなのだろうか。

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