「シャルリ」襲撃を非難する安倍首相とメディアが無視する日本の言論テロ

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 さらに不可解なのは、警察当局も熱心な捜査に動く気配をまったく見せないことだ。北星学園大にいたっては約半年にわたって3回も脅迫を受けているのに、捜査が進展している気配がまったくないのだ。警察組織を長年取材してきた大手紙の社会部記者が言う。

「警察という組織は、良くも悪くも上意下達が徹底していますからね。常に上の政権や上層部の意向を忖度している。ヘイト極右勢力と近い山谷えり子氏が国家公安委員会委員長に座って、朝日嫌いの安倍氏が首相にいる以上、捜査には動かないと思いますよ」

 国内ではこんな状態をつくりだしながら、フランスのテロ事件に対してはきれいごとのテロ批判を口にしているのだ。

 そもそも、安倍政権は言論、報道の自由を守るどころか、それを抑圧し、制限する動きを繰り返してきた。その典型例が特定秘密保護法だろう。条文が極めて曖昧で恣意的な解釈が可能なこの法律を安倍政権は強行採決し、昨年末には施行されるという事態をつくりだしてしまったのだ。

 こうした安倍政権の姿勢は、国際的にも懸念が出ている。国際ジャーナリストNGO「国境なき記者団」(本部パリ)が発表する「報道の自由度」ランキングで日本は近年、順位を大きく下げ続け、2014年はとうとう59位にまで転落してしまった。主要先進国ではダントツの低ランクであり、東アジアでは台湾や韓国を下回っているのだが、その理由として挙げられているのが、福島第一原発の事故をめぐる政府の秘密体質などに加え、安倍政権が熱心に推進した特定秘密保護法の存在だった。

 そんな政策を平気で強行する政権のトップが「言論・報道の自由」を口にしても、国際的には建前としか受け止められず、むしろ嘲笑を浴びるだけだろう。

 実際、こうした政権の鈍感さはメディアや社会にも蔓延し、「言論の自由」は確実に萎縮を続けている。

 つい最近では、お笑いコンビの爆笑問題がNHK番組への出演時、打ち合わせで政治家ネタを軒並み却下されたことを暴露した。コメディアンが政治家を風刺するのは世界的にもごく当たり前の話なのだが、安倍首相の肝いりで送り込まれた籾井勝人NHK会長は、政治家ネタについて「品性がない」「(NHKでは)やめた方がいい」と言い放った。

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