宮台真司インタビュー後編

宮台真司がネトウヨを語る「あれは知性の劣化ではなく感情の劣化だ」

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──ここまでの宮台さんの話を聞いていると、ネット右翼はとるに足らない存在のように思えますが、実際には朝日報道問題への反応などから察するに、無視できない影響力を持っています。

宮台 違うと思う。言論の場に参加する年齢層が若くなって若干敏感になっただけで、僕らの世代は気にしていないと思う。気にしているのは、ネトウヨの動向じゃなく、それをカサに着た首相官邸の意向でしょう。映画監督の想田和弘氏が、昨今は〈参加民主主義〉ならぬ〈消費者民主主義〉に傾斜しがちだと言います。僕の言葉では、政治をネタに鬱屈を晴らす〈表出〉が、〈表現〉より優位する。要は〈実存と社会の混同〉。これはクソ。ネットに集う──その延長上でオフネットに出現する──ネトウヨが、政治に〈参加〉しているのか〈消費〉しているのかは一目瞭然です。でもそれは、マスコミの政治談義が〈消費者民主主義〉に過ぎない事実の「映し鏡」です。他の先進各国のように地方議会をウォッチせず、専ら霞が関がどうたら永田町がどうたらといったコミュニケーションに淫するマスコミと大衆の存在が、〈消費者民主主義〉を象徴します。それが「痴呆議会」とネトウヨを準備したわけです。

──しかし今日の言論の模様を、若い世代は基本的にネットで受容しているわけで、消費のために編み出された言論を〈ガチ〉だととらえる。すなわち「そうか納得!やっぱ朝日って売国奴だわ」というふうになり、政治参加にまで向かう層もいるのではないですか?

宮台 そう。だからこそ、しばき隊やリテラが体現している“左翼ゴロ路線”が有効なんだ。なぜ有効かといえば、まさにその“消費という場所”で戦えるからです。今までそういう戦い方がヘイトに独占されていたのを奪還するわけだ。それを圧倒的な〈知的物量作戦〉を伴った形で遂行すると良い。これには実例がある。1979年3月から2004年4月まで25年間続き、僕もたくさんゴシップを書かれた「噂の眞相」が、まさにそれを実践していたじゃないか(笑)。世の中に鬱屈した連中がいて、ネタは何でもいいから〈表出〉したいと思っているなら、「君たち、政治ネタを消費するなら、こっちの方が格好いいぜ」と“ガス抜き勝負”する部門が、ネトウヨだけでなく多方面になきゃいけない。僕たちが中高生のときに経験した学園闘争だって、今から振り返れば、ネタは何でもいいから〈表出〉したいという“ガス抜き”という面があったことは否めない。だって「暴れられて楽しかった」っていう同級生がたくさんいたしね。

──“ガス抜き”だけで本当にいいんですか?

宮台 “ガス抜き”だけでいいわけないじゃないか(笑)。ここでの僕の話も“ガス抜き”かよ。ただ、“ガス抜き”勝負になっているとき、そこで建設的かどうかなんて考えても、そもそも勝負のフィールドを勘違いしていると言いたいわけ。昨今重要なのは多方面作戦です。1960年代から70年代にかけての人文書全盛時代のような〈知的物量作戦〉の機能的等価物を復活させなければいけないし、同時代の“左翼ゴロツキ”の機能的等価物を復活させる必要もあります。ただし、間違っても、〈知的物量作戦〉によってネトウヨを論破できるとか説得できるとか思っちゃいけない。同じく「彼らにも他者の悲しみを自分の悲しみとする能力があるはずだ」などと考えるのもダメ。現実を見ましょう。

(語り手=宮台真司〈敬称略〉/聞き手=HK・吉岡命)


■宮台真司プロフィール
1959年生まれ。社会学者。映画評論家。首都大学東京教授。権力論、国家論、宗教論などに通じ、なかでも女子高生のブルセラや援助交際の実態などをフィールドワークにより明らかにするなど、性愛論や文化論に関する著作で若者たちから熱狂的な支持を集める。近著に、作家・仲村清司と沖縄問題について対談した『これが沖縄の生きる道』(亜紀書房)がある。

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