沖縄で1400人超の感染爆発でも岸田首相は「在日米軍が原因と断定するのは難しい」 米軍にも言うべきこと言う韓国とは大違い

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首相官邸HPより


 水際対策の強化や「アベノマスク」廃棄決定などによって「安倍・菅よりマシ」と評価の声もあがってきた岸田文雄首相だが、ここにきて、いよいよこの男の化けの皮が剥がれた。

 岸田首相は昨日6日、沖縄県と山口県、広島県から「まん延防止等重点措置」を適用するよう要請があったと発表したが、そのぶら下がりにおいて、沖縄の感染状況と米軍基地の関係について質問が飛ぶと、こんなことを言い出したからだ。

「政府としては米軍側の全ゲノム解析の結果を待っているところであり、現時点で感染拡大の原因や感染ルートを断定するということは難しいと思っている」

 なんと、この期に及んでも、沖縄の感染拡大の原因が米軍にあることを認めようとはしなかったのだ。

 言わずもがな、沖縄県と山口県、広島県で突出して感染が急拡大しているのは、あきらかに米軍基地の影響だ。実際、沖縄では12月中旬から米軍基地で大規模クラスターが発生し、1月3日までのあいだに県内基地9施設で確認された感染者は計832人に。これは山口県も同様で、米軍岩国基地でも米軍施設関係者529人の感染が確認されており、県内の感染者は基地のある岩国市を中心に拡大。これが隣接する広島県にも拡がっていると見られている。つまり米軍基地から外への「染み出し」によって市中感染が拡大しているというわけだ。

 そして、これには裏付けとなるデータも出てきている。4日に会見をおこなった岩国市の福田良彦市長は、「感染した米軍岩国基地日本人従業員と飲食店従業員のゲノム解析で型が同一だったことから、オミクロン株が基地内の感染者を通じて市中に漏れた可能性が高い」と公表しているからだ。

 にもかかわらず、岸田首相は「米軍側の全ゲノム解析の結果待ち」という理由で「感染拡大の理由が米軍だとは断定できない」などと寝言を言っているのである。アメリカのご機嫌取りに終始してきた安倍首相や菅首相と、いったい何が違うというのだろうか。

 いや、そもそも本日の新規感染者が1400人を超えるという大変な状況になっている沖縄の感染拡大をはじめ、米軍基地からの染み出しを原因とした感染拡大は、あきらかに岸田首相に大きな責任がある。

 前述したように、沖縄では12月16日以降、キャンプ・ハンセンで大規模クラスターが発生したが、その後も米軍関係者は基地外の街に繰り出し飲食する姿が目撃されており、さらには複数の飲酒運転まで発覚。ところが、岸田首相は「水際対策の強化」を打ち出しながら、一方で在日米軍の問題は見て見ぬふりをし、同月22日になって林芳正外相が在日米軍のラップ司令官との電話会談をおこない、感染者が発生した米軍部隊がアメリカ出国時と日本入国時にPCR検査を実施していなかったと公表したのだ。

在韓米軍は隔離終了前に韓国側がPCR検査実施、一方在日米軍はアメリカに丸投げ

 説明しておくと、日米間には米軍の特権的な地位を定めた「不平等条約」である日米地位協定により、在日米軍には検疫を含めて国内法が適用されない。そのため、2020年7月に日米両政府はコロナ対策で在日米軍は「日本側と整合的な措置」をとると合意していた。だが、それを一方的に破られていた、というわけだ。

 言っておくが、これは異常事態だ。というのも、地位協定は米韓でも結ばれているが、昨年12月24日放送の『報道1930』(BS-TBS)の取材によると、在韓米軍は出国時に検査を実施し、入国時もアメリカ側がPCR検査を実施。しかも、10日間の隔離終了前には、韓国側がPCR検査を実施しているというのだ。

 一方で在日米軍の場合は、日本側による変異株検査を拒否。10日〜14日間の行動制限のみで、検査は5日目の一度のみで実施は米軍側。また、行動制限中も施設区域内の移動は自由で、ワクチン2回接種済みなど一定の条件のもと基地内でマスクを外しての活動も認めていたという。

 ようするに、同じく地位協定を結んでいる韓国は出国時・入国時・隔離終了時と3回も検査を実施(しかも、うち1回は韓国側が検査)しているというのに、日本は在日米軍に任せきりで対策を放置。その結果、このようなことになってしまったのだ。

 こうした対応の違いについて、沖縄国際大学の前泊博盛教授は「自国の主権を強調し、米軍に改善を求める姿勢の違いが日韓両政府の間で表れたのだろう」と指摘しているが(琉球新報2021年12月31日付)、いかに日本が「主権なき国家」であるかがコロナ対策でもはっきりしたと言えるだろう。

 だが、日本の「在日米軍への犬っぷり」はこれだけではない。林外相は22日の会見で“感染者が確認された部隊では出入国時にPCR検査が実施されていなかった”としていたが、24日には多くの新聞朝刊が「すべての在日米軍の出入国時にPCR検査が実施されていなかった」「多くの部隊が未検査」と報道。すると、24日の閣議後会見で林外相はその事実をようやく認め、さらには、じつは2021年9月3日から米出国時検査を免除していたと公表したのだ。

 どうして22日の時点でこのような重要な事実を確認・公表しなかったのか、あまりにも杜撰だとしか言いようがないが、しかし、林外相はあたかも「私が強い遺憾の意を直接ラップ司令官にもお伝えをした」結果として判明したかのように強調したのである。

 これだけでも岸田政権の弱腰ぶりが見て取れるが、さらに驚くのはこのあと。沖縄県の玉城デニー知事は12月21日に日本政府と在沖米軍に対して「収束まで米本国から県内への軍人軍属の移動停止」「基地外への外出禁止」などを要請していたのだが、林外相が在日米軍関係者の外出制限を含む感染防止対策の強化をアメリカ側に申し出たのは、なんと昨日6日午前のこと。さらに、在日米軍が「基地外でのマスク着用を義務化」したのも、昨日になってのことだ。

 ようするに、さんざん岸田政権は在日米軍に対して「強い遺憾」を伝えたと主張し、メディアも「岸田首相が在日米軍の対応に憤慨」などと伝えてきたが、たんに怒っているフリをしているだけで、何も結果に結びついていなかったのである。つまり、「怒ってる感」による「やってる感」でしかないのだ。

在日米軍への「思いやり予算」は年約220億円増の2110億円の一方、沖縄への交付金は219億円減

 実際、昨日のぶら下がりで岸田首相は、記者から今回の感染拡大と在日米軍の関係から日米地位協定の改定を検討するかと問われると、「日米地位協定の改定等は考えていない」と断言。「日米の間でしっかり意思疎通を図って、現実的に具体的に対応していくことが大事」「実態を把握して、いまの現実のなかで最善の対応を考えていくことが政府として優先で考えるべきこと」などと述べた。

「現実的に具体的に対応していくことが大事」って、昨年から沖縄は深刻な状況になることが十分予想されていたにもかかわらず、政府の弱腰でほとんど何も対応できていないというのに、この男は何をほざいているのか。

 その上、この期に及んで日米地位協定を放置しようとは──。岸田政権は2022年度からの在日米軍駐留経費負担、いわゆる「思いやり予算」を前回協定より年220億円近くも増額させた年平均約2110億円(5年間の合計約1兆550億円)とすることでアメリカと合意。その一方で、辺野古新基地建設に反対する沖縄県に嫌がらせするかのように沖縄振興一括交付金を219億円も減額した。その姿勢は、沖縄に嫌がらせをしてきた安倍・菅政権とまったく変わりないものだが、「水際対策の強化」をあれだけ打ち出しながら日米地位協定には手をつけようともしない岸田首相のこの態度こそが、沖縄の新規感染者数が1400人超えという凄まじい結果を生んだのだ。

 つまり、「安倍・菅よりマシ」などではなく、岸田も相当酷いのだが、問題なのは、対在日米軍に対する岸田政権の弱腰っぷりや日米地位協定の問題を、メディアがほとんど深掘りしていないことだ。

 メディア、とくにワイドショーではコロナ初期からパチンコ店や接待を伴う飲食店、河原でバーベキューをする一般市民や繁華街に集まる若者などをさんざんやり玉に挙げるなどしてきたが、ここまであからさまに米軍基地が感染拡大の要因となっているというのに、それはまったく問題視しようとしない──。これまでも、沖縄で在日米軍関係者による殺人や事故が起こるたびに日米地位協定の問題が浮き彫りになってきたが、メディアが政権の意向に沿うかたちの報道をつづけた結果、協定見直しの世論が高まることはなかった。かたや韓国では、前述したようにコロナ対策で出入国時、隔離機関終了前の検査を実施しているだけではなく、世論の高まりに後押しされて政府がアメリカと粘り強い交渉をつづけた結果、殺人や強かん、誘拐、放火、強盗、飲酒運転による死亡事故などの犯罪を在韓米軍関係者がおこなった際、その容疑者の身柄を起訴前に韓国側に引き渡せるよう規定が改められるなどの成果をあげているのに、である。

 岸田首相の在日米軍に対する大甘な対応と日米地位協定の見直し拒絶、そしてこの問題を問題として大きく取り上げないメディア。いったいこの国はいつまで主権を差し出しつづけ、その負担を沖縄に押し付けつづけるつもりなのだろうか。

最終更新:2022.01.07 09:13

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