お笑いに関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
松本人志がネットニュースの切り取り報道を批判! でも過去の発言内容をごましているのは松本のほうだ
フジテレビHP『ワイドナショー』より
「ボクちょっと1個言いたいんですけどね。最近、ネットニュースがね、本当にひどくて」
今朝、放送された『ワイドナショー』(フジテレビ)で、松本人志がまたぞろネットニュースを批判して、話題となっている。安田純平氏の解放について自分が語ったことを歪められたというのだ。
松本は、先週の『ワイドナ』で「安田さんに個人的に道で会ったらちょっとは文句を言いたいと思う。だから、極端な話し、わざと人質になって身代金折半しょうやみたいな奴が出て来ないとも限らないですからね、この先。もしくは、う〜ん、なんやろ、そういうISの参加の仕方する奴が出てくるかもしれないですから。もちろん安田さんは絶対違うと思いますよ。でもそういうこと考えたら、もうこれ以上はやめようねっていう感じにはしてほしい」と語っていた。
これが、毎週のルーティンワークのように複数のネットニュースで報じられたのだが、松本によると、その発言のうちの「安田さんは絶対違うと思いますよ」という部分を切られたのだという。
「そしたら、ネットニュースはそこを切ったりするんですよ。ここ切るのも嫌だし、もっとたち悪いのは、『絶対違うと思いますけど』の、『絶対』だけを刈り取ったニュースがあって。もう悪質としか言いようがない。オレを炎上さすために誘導がひどいんで」
そして、松本はこうたたみかけたのだった
「だから何度も言っている通り本当にワイドナショーを見た人だけボクに反論して欲しい。もうネットニュースはやめて。ネットニュースの賛否両論はうんざり。賛否両論は五対五のことを言うんですよ基本は。9・1ですよ。9・1でも賛否両論。この1もあなたたちのネットニュースを見た1ですからね。本当に偏向報道がひどい」
ちなみに、本サイトは、先週の『ワイドナ』で松本の発言は取り上げていない(というか、こういう言い訳を言われないように、テレビでの発言を批判するときは、前後の文脈も含めて、なるべく忠実に引用している)が、関係ないのを承知で、あえて言わせてもらおう。
松本に「オレを炎上さすために誘導がひどい」「偏向報道がひどい」とネットニュースを批判し、「ネットニュースをやめて、本当にワイドナショーを見た人だけボクに反論して欲しい」などとエラソーに語る資格があるのか。
なぜなら、松本は松本で『ワイドナ』で喋ったことを自己弁護のために、平気でごまかし、歪曲するからだ。
その典型が、例の宮崎駿でっち上げ批判の言い訳だろう。2017年5月28日の『ワイドナ』で、創作ネタツイートの宮崎駿監督引退宣言集を本物だと思い込んでそのまま報道、松本らがそれを前提にさんざん宮崎監督のことをからかってしまうという失態を演じたことがあった。
引退宣言集は創作ネタツイートをもとにした完全なデマであることを本サイトなどが報じたため、翌週6月4日の放送で、松本らは釈明することになったのだが、その釈明のなかでやはり松本はこんなふうにあるネットニュースを批判したのだ。
「ただね、これだけは僕、本当にひとつ言いたいんです。1個だけすごく嫌な記事を見たんです。それはもうなんか、宮崎さんが言ってもないような文言を取り上げてみんなでスタジオでまあなんか、バカに、小バカにして笑ってたみたいなふうに書かれてたんですけど、それはないよね!?」
「あの、オンエア見ていただいた方にはわかると思いますけど」
「すげえなーってみんなで盛り上がってただけなんですよ」
「だから、そこにバカにしてる空気は一切なかったんですが、そういうふうに書かれてるニュースをもし監督の耳に入ったら、もう嫌じゃないですか」
このネットニュースがリテラのことを指していたのかどうかは定かではなかったが、この松本の「宮崎監督をバカにする空気は一切なかった」なる釈明は真っ赤な嘘だった。当時、本サイトではこの松本の嘘釈明について詳細に検証した。当時の記事を以下に再録したい。
芸人として大きな権力と人気をバックに、毎週のように社会問題や政治ニュースについて取り上げ、「共謀罪」や「安保法制」「安倍政権」への評価まで口にする松本の発言は、世論形成に大きな影響力をもっている。松本の言うとおり、多くのメディアは松本の発言になんの批判も加えず垂れ流し、ネットでも賛同の声を集めることが多い。だからこそ、松本の発言が、厳しい批判や検証にさらされるのは当然のことだ。にもかかわらず、たまに批判されると、自己弁護と責任転嫁を繰り返し、報じたメディアを攻撃する松本のやり口に騙されないよう、あらためてご一読いただきたい。
(編集部)
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ワイドナ誤報釈明で松本人志が「宮崎監督をバカにする空気一切なかった」「ニュースが歪曲」とウソ! ならば何を話してたか公開しよう
オリエンタルラジオの中田敦彦から“大御所”という表現でその支配構造を揶揄された松本人志だが、例の『ワイドナショー』(フジテレビ)の誤報問題でも、その“大御所の力”ってヤツを遺憾なく見せつけた。
創作ネタツイートの宮崎駿監督引退宣言集を本物だと思い込んでそのまま報道、松本らがそれを前提にさんざん宮崎監督のことをからかってしまうという失態を演じたはずが、昨日の『ワイドナショー』謝罪放送によって一転、なぜか“いさぎよいヒーロー”になってしまったのだ。
それはもちろん、放送後、スポーツ紙のサイトをはじめとするマスコミが「次起きたら降りる」という松本の番組中の発言を一斉に取り上げ、その態度を称賛したからだ。スポーツ紙は松本の発言をこんなふうに紹介していた。
「スタッフの責任に丸投げするのは嫌なんですよ。信じてしゃべるしかないんですよ。知らんわっていうのは嫌いなので、今度、こういうことがあった時は『ワイドナショー』を降りようと思っています。マジです」(「スポーツ報知」)
たしかにこれを読めば、「さすが松ちゃん、いさぎよい!」と思うのは無理もない。でも、これ、いさぎよさげに聞こえる部分を抜き出しているだけで、実際の松本の発言や態度はいさぎよさとは正反対。責任転嫁と言い訳に満ちた相当にカッコ悪いものだった。
そもそも、この謝罪放送は、フジテレビの秋元優里アナウンサーが「5月28日放送の『ワイドナショー』において(略)紹介しましたフリップの内容は、宮崎氏本人の発言でなかったことが明らかになりました」という謝罪文を読み上げる形で始まったのだが、秋元アナが「深くお詫び申し上げます。大変失礼いたしました」と謝罪を締めるまで、画面に映っていたのは秋元アナ、東野幸司、犬塚浩弁護士、芸能リポーターの長谷川まさ子、女子高生タレントの瀬間彩海の5人のみ。松本は完全にフレームから外れていた。
で、秋元アナの謝罪文を受けて東野が「申し訳ございません」と繰り返した後、「松本さんもちょっとね」というフリで、ようやくカメラが切り替わり、まるで外部のご意見番のような体で松本が映し出されたのだ。松本は単なるレギュラーというだけでなく番組HPの紹介に「松本人志と東野幸治が送るワイドショー」とあるように “番組の顔”、しかも、嘘の引退宣言集に乗っかって、さんざん宮崎監督をいじり倒していたのに、なぜかまったく謝罪を免除されていたのである。
その後、松本はくだんの「次やったら降板」宣言を始めるのだが、これも実際の発言内容は以下のようなものだった。
「こういうことがあったときに、あれですよね、でもなんかこう、スタッフの責任に丸投げすんのは僕はやっぱりあの、嫌なんですよ。いや、これ本当にあの正直言うと、知らんがなですよ。だって、我々は与えられた情報をしゃべるしかないので、それでまあ本番中もこういう、事前にあのフリップを見たわけでもないですし、僕はまあそのそこまで詳しいわけではないから、まあね、ああ言われると我々はそれを信じてしゃべるしかもうないんですよ。んー、で、これをもしやめるならば、我々はもっと東野も俺も何時間も前にスタジオに入って、ニュースを全部決めて、文言も全部確認して、裏取りもしてってやらないといけない。で、そんなことできるわけないし、我々の仕事ではそれはないので。なんですけど、だからといって、我々は知らんわ~っていうのは僕は何となく嫌いなので、どうしようかなーと思ったんですけど、今度もしこういうことがあったときは、もう僕は『ワイドナショー』を降りようと思ってるんですよ」
そう。「スタッフの責任にすんのは嫌」「僕は知らんというのは嫌い」とか言いながら、「正直いうと知らんがなですよ」「与えられた情報」「ああ言われると我々はそう信じてしゃべるしかない」と思いっきり言い訳しまくっていたのだ。
『ワイドナショー』で「スタッフに責任丸投げは嫌」と言いつつ責任転嫁と言い訳連発
いや、これは言い訳というより、明らかな責任転嫁といったほうがいいだろう。報道、情報番組の司会者やレギュラーコメンテーターというのは、番組全体を背負って社会的な発言をする存在であり、ミスがあったときは、当然、その責任をとる立場でもある。その情報をとってきたのが自分かどうかというのは関係がない。スタッフが取材したものだろうが、ADが作ったフリップだろうが、それを事実として語ったら、誤報が明らかになったときは番組を代表して謝罪する必要があるのだ。
それが、「事前にフリップを見たわけでもない」などと平気で部外者のようにふるまい、「次にこういうことがあったら降りる」「それぐらい失敗のないように緊張感をもって。ニュースを扱うということはそういうこと」「僕はそれぐらいでみんなの緊張感が高まればいいかなーと」とか、まるでスタッフへの訓示のようなコメントを口にするのだから、いくらなんでも他人事感がひどすぎる。
しかも、唖然としたのが、「東野も俺も何時間も前にスタジオに入って、ニュースを全部決めて、文言も全部確認して、裏取りもしてってやらないといけない」「そんなことできるわけない」などと堂々と言ってのけたことだ。あのね、大概のニュース番組のキャスターは毎日、そういう準備、検証作業をやっているんだよ。2、3時間前にスタジオ入りして、その日のテーマを事前勉強して、直接、裏取りはできなくても、どういう取材過程で入ってきた情報なのか、確認が取れている情報なのかをスタッフにしつこく聞いて、そうやってぎりぎりのところで、情報を取捨選択し、表現を調整しているのだ。
これは、ワイドショーの司会者だって同じだ。政治問題や社会問題などヘビーなテーマのときはほぼ必ず同様の作業をやっているし、コメンテーターも事前にその日扱うテーマのラインナップを聞いて、事前取材や調査をしている。
おまけに『ワイドナショー』は生ではなく収録番組である。事後にいくらでもチェックが可能ではないか。
ようは、松本は「オレはトークの天才やから事前準備なんて必要ない」という、お笑いバラエティの司会やフリートークみたいな感覚で『ワイドナショー』に出演しているということなんだろう。なんとなくそんな気はしていたが、こんな安易な姿勢で安保法制や共謀罪の擁護コメントを口にし、それがまるで「大人の正論」のように扱われているのかと思うと、本当にぞっとする。
とまあ、情報やニュースを扱っている自覚がまったくない松本だが、もっとタチが悪いのは、たんに情報番組のレギュラーコメンテーター、番組の顔としての責任を放棄しているだけでなく、この期に及んで自分をまるで被害者のようにとらえていることだ。
マスコミにほめそやされている「次こういうことがあったら降りる」宣言もその典型だが、松本はもうひとつ、この謝罪コーナーの最後に、自己弁護のためにびっくりするようなデタラメを口にしていた。
「ただね、これだけは僕、本当にひとつ言いたいんです。1個だけすごく嫌な記事を見たんです。それはもうなんか、宮崎さんが言ってもないような文言を取り上げてみんなでスタジオでまあなんか、バカに、小バカにして笑ってたみたいなふうに書かれてたんですけど、それはないよね!?」
で、東野が「そうです、そうです」「だから毎回毎回死ぬ気で作品を作って引退宣言をしたと受け取って、あ、引退するんだ。また作るんだ。ほんなら死ぬ気やからまた引退するっていうなかの……」と同調すると、松本はさらにこんな弁明を重ねたのだった。
「あの、オンエア見ていただいた方にはわかると思いますけど」
「すげえなーってみんなで盛り上がってただけなんですよ」
「だから、そこにバカにしてる空気は一切なかったんですが、そういうふうに書かれてるニュースをもし監督の耳に入ったら、もう嫌じゃないですか」
「1個だけすごく嫌な記事」が、引退宣言集に乗っかった松本らのコメントを批判したリテラの記事のことを指しているのか、あるいはリテラは「バカにしてた」とは書いていないので別のニュースなのか、よくわからないが、とにかく、悪意あるニュース記事のせいで、自分たちの愛情あるコメントが歪められて伝わったというのである。
でも、これ、まったくの大嘘である。松本たちに自分たちがどういう態度だったかを思い出してもらうために、該当する会話をそのまま引用してみよう。
「宮崎監督をバカしている空気は一切なかった」は嘘! バカにしまくり発言再録
東野「失礼ですけど、これちょっとおもしろいですよ」
松本「え、なになになに」
東野「引退宣言集」
佐々木恭子アナ「これまでね、11の作品を監督してきてるんですが、そのうち7回、引退宣言をしている」
一同 爆笑。
松本「不死鳥やな」
東野「1回も死んでないですよ。やめてません」
松本「あ、そうか、そもそも死んでないんや」
東野「そもそも、そもそも死んでないんですから。ラピュタなんか大昔でしょ? なんとなく印象に残ってんのは」
佐々木アナ「はい、このときには……」
東野「86年ですよ!?」
佐々木アナ「はい」
東野「30年前」
佐々木アナ「まだ45歳のときなんですが、「人生で最高に引退したい気分」。『紅の豚』のあと「アニメはもうおしまい」「100年に1度の決意。これを最後に引退」。『千と千尋の神隠し』も世界的ヒットになりましたが、「引退してシニアジブリを立ち上げる」「ここ数年で最高の辞めどき」。『ポニョ』のあとは「体力的にも本作が最後の長編になるだろう」。で、『風立ちぬ』では、「出来は上々で申し分のない引退のチャンス」と、まあいろんな形で公表の仕方は違ったんですが、『風立ちぬ』では本当にもうジブリの鈴木プロデューサーも同席されて……」
松本「たしかに、今度こそ本当やって言うてましたよね」
佐々木アナ「そうなんです! その時の会見の内容が「何度もこれまでにやめると言って騒ぎを起こしてきた人間ですが今回は本気です」
一同 爆笑。
松本「もうアカン。もうアカン。もう信じひん」
佐々木アナ「次の作品も考えると5年じゃ済まない、6年か、7年か。僕の長編アニメーションの時代はもう終わったんだ…」
東野「ウソばっかりやん」
佐々木アナ「という宣言だったんですね」
東野「ウソばっかりやん」
佐々木アナ「しかし、今回引退を撤回するという発表をしたんですが、そのときにも「年齢的には今度こそ本当に最後の監督作品になるでしょう」と記されていて、引退撤回しながら、それが最後になるというふうに宣言をされている」
東野「だーれも信用してませんよ」
一同 爆笑。
安藤和津「えー、でもかっこいいじゃないですか。毎回命がけで撮ってるから、毎回これでもう力尽きたと思うんですよ、本人は」
東野「最後だと」
安藤「だって間が空いてるもん、やっぱり制作するのに。すっからかんになんのよ、毎回たぶん」
佐々木アナ「もう『やりきったー!』っていう」
東野「『もう嫌やー』ってなるんですかね?」
松本「一滴も出ない感じになるんですよね」
安藤「そう、だからたまったらまたやるんだから、みんな騙されようよ、これは」
東野「あー、なるほどなるほど」
安藤「もうだまされ続けて……」
松本「でも7回はちょっとひどくない?」
安藤「10回、10回。もう10回まで数えよう、これは」
松本 首をかしげる。
安藤「好きだもん、私」
佐々木アナ「で、まあ、やっぱりネットでも、「祝やめるやめる詐欺! 戻ってくるのはわかっていました」などと、まあもう前提、もう織り込み済みというところもあって」
松本「そうかそうか」
小藪千豊は「お前何回引退言うねん、キモい、さぶ、と言っておけば」とまで
これを読めば、松本たち出演者がいかにこの引退宣言集をネタに、宮崎監督を“バカ”にし、笑い者にしていたかがよくわかるだろう。引退宣言を肯定的に捉えているのは、宮崎ファンを自認する安藤和津だけで、他の出演者はひたすらからかうだけ。もちろん「毎回死ぬ気で作品を作って」とも「すげえなぁー」とも言っていない。それどころか安藤が「毎回命がけで撮ってるから」「みんな騙されようよ」と擁護したあとも、松本は「でも7回はちょっとひどくない?」とツッコんでいる。
というか、この日の放送からは松本が「すげえ」と思っているどころか、むしろ宮崎監督の映画を評価していないことがひしひしと伝わってきた。たとえば、途中、現役女子高生タレントの升澤理子が『千と千尋の神隠し』が大好きで40回は見たと言うと、松本は「俺、観たけどちんぷんかんぷんやった」とコメント。
また、東野から「古市さんは? 宮崎アニメはどうなんですか?」とふられて、古市憲寿が「でもたいてい後半力尽きてますよね、宮崎アニメって」と言ったときも、松本は足をバタバタさせながら大爆笑。古市が「どうしても最後の方でストーリーがちょっとおかしくなっちゃったりとか、疲れてたぶん……」とたたみかけると、松本は「これがまた残念ながら若干俺もそれは認めるところがある」と賛同し、周りが引くなか、「ですよね」と言う古市とうれしそうにうなずきあっていたのだった。
もちろん、これは作品への評価だから別にどんな批判をしたって全然構わない(じゃあ自分の映画はどうなんだというツッコミはあるにせよ)。しかし、創作ツイートを前提に悪口を言っていたのに「すげえなーって盛り上がってただけ」「バカにする空気は一切なかった」「それをバカにしてたようにニュースに書かれた」などというのはいくらなんでも、嘘が過ぎるだろう。
というか、そもそも、彼らは5月28日の放送のなかで自分たちのトークが宮崎の悪口であることを認めていた。
コーナーの終盤、松本が自身の引退のタイミングについて問われ「2ちゃんねるあたりで悪口を言われているうちは辞めないかな」「なにくそってあるじゃない」と話したことから、悪口がエネルギーになるという話になり、東野が「だから宮崎さんも、たとえば万が一この番組見てたりとかすると、みんながそんなこと言うてんのがすごいムカついて、次の……っていうことでしょ?」と発言。すると、松本も「いや、そうなんですよ」「悪口は燃料にはなります」と同意。ずっと大人しくしていた小藪千豊も参戦してきて、こんな会話が展開されたのだった。
古市「だから逆にエライからっていって批判しないのは本当によくないですよね。漫画家さんでも作家さんでも、偉くなればなるほどみんなが周りが言わなくなっちゃうじゃないですか。でも、それで衰えていく人が多いから、ちゃんと批判してあげる人が周りにいたほうが」
小藪「たしかに、だから偉すぎていじられてないから何回も引退って言うんやと思うんですよ。3回目ぐらいで、あんだけ偉くなかったら『お前何回言うねんお前。キモイなお前。もうええってマジで。こっち会見段取りして、さぶさぶさぶ。こわこわ。え? また言う!? うわ、こーわ』とかいじったら、たぶんこの方も軽々しく引退とか言わなかったです。でも偉すぎて……」
松本「アカンとこに」
東野「小藪さん、ちょっと黙ろ」
小藪「わかりました」
松本「シンプルにね」
それでも批判されない“大御所”松本人志、オリラジ中田の指摘は正しい
繰り返すが、これでもよくもまあ「バカにする空気は一切なかった」「すげえなーってみんなで盛り上がってただけ」と言えたものだ。というか、そういう意味では、昨日の謝罪放送での松本の発言は、言い訳に責任転嫁に自己弁護にウソと、ツッコミどころ満載だったのである。
が、しかし、冒頭で指摘したように、そのことにツッコんでいるメディアはいまのところほとんど見当たらない。スポーツ紙はそれどころか、冒頭で書いたように松本の言葉の好印象な部分だけを編集し、いさぎよい大物芸人のイメージをつくりだすことに躍起になっていた。ニュースサイトでも、そのデタラメ弁明を指摘するところはほとんどないし、有名人のツイッターなどがその矛盾を指摘したという話も聞こえてこない。これぞまさにオリラジ中田のいう「大御所」の力というヤツだろう。
吉本興業には絶対にさかえらえないテレビ、スポーツ新聞だけでなく、“お笑いのカリスマ”時代の幻影に縛られて、松本のことだけは批判してはいけないという空気が、言論の世界を支配している。
だから、松本がどんな失言をしようが、逆に及び腰になってみっともない態度をとろうが、ほとんど批判の声は出てこないのだ。中田が松本に絡んだ問題だって、本来ならが火をつけた『ワイドナショー』が今週、扱うべきだったが、一秒たりとも取り上げなかった。しかし、マスコミもネットもそのことを疑問視することはほとんどしない。
しかも危険なのは、この大御所が中田の言うように「おもしろいかおもしろくないかを決める」だけでなく、「共謀罪」や「安保法制」「安倍政権」への評価まで口にするようになっていることだ。ちなみに、昨日の『ワイドナショー』でも、加計学園問題をめぐる前川喜平前文科次官の問題について、松本は「菅官房長官のやり方が、ちょっと安倍さんへのかばい方がちょっと度が過ぎるというか、なんかちょっと、安倍さんの足を引っ張ってるかのような気すらしますね~」と、まったく本質からずれた珍解説を披露して、安倍首相をかばっていた。
古市はじめ『ワイドナショー』出演者たちは、前述のように、宮崎監督のことを「偉いからって言って批判しないのは本当によくない。それで衰えていく人が多いから」「偉すぎるから何回も引退宣言するんですよ」と揶揄していたが、だったら、まず目の前の“偉い人”にはっきりダメ出しをするべきではないのか。
(酒井まど)
最終更新:2018.11.04 10:27
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