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獣医学部新設の加計学園・岡山理科大の入学式にケント・ギルバートの姿が! 加計擁護の裏でちゃっかり客員教授に就任
ケント氏が懲りずに出したヘイト本の続編『中華思想を妄信する中国人と韓国人の悲劇』(講談社)
森友問題でいまも国会が紛糾するなか、昨日、加計学園・岡山理科大学の入学式がおこなわれ、同学園の加計孝太郎理事長が、騒動後、初めて公の場に姿を見せた。周知の通り、加計理事長は安倍首相の「腹心の友」。同大学に新設された獣医学部を巡っては、森友問題同様、そのプロセスの不透明さに多くの疑問の声が上がっている。
前文科事務次官である前川喜平氏の「行政がねじ曲げられた」という実名証言や、いわゆる「総理のご意向」文書の存在だけでなく、年明けにも新たに不可解な補助金交付問題が発覚。獣医学部開設にこぎつけたとはいえ、疑念はまったく払拭されていない状況だ。
そんななか行われた入学式には、テレビカメラも入り、その模様を多くのマスコミが報じた。角帽に黒衣姿の加計理事長は「学部の新設ではいろいろとご心配をおかけしましたが、予想を上回る志願者が集まりました」「学園として長きに渡り取り組んで参りましたプロジェクトが評価されたことと、獣医学部の新設がいかに強く望まれていたかということを如実に示している」などと挨拶。マスコミの前ということを考えても、これは加計理事長の“勝利宣言”というふうに受け取られる。
また、入学式では、あの加戸守行・前愛媛県知事も来賓として登壇した。加戸氏といえば、昨年の国会審議で政府参考人として「愛媛県にとっては12年間加計ありき」「黒い猫でも白い猫でも獣医学部をつくっていただく猫が一番いい猫」「内閣府のあるいは虎の威を借りるような狐の発言を用いてでも強行突破していただいた」など、数々の“迷言”を放った人だが、今回も、思わず苦笑いしてしまうレベルの発言が飛び出した。
「四角の帽子を被ってみると、魔法の学校の入学式に立ち会っているハリー・ポッターのような気分でありまして。でも、ある意味では今日は“魔法の学校”の入学式かもしれません」
「国家戦略特区諮問会議、民家有識者委員の“魔法の発言”で岩盤規制を突破して認められたということですから、その意味では本当に“魔法”をかけられることによって存在した、出産した獣医学部かなと思います」
その「魔法」って、ようするに、第二次安倍政権になってトントン拍子になったり、大学設置・学校法人審議会(設置審)がいわゆる学部新設4条件を満たさずとの認識だったのに今春の開設ありきで進んでいった、まさにそういうことじゃないの?
そう、テレビを見ていた誰もがツッコんだと思うが、いや、それより、ちょっと待って。来賓席に座る加戸氏の後ろに、なにやら見覚えのある、彫りの深いご尊顔が……。
って、この人、ケント・ギルバートじゃないか! そう。岡山理科大学の入学式に、どうしてだか、あのケント氏が出席していたのである。
客員教授に就任したケント・ギルバートの露骨な加計学園擁護
ケント・ギルバート氏といえば、近年、急激に右旋回して“安倍応援団”の一員となった元タレント。後述するが、加計学園問題についても、政権擁護の立ち位置から言論活動を行ない、ネット右翼から絶大な支持を集めている。そのケント氏が、なぜ角帽まで被り、岡山理科大の入学式の来賓席にいるのか?
本サイトは早速、岡山理科大学に電話で事実確認をした。
「ケント・ギルバートさんは、今年度から本校の客員教授になられました。定期的な授業ではなく、年に数回、特別なかたちで、特別講座というかたちで講義をなさることになると思います」(岡山理科大学担当者)
続けて、そのケント氏が年に数回担当する予定という「特別な講座」の内容について聞くと、「まだ決まっていないと思います」(同担当者)という回答。いずれかの学部に所属するのではなく、大学全体の「客員教授」という位置付けだという。
いずれにしても、ケント氏はいつのまにか、加計学園の大学で、曲がりなりにも「教授」の名称がつくポストに就任していたのである。これはちょっと、驚きではないか。
繰り返すが、ケント氏といえば、加計学園問題でも政権を擁護し、追及するメディアをバッシングしてきた御仁。たとえば、「zakzak」(夕刊フジ)の連載(2017年7月15日)では、〈最近の一部の日本メディアの偏向ぶりはひど過ぎて、もはや笑いごとでは済まされない〉として、加戸氏の国会での発言と国家戦略特区をめぐる議事録を読むと〈「加計問題=フェイクニュースだ」と誰でも理解できる〉と主張した。
また、昨年7月29日の同連載では、〈ここ数カ月の「加計学園」問題に関するテレビ報道の偏向は、タガが外れたとしか思えない〉と述べ、疑惑を追及するテレビメディアを攻撃。〈番組制作者やコメンテーターの偏向ぶりは、日本が憲法を改正して「普通の国」になることを阻止したい外国政府の工作員か、女や金の問題で弱みを握られた「敵の手先」としか思えない〉なる妄想をぶちまけていた。
また、ケント氏は例の“報道圧力団体”「放送法遵守を求める視聴者の会」の理事の一人。「視聴者の会」は昨年8月22日付の読売新聞、産経新聞朝刊に「異常に歪んだテレビ報道」などと題した“意見広告”を出稿。加計学園問題で、ネトウヨや極右文化人たちの主張そのものである「なぜ前川喜平氏ばかり取り上げて、加戸守行氏の発言を報じないのか!」なるトンデモ主張をぶち、〈テレビ局のみなさん、国民の知る権利を守るために、放送法4条を守ってください〉などとがなりたてていた。
この意見広告がいかにトンデモであったかは、当時、本サイトで詳しく解説している(https://lite-ra.com/2017/08/post-3408.html)ので、そちらを読んでもらいたいが、ようするに、こうした活動をしてきたケント氏が、ちゃっかり、加計学園と利害を共有する関係に収まっていたのだ。まさか客員教授にまで迎えられていたとは……。加計学園擁護に対する“ご褒美”だと世間に受け止められてもしかたがないだろう。
外国人留学生も多い加計学園が中韓ヘイトのケントを教授にしていいのか
ちなみに、国家戦略特区には「産業の国際競争力の強化や国際的な経済拠点の形成に資する事業」という条件がある。また、加計理事長は設置審の判断を受けて〈国際的に通用する人材を養成するために、獣医学科75名、獣医保健看護学科12名という充実した教員組織を備えます〉というコメントを発表していた。一方、そうした高度な教育や研究を行うことのできる優秀な教員数が確保できるか、少なからぬ疑問の声があがっていたのは周知のとおりだ。
ところが、蓋を開けてみたら客員教授にケント・ギルバート氏って。ひょっとして、その「国際的」っていうのをアメリカ人弁護士であるケント氏でまかなおうとしたのでは……と、いうのはさすがにないと思いたい。だが、少なくとも、ケント・ギルバート氏のような人を、公的教育機関である大学の教壇に立たせるとこと自体、世間から疑問視されてしかるべきだろう。
というのも、ケント氏は、たんに安倍政権擁護に勤しんだり、政権に批判的なメディアをバッシングしているだけではない。その言論活動には、中国人や韓国人、朝鮮人に対する差別を扇動する、極めて悪質な内容が含まれているからだ。
実際、ケント氏が昨年に出版した『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(講談社)では、民族や国籍でひとくくりにし〈「禽獣以下」の社会道徳や公共心しか持たない〉〈彼らは息をするように嘘をつきます〉〈自らの利益のためなら法を犯すことすら厭いません〉〈自尊心を保つためには、平気で嘘をつくのが韓国人〉〈嫉妬心や執着心は誰にでも多少はあるものです。しかしその病的なレベルについていえば、韓国人が世界一〉などと書き散らすヘイト本だった。
なお、岡山理科大学は各国から多くの留学生を受け入れている。同大ホームページによると、2017年5月現在の留学生は178名。うち、中国国籍が100名である。昨年には韓国・ソウルで入学説明会も行なっていた。ケント氏は、そうした留学生を含む学生らを前にして、「禽獣以下」だの「息をするように嘘をつく」だの「病的」だのとヘイトを連ねるとでも言うのか。論外である。
それにしても、あのケント氏が、ちゃっかり客員教授の職まで手に入れるなんて。政権御用の“ネトウヨビジネス”ってホントに特典がいっぱいあって、おいしいんだねえ。
(編集部)
最終更新:2018.04.04 09:05
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