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国有地を7分の1の値段で取得“愛国カルト小学校”の名前は「安倍晋三記念小学校」だった! 保護者にヘイト攻撃も
安倍晋三公式サイトより
日本会議幹部が開校予定の“愛国カルト小学校”に、国が国有地を超格安で払い下げていた問題。やはり安倍晋三首相が関係している疑惑が浮上した。もともと、小学校には安倍昭恵夫人が名誉校長に就任することが決まっており、なんらかの関係があるとは思っていたが、それどころではなかった。なんと、この小学校は計画当初、「安倍晋三記念小学校」と銘打たれ、寄付金を集めていたというのだ。だとすれば、国有地の不適切な払い下げにもなんらかの関係があるのではないか。
まずは経緯を振りかえっておこう。問題になったのは、幼稚園児に「教育勅語」や「五箇条の御誓文」を暗唱させるなど“愛国教育”で知られる塚本幼稚園幼児教育学園を営む大阪の学校法人「森友学園」。籠池泰典理事長は日本会議の大阪代表・運営委員である。
その森友学園が今年4月に開校予定の私立小学校・瑞穂の國記念小學院の用地として、豊中市の国有地(約8770平方メートル)の払い下げを受け購入していのだが、なぜか原則公表が義務付けられているはずの売却額が明らかにされておらず、地元の豊中市議会などで疑問を追及する声が上がっていた。
そんななか、朝日新聞が2月9日付紙面で、近畿財務局が森友学園側に近隣国有地の約10分の1という値段で売却していたことスクープ。すると、報道の翌日、財務省は一転、これまで未公表にしていた売却額を公開。依頼した不動産鑑定士がこの国有地の価格を9億5600万円と算出したが、実際に森友学園側に売った価格はわずか1億3400万円だった。
財務省が発表した文書によれば、「地下埋蔵物(廃材及び生活ごみ)の撤去・処理費用(8億1900万円)を控除」したという。また、未公表にしていた理由については、「相手側より、地下埋設物の存在が周知されることにより小学校に入学する保護者等への風評リスクが懸念されるため、契約金額を公表しないよう要請があった」とした。
しかし、朝日の報道によれば、問題の国有地は11年にも別の学校法人が取得を希望しており、地下埋蔵物の撤去費を踏まえ取得希望額を約5億8000万円としたが、財務局から「価格が低い」と指摘されて12年には購入を断念していたという。それが、森友学園の場合は1億3400万という超格安で売られていたのだ。これは、どう考えてもおかしいだろう。
昨年、この土地売買契約について情報公開請求を行った豊中市の木村真市議も、朝日の報道後、一転して売却額を明かした行政側に強く疑義を呈す。
「市民の財産が隠されているというのはおかしいという思いから提訴しましたが、今回、行政が情報を公開したことで、むしろ今まで非公開にしていたことにまともな理由などなかったということがはっきりした、と受け止めています。それに、情報公開こそなされましたが、森友学園側と財務省の双方の言い分には矛盾点が多く、疑念はますます増したという印象です」
木村市議のいうように、矛盾や不審な点は数え切れない。そのひとつが行政側が“格安売却”の根拠とする地下埋蔵物撤去費用の控除についてだ。調べてみても、過去にあった同規模の土地の埋蔵物撤去をめぐる事例と比較して、やはり今回の森友学園を巡る一件は費用が突出している。一例をあげれば、08年には、福岡県北九州市の不動産会社が市から4億400万円で購入した土地(約8900平方メートル)について、土中のコンクリート片などの廃棄物撤去にかかった費用の支払い求めて市側を提訴したが、この時の請求は約3100万円だった。もっとも、個別の事情により撤去費用の差はあるものだが、それにしても約8億円という巨額の撤去費用が妥当だとはにわかに信じがたい。
実際、13日に朝日新聞の取材に応じた森友学園の籠池泰典理事長は、〈実際に撤去にかけたのは「1億円くらい」と説明〉したという。
〈籠池理事長は13日に代理人弁護士らと取材に応じ、掘削中に廃材や靴、タイヤといった生活ごみが地下で見つかり、くいを打つ場所のごみは適切に処理したと説明。全てのごみは撤去していないが、子どもの体への影響はないとしている。撤去にかけた費用は「1億円くらいかな」とし、財務局が撤去費として見積もった8億1900万円について「知らなかった」と述べた〉(朝日新聞14日付朝刊)
森友学園側と行政側の言い分の矛盾は、昨年の甘利明・前経済再生担当相のURを巡る口利き事件を彷彿とさせる。どう考えても森友学園の国有地取得を巡って、なんらかの政治的な動きがあったとしか思えない。
そんななか、11日ごろから、森友学園と安倍首相とのただならぬ関係を匂わせる、一枚の写真がネット上に出回りはじめた。森友学園に対して小学校建設のための寄付を募る振込取扱票だ。そこには1口1万円で最低2口からの寄付が呼びかけられており、さらには「ご寄附を賜りました方には、安倍晋三記念小学校の寄附者銘板にお名前を刻印し、顕彰させていただきます」との文言が記入されていたのだ。
「安倍晋三記念小学校」とはなんなのか。本サイトは、森友学園が運営する塚本幼稚園に以前、子どもを通わせていた保護者・Aさんから話を聞くことができた。Aさんによれば、この振込票は2014年に学園側から保護者に配られていたものだという。
「私は、子どもの在籍期間が違うので手元には持っていませんが、たしかに、いまネットで出ている『安倍晋三記念小学校』への寄付の振込票が、2014年に何度も保護者に配られていたという話を別の保護者から聞いています。その方からの写真も見て確認しました」
2014年当時といえば、森友学園が小学校の新設認可を申請している最中。つまり、今回問題となっている国有地に建てられた小学校は、もともと安倍晋三の名前を冠した学校となる予定だったようなのだ。
だとすると、森友学園と安倍首相との接点はなおさら濃くなっていく。前述のとおり、籠池理事長は、憲法改正などで安倍政権と二人三脚の関係にある日本会議の大阪支部役員。そして、瑞穂の國記念小學院の名誉校長には昭恵夫人が就くことになっている。本サイトはこの「安倍晋三記念小学校」が安倍首相のもと計画されたのか確認するため、何度も学園側にも取材を申し込んだが、多忙や出張中を理由に、あるいは「日本のマスコミはどこも同じ。あきらめました〜。勘弁してください」(電話口の担当者)などと言われ、14日現在まで事実上取材を断られ続けている。
しかし、安倍首相が直接関与しているかはともかくとしても、この異常としかいいようのない国有地の格安売却問題が、安倍政権の熱烈な支持者を中心に回っていることは確かだ。事実、自民下野時の2012年9月、安倍に塚本幼稚園を訪問する予定があったこともわかっている。結局、総裁選出馬による地方遊説が入ったため延期となったが、当時、塚本幼稚園のホームページではこんな告知文が掲載されていた。
〈尖閣諸島・竹島・北方領土(樺太の半分・千島列島・歯舞・色丹・択捉・国後)は 日本固有の領土です。
日本人および日本国は矜持を持って堂々と対峙せねばなりません。
しっかりとした歴史観・国家感を持ち、それに裏打ちされた方向性と実行力を持ったリーダーに委ねたい。
その最も有力な人物こそ、第90代内閣総理大臣 安倍晋三先生です。
来る9月16日 安倍晋三先生が塚本幼稚園に講演に来られます。〉
いかに安倍首相に共鳴しているかが見て取れるが、籠池理事長は瑞穂の國記念小學院の方針についてもこのように語っている。
〈「教育勅語」を中心に据えた「修身」や四書五経を学ぶ「儒学」、ご皇室の成り立ちや『古事記』『日本書紀』を学ぶ「国際日本学」などをとおして、日本人としての魂をしっかり育ててまいります〉(「致知」2015年4月号/致知出版社)
〈新設する小学校では、教科書のほかにオリジナルの副読本を用意しています。歴史的な内容、心の機微を学び、日本を取り巻く地政学を教えていきたい。ロシアがこちらにミサイルを向け、北朝鮮がテポドンを配備し、中華帝国がちょっかいを出してきている時代ですからね〉(「FRIDAY」16年12月23日号/講談社)
こうした露骨なタカ派思想・愛国教育の問題点だけではない。保護者から話をきくなかで、塚本幼稚園の異様な運営体制も見えてきた。
たとえば、前述のAさんのケースでは、学校側の問題を指摘すると“恫喝文書”まで送ってきたという。「もともと、塚本幼稚園の保守的な思想に賛同したわけではなくて、案内に書いてある将棋や論語の授業など、しっかりとした教育や習い事が受けられるかと思って入園したんです」というAさんだが、実質上、幼稚園側が担っているPTAの決算報告が明細もない杜撰なもので、「お金の動きがよく分からない」ことに不信感を持ち、PTAへの入会を断わった。すると、幼稚園側から「PTA入会しないのなら退園してもらうしかない」と告げられたという。Aさんは大阪府の担当課などにも相談したのだが、その翌日、幼稚園側から「いい加減にしろ!!」から始まるこんな手紙を渡された。
〈いい加減にしろ!! (中略)園長は本当に欲がなくすばらしい人である。社会貢献しているつもり すなおになれ!! 大阪府庁にTELしたらあかん。きりかえて!! がんばれ!〉
園長とは籠池氏のことである。Aさんも「そりゃあ、怖かったですよ」と振り返るが、手紙には「大阪府庁にTELしたらあかん」と強くけん制するなど、明らかに恫喝的な意図が見られる。ほかにも、塚本幼稚園では入園した園児が約半数になるまで辞めていったという情報もあるが、これだけでも幼稚園側の運営状況に問題はないのか大いに疑問だ。
というか、塚本幼稚園が教育機関としての資質に決定的に欠けるのは、ホームページに掲載している「インターネット上での当園に対する誹謗・中傷記事について」なる文書を読んでも明らかだ。文書は籠池氏の名義。昨今、ネット上で塚本幼稚園に対する〈不当な誹謗・中傷記事が書かれたブログが立ち上げられ〉ているとして、このように続けている。
〈専門機関による調査の結果、投稿者は、巧妙に潜り込んだ K国・C国人等の元不良保護者であることがわかりました。(略)当園は、日本精神をとりもどすためにも、日本に在住する極めて少数派のK国・C国等の人たちのこういった行為に対して、断固として立ち向かう所存です〉
どうかしているとしか思えない。もともとこの文書の公開初期には「K国・C国人」という文言は「韓国人」「中国人」とモロに書かれていたのだが、これは明らかに特定の民族や国籍に対するヘイトデマ。Aさんは、「この文書と同じ手紙が在園児に配られているようです。『調査機関』云々というのはハッタリでしょう」という。いずれにせよ、幼稚園の問題点を告発する声に対して、「巧妙に潜り込んだ K国・C国人」などと国籍の問題に還元するのは、完全にネトウヨ脳としか言いようがなく、差別を助長するもの。園児に教育的な悪影響はさけられないだろう。
こうしたヘイトデマや保護者への恫喝的行為を行う幼稚園・学校に行政が認可を与えている。それだけでも、日本はおかしくなってしまったとしか言いようがないが、その小学校に首相の名前が冠せられ、国有地が異常な安値で払い下げられていたのだ。
政権応援団と化したテレビニュースやワイドショーはいつものようにこの問題を完全にスルーしているが、森友学園、塚本幼稚園、そして瑞穂の國記念小學院の国有地払い下げと、安倍晋三首相との関係については、これから先、徹底的に追及していく必要があるだろう。
(編集部)
最終更新:2017.11.16 04:42
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