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「女性自身」が驚愕の原発汚染調査報告! 福島の小中学60校の8割で「放射線管理区域」を上回るセシウム
『原発危機と「東大話法」』(安冨歩/明石書店)
3・11を目前にして、福島原発事故の影響に関する驚愕の調査結果が発表された。多くの子どもたちが日常的に通う学校周辺で、高濃度の放射性物質が検出されたというのだ。
この調査を発表したのは、最近、社会派路線を強めている週刊誌「女性自身」(光文社)。3月22日号にこんなショッキングなタイトルの記事を掲載した。
「福島県60小中学校『放射性物質』土壌汚染調査『8割の学校で18歳未満立ち入り禁止の数値が出た!』」
記事によると、同誌は環境問題や放射線に詳しいNPO法人の監修のもと、福島県内の小中学校周辺、約60か所の土壌をランダムに採取し、土壌に含まれる放射性セシウム137を調査したという。
ところが、その結果、検出されたのは、恐ろしい数値だった。調査した60箇所の約8割で「放射線管理区域」の指定を受ける4万ベクレル/㎡を超える高い数値が観測されたのだ。
〈放射線管理区域とは放射線による障害を防止するために、法令で管理されているエリアのこと。一般人は放射線管理区域の立ち入りが禁止。さらに、18歳未満は就労も禁止。大人であっても10時間以上の就労は禁止、飲食も禁止という厳しい規定だ。〉
中には、信じられない数値が検出された場所もあった。たとえば、二本松市の二本松第二中学校周辺の放射性セシウムは、なんと108万ベクレル/㎡。これはチェルノブイリ原発事故の被害を受けたベラルーシで“第二次移住対象地区”にあたる数値だという。“第二次移住対象地区”とは「移住の義務 農地利用禁止」を命じられた場所だ。
本宮市の和田小学校でも66万5000ベクレル/㎡、伊達市・霊山中学校でも61万8000ベクレル/㎡と、やはり“第二次移住対象地区”に当たる放射性物質汚染が認められた。
また、そこまではいかなくても、南相馬市の石神第二小学校では44万9000ベクレル/㎡、福島市の福島第一中学では48万ベクレル/㎡と、やはりベラルーシでは、国家補償による移住が認められる“移住権利区域”並みの数値が出ている。
同じ方法で原発事故の影響のない青森県黒石市の高舘パーキングエリアの土壌を調べたところ、120ベクレル/㎡だったというから、これらの数字がいかに異常であるかがよくわかるだろう。
この驚きの調査結果について、原発擁護派や中立厨からは「どうせ女性週刊誌のツクリ記事だろう」という冷ややかな声が浴びせられているが、取材をしてみると、まったくそんなことはなかった。
「あの記事は、NPO法人市民環境研究所の第1種放射線取扱責任者の資格を持つ専門家に監修をあおぎながら、採取方法も細かく決めて、かなり厳密な方法で調査をしました。にもかかわらず、ここまで極端な数字が出たため、編集部でも驚きを隠せなかったようです」(「女性自身」関係者)
いずれにしても、福島のかなりの数の小中学校で、健康被害が出るレベルの放射性物質が検出されていたというのはくつがえしようのない事実なのだ。そして、これらの場所ではなんの規制もされず、子どもたちが普通に運動したり、遊んでいる。いったいなぜ、こんなことが起きているのか。
政府はこれまで、空間線量だけを基準に避難区域を設定し、線量低下を理由に、避難区域を次々と解除してきた。しかし空間と比べて土壌の汚染は長期に渡るうえ、内部被ばくのリスクが高くなる。
除染は行っているが、実は除染には限界があり、その効果は一時的なものでしかないことが徐々に明らかになってきた。
だが、政府はそういう実態を知っていながら、原発事故の責任を回避し、新たに原発再稼働するために「被害はたいしたことがない」「除染は可能」といいはり、「汚染地域に帰還させる」政策を推し進めてきた。
しかも、その方針はさらにエスカレートしている。モニタリングポストの撤去、来年3月の自主避難者への住居支援中止、避難区域の解除など、「汚染された地域への帰還の強要」ともいえるような政策を次々と打ち出している。
リテラでは先日も福島で甲状腺がんの患者が急増していることを報じたが、このままいけば、さらに甲状腺がんの子どもは増え続けるだろう。
そして、この「女性自身」渾身の調査報道についても、国や電力会社はおそらく無視を決め込むはずだ。そして、国民の間でもそんなものはなかったことになり、逆に汚染を指摘した側が「デマを撒き散らす放射脳」として攻撃を受けるようになっていく。
この転倒した状況について、『原発危機と「東大話法」』(明石書店)の著者として知られる安冨歩東京大学教授は、同記事の中で以下のように分析していた。
「放射能をばらまいた国や東京電力が、そんなことなどなかったように振舞うのは、それ自体が暴力で、国家による国民に対するハラスメントです。そして、ひとたびハラスメントの構造に取り込まれると、暴力を受けている側はその事実と向き合うことができなくなるのです」
このハラスメントの構造を打ち破り、子どもたちの健康被害を食い止めるためにも、今回の「女性自身」の調査結果はぜひ、ひとりでも多くの人に伝えてもらいたい。
(伊勢崎馨)
最終更新:2017.11.24 08:23
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