これで“雑魚寝”避難所は変わるのか…今秋発足「防災庁」職員は「国家情報局」の半分以下! 防災庁設置に反対していた高市首相

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前回の熊本地震で多くの災害関連死が出ても安倍首相は「現状で十分機能」と防災省を拒否

 しかし、この貧弱な実態も、防災庁をめぐるここまでの経緯を見れば、当然と言っていいかもしれない。そもそも、防災庁(防災省)については、東日本大震災から少し経った2014年頃から、防災の専門家や自治体、野党から、設置を求める声が出始めていた。ところが、当時の安倍政権が一貫してこれを拒否したのである。

 たとえば、2019年2月15日の衆院本会議では、当時、立憲民主党だった高井崇志衆院議員(現・れいわ新選組)が安倍首相に対して、イタリアと比べて日本政府の震災対応、避難者支援があまりに貧弱であることを指摘した上、「イタリアのように専任職員による防災省を創設する考えはないか」と質したが、安倍首相はこう一蹴していた。

「行政府の防災や危機管理への対応に関しては、内閣総理大臣の指揮のもと、内閣官房や内閣府が中心となって、省庁横断的な取り組みをおこなってきております。現在の枠組み自体については、最近の大規模災害に際しても十分な機能を果たしたものと認識しており、新たに統一的な組織を設置する必要性は低いと考えております」

 この3年前、2016年には前回の熊本地震が発生。避難所の劣悪な環境などのせいで、直接死の4倍以上、225人が災害関連死をするという最悪な状況に陥っている。にもかかわらず、「現在の枠組みで大規模災害について十分な機能を果たした」とは、その認識の甘さ、危機感の無さに唖然とするが、安倍首相は在任時、この答弁に限らず一貫して災害への関心のなさ、被災者への冷たい対応を見せつけていた。

 たとえば、2014年8月の広島土砂災害では「災害応急対策に全力で取り組む」と宣言したあと、日枝久・フジテレビ会長(当時)や笹川陽平・日本財団会長らとゴルフを楽しみ続け、2018年7月には、死者230人以上の西日本豪雨のさなかに「赤坂自民亭」なる自民党の宴会に参加。2019年9月の台風15号では、非常災害対策本部を設置せず、関係閣僚会議も開かず、停電復旧の停滞によって熱中症による新たな犠牲者まで出した。

 また、同年10月、台風19号が日本列島を直撃した際には、非常災害対策本部会議で「夜を徹して救助」を命じながら自分は私邸に帰り、ラグビーW杯の試合を観戦。台風被害拡大の中、勝利に大はしゃぎしてツイートしていた。そして、国会や被災者支援の遅れや災害体制の充実を追及されると、前述の答弁のように「現在の取り組みで十分」と繰り返していた。

 安倍首相に限った話ではない。自民党の政治家の多くは「国民の生命を守るため」と称して軍備増強を声高に主張する一方で、大規模災害の支援は地方に押し付け、国としてなんの対策も講じようとしてこなかった。それどころか、被災者の救済や避難所の充実、そして防災庁の設置を求める声に対して「現在の政府・自衛隊の対応で十分」「そんなことより経済を回すことを考えるべき」と主張し、その動きを封じ込めてきた。これは安倍一強体制によって、自民党が国家のために国民を犠牲にすることを厭わない国家主義者、自己責任論で弱者救済を否定する新自由主義者で占められるようになったことと無関係ではないだろう。

 右派は「国家の威信」や「支配者の権力」「自分たちの利権」が目的のすべて。「国民の生命」など何の関心もない。その本質がまさに災害対策に反映されてきたのだ。

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