社会問題に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
海外から五輪中止の声も…政府と組織委は“五輪選手だけ守る”コロナ対策で乗り切り画策! 数億円の療養施設、パラ選手を口実にワクチン優先
Tokyo 2020公式Twitterより
本日4月14日で東京五輪の開幕までちょうど100日となった。国際オリンピック委員会のジョン・コーツ東京大会調整委員長は「(東京五輪は)確実に開かれる。可能な限り最も安全な大会になると、何のためらいもなく言える」などとコメントしたが、しかし、国際的にも「中止すべき」という意見が噴出している。
というのも、英ガーディアンや米ニューヨーク・タイムズといった有力紙が、相次いで7月開催に待ったをかける警告を発したのだ。
まず、ガーディアン(電子版)は12日付で「東京五輪は何があっても開催しなければいけないのか?」と題した社説を掲載。この社説では、あと約100日で開催することに対し「単に楽観的であるだけでなく、まったく間違っているように見える」と一刀両断。「日本のワクチン接種プログラムはほとんど軌道に乗っていない」ことや、「国際的な状況はさらに厳しい」として1日で4000人が亡くなっているブラジルや感染が拡大するインドの例を挙げ、「日本とIOCは五輪開催を本当に正しいと言えるのか自問する必要がある。」「中止による経済的損失なども、五輪がパンデミックを悪化させるリスクと合わせて検討されなければならない」と指摘した。
さらに強烈だったのがニューヨーク・タイムズだ。同紙も12日付の運動面で「五輪について考え直すべき時がきた」と題し、7月開催を「タイミングはひどい」とした上で「東京五輪は3週間のスーパースプレッダー・イベントとなり、日本中いや世界中に死と病を引き起こす可能性がある」と言及したのだ。
しかも、こうした「東京五輪開催に反対」という意見は海外だけではなく、国内の専門家からもあがりはじめている。
たとえば、東京都医師会の尾崎治夫会長は昨日13日の会見で、「これ以上感染が広がることがあれば、現実的には従来通りのいろんな国から選手が来て開催される五輪というのは、たとえ無観客であってもなかなか難しい」と指摘。また、厚労省新型コロナ対策アドバイザリーボードの西浦博・京都大学教授も「開幕があと3カ月に迫った状況で、日本は最大の危機を迎えています」と述べ、ワクチン接種が済んでいると想定される1年後の「再延期」を訴えている(文春デジタル14日付)。
あまりにも当然すぎる指摘だろう。4月初旬のデータでは、日本のワクチン接種率はG7はもちろんのこと、主要先進37カ国が加盟するOECD(経済協力開発機構)のなかでもダントツの最下位の状況。この体たらくで菅義偉首相は「コロナに人類が打ち勝った証としての五輪開催」とほざき、IOCも「可能な限り最も安全な大会になる」などと豪語しているのだ。嘘八百もいいところだろう。
コロナ軽症の五輪選手の専用療養ホテル300室、陰圧改造された24時間体制の搬送車両も…
だが、五輪開催しか頭にない連中は、こうした国内外の訴えや世界の感染状況をまるで勘案せず、いまだに「五輪関係者だけ守れればいい」という“五輪ファースト”を押し通そうとしている。
そのことを象徴するのが、10日に報じられた「東京五輪中のコロナ感染者隔離のため300室確保へ」というニュースだ。なんと、東京五輪組織委員会は選手らに感染者が出た場合に備えて軽症者や無症状者向けに約300室のホテル1棟を独自に借り上げる方針だというのだ。
しかも、この療養施設への搬送は「陰圧改造」された専用車両を最大30台程度用意し、24時間態勢で運用。〈施設費などは数億円規模の見込み〉だという(東京新聞10日付)。無論、重症者は医療機関に運ばれる。
これは当然の対応だが、しかし、この当然の対応は一般人にはけっしておこなわれていない。実際、第3波で東京都は医療崩壊に陥り、入院先や療養先が決まらない人が約6000人にもおよんだ。さらに、大阪では本日、重症患者数が病床数を上回り、自宅療養を余儀なくされている人は約5000人にものぼっている。関西圏で猛威を振るっている感染力の強いイギリス型の変異株が東京で同じように拡大するのは時間の問題だと言われているが、その一方で、五輪に参加する選手や関係者だけが病院での治療やホテル療養が確約されることは、まさしく「特別待遇」であり、もっと言えば「命の選別」ではないか。
これと同じことは「五輪に出場する日本人選手へのワクチン優先接種」にも言える。
当初の報道では、「今月12日から開始する高齢者分が終了する前に接種を開始」「6月下旬までに2回の接種を終わらせる日程を想定」だと伝えられたが、これはつまり五輪出場選手は重症・死亡リスクの高い高齢者や持病のある人を差し置いてワクチン接種を受けられる、ということ。当然、ネット上では「そんなに五輪が大事か」「正気じゃない」などと批判が殺到し、加藤勝信官房長官や丸川珠代五輪担当相は報道を否定した。
だが、加藤官房長官が否定したあとも時事通信は、政府関係者が「いつかはやらなければいけない問題だ」とコメントしたとし、〈政府は日本オリンピック委員会(JOC)などの議論を注視し、優先接種の要請があれば、検討に入る方針〉と報道(8日付)。さらに毎日新聞では、大会関係者のこんなコメントを伝えている。
「JOCも打ちたいのが本音だが、言えば逆効果になるから切り出せないだけ。基礎疾患のあるパラ選手を理由にすれば、理解も得られるのでは」(毎日新聞ウェブ版13日付)
五輪を実施すれば、1日で最大約300人の医師、約400人の看護師が…一般人の命を見殺しにしても五輪強行
ようするに、基礎疾患のあるパラ選手を利用し、日本人選手へのワクチン優先接種に対する反発を抑えて国民を黙らせよう、というのである。まったく卑劣にもほどがあるだろう。
そもそも組織委は、五輪開催期間中に約1万人の医師や看護師らが必要だとし、1日で最大約300人の医師、約400人の看護師、合わせて700人ほどが必要になると試算しているが、感染拡大でそんな余裕があるはずもなく、〈期間中の医療態勢は現在も「調整中」〉の状態(時事通信14日付)。〈組織委の担当者は「医療計画は開催直前まで調整が続く」〉というが、これでどうすれば「可能な限り最も安全な大会」になるというのだろうか。
五輪選手と一般人とで「命の選別」をおこなおうとしてまで開かれる「一大感染イベント」──。これをいまだに推し進めようという日本政府と組織委、IOCは、まさに狂っているとしか言いようがないだろう。
(編集部)
最終更新:2021.04.14 09:46
関連記事
新着 | 芸能・エンタメ | スキャンダル | ビジネス | 社会 | カルチャー | くらし |
萩生田光一ら非公認“裏金”候補に自民党から政党助成金2000万円振込み発覚も…選挙情勢では続々当選の可能性
“裏金”“統一教会”の萩生田光一を応援する極右勢力と有名テレビコメンテーター 一方、新たな裏金疑惑を検察が捜査開始の報道も
石破茂が史上最速で馬脚あらわに! 手のひら返し解散、統一教会も裏金も再調査せず、菅・麻生以外の人事も酷い
安倍首相が統一教会に選挙支援依頼の証拠を朝日がスクープ! 進次郎のバックにいる菅義偉や萩生田光一もあらためて追及せよ
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも
兵庫・斎藤知事問題で維新の責任を改めて検証! 局長を“自死”に追い詰めた維新県議、課長の自死は吉村肝煎り優勝パレードが原因か
自民党総裁選広告「THE MATCH」は「おじさん」どころか「腐敗ジジイの詰め合わせ」だ! 担当の平井広報本部長は親族ぐるみ税優遇
岸田首相「総裁選不出馬」にごまかされるな! 後継候補の河野太郎、高市早苗、石破茂、小泉進次郎、小林鷹之の欺瞞
窮地の岸田首相が一番頼りにしているのはあの「Dappi」“仕掛人”説の自民党・元宿仁事務総長!「日本の黒幕」特集本が暴いた新事実
『仰天ニュース』“赤木ファイル”特集で安倍政権・公文書改ざん事件の卑劣があらためて注目! 中居正広も「あってはならない」と
ジャニーズ会見で井ノ原の「ルール守って」発言賞賛と記者批判はありえない! 性加害企業が一方的に作ったルールに従うマスコミの醜悪
ジャニーズ性加害でジュリー社長辞任もテレビ局は検証放棄! 局内での行為が疑われるテレ朝とNHKの無責任な姿勢
ジャニーズ性加害問題で露わになったテレビ局の共犯性! ジュニアの練習場を提供したテレビ朝日はジュリーの謝罪後も批判なし
坂本龍一が最後まで中止を訴えた「神宮外苑森林伐採・再開発」の元凶は森喜朗! 萩生田光一も暗躍、五輪利権にもつながる疑惑
れいわから出馬 水道橋博士が主張する「反スラップ訴訟法」の重要性! 維新・松井だけでなく自民党も批判封じ込めで訴訟乱発
自公維新が提出「国民投票法改正案」にネットで批判の声広がる! 小泉今日子も〈#国民投票法改正案に反対します〉と投稿
三浦瑠麗が「医者はワイドショー見てコロナ怖がりすぎ」と医療従事者を嘲笑! 専門家から反論されると半笑いで「私、医者じゃないんで」
Netflix版『新聞記者』の踏み込みがすごい! 綾野剛が森友問題キーマン官僚に、安倍御用ジャーナリストはあの人が…
NHK捏造・虚偽放送問題で河瀬直美監督のコメントが無責任すぎる!ドラマの デモ描写に異議唱えた『相棒』脚本家と大違い
“裏金”“統一教会”の萩生田光一を応援する極右勢力と有名テレビコメンテーター 一方、新たな裏金疑惑を検察が捜査開始の報道も
窮地の岸田首相が一番頼りにしているのはあの「Dappi」“仕掛人”説の自民党・元宿仁事務総長!「日本の黒幕」特集本が暴いた新事実
兵庫・斎藤知事の「パワハラ告発職員」追いつめに維新県議が協力していた! 職員は吉村知事肝いり「阪神優勝パレード」めぐる疑惑も告発
“既成政党に与しない”石丸伸二の選対本部長は「自民党政経塾」塾長代行! 応援団筆頭に統一教会系番組キャスターの元自民党職員も
小池百合子が都幹部だけでなく“最側近”を天下りさせていた!「大日本帝国憲法復活」「国民主権を放棄せよ」の請願に関与の元特別秘書
大阪万博建設現場のメタンガスが急増し1日2tも発生! 3月の爆発事故では「通報遅れ」「天井破損」を隠蔽していたことが発覚
萩生田光一が裏金問題で提出した「領収書の嘘」が発覚! 安倍元首相が「官房機密費100 万円を参院候補者に手渡し」報道も
吉村知事はガス爆発でも開き直り「他区域ではガスが出ない」と大嘘! 地下鉄工事でメタンガス確認、大阪市も発生可能性認めたのに
吉村知事が「万博出禁」と攻撃した玉川徹のコメントはどれも当たり前の指摘ばかり! 吉村の言論弾圧体質はプーチン並み
大阪万博の工事現場でガス爆発 会場地下に溜まるメタンガスへの懸念が現実に! 危険な有害物質PCB汚泥も覆うだけ
維新ゴリ押し 万博&カジノにかかる金はインフラ整備を含めると8000億円以上だった! 大半が国と大阪市の負担、巨額の税金も投入
防衛費増額の財源で「法人税」を削除し「国民全体の負担」だけにした政府有識者会議は読売社長、日経元会長、朝日元主筆がメンバー
菅首相の追加経済対策の内訳に唖然! 医療支援や感染対策おざなりでGoToに追加1兆円以上、マイナンバー普及に1300億円
菅首相のコロナ経済支援打ち切りの狙いは中小企業の淘汰! ブレーンの「中小は消えてもらうしかない」発言を現実化
菅首相の追加経済対策が“自助”丸出し! コロナ感染対策は10分の1以下、大半が新自由主義経済政策に…坂上忍も「バランスおかしい」
悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、1カ月で半分を浪費! 事務局事業も電通がトンネル法人通じて140億円
三浦瑠麗のアマプラCMは削除されたが…amazonもうひとつの気になるCM! 物流センター潜入取材ルポが暴いた実態とは大違い
安倍首相“健康不安”説に乗じて側近と応援団が「147日休んでない」「首相は働きすぎ」…ならば「147日」の中身を検証、これが働きすぎか
正気か? 安倍首相の諮問機関「政府税調」がコロナ対策の財源確保と称し「消費税増税」を検討! 世界各国は減税に舵を切っているのに
東京女子医大がボーナスゼロで400人の看護師が退職希望! コロナで病院経営悪化も安倍政権は対策打たず加藤厚労相は “融資でしのげ”
萩生田光一ら非公認“裏金”候補に自民党から政党助成金2000万円振込み発覚も…選挙情勢では続々当選の可能性
安倍首相が統一教会に選挙支援依頼の証拠を朝日がスクープ! 進次郎のバックにいる菅義偉や萩生田光一もあらためて追及せよ
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも
兵庫・斎藤知事問題で維新の責任を改めて検証! 局長を“自死”に追い詰めた維新県議、課長の自死は吉村肝煎り優勝パレードが原因か
自民党総裁選広告「THE MATCH」は「おじさん」どころか「腐敗ジジイの詰め合わせ」だ! 担当の平井広報本部長は親族ぐるみ税優遇
岸田首相「総裁選不出馬」にごまかされるな! 後継候補の河野太郎、高市早苗、石破茂、小泉進次郎、小林鷹之の欺瞞
都知事候補討論会ですっとぼけるも…小池百合子に清和会時代、裏金を受け取っていた可能性が浮上! 派閥上納額は安倍を超える120万円
裏金裁判で安倍派幹部たちの嘘が明らかに! 抜け穴だらけの政治資金規正法改悪で幕引き図ろうとする自民・岸田政権
小池百合子が「神宮の樹木伐採」で後押し 森喜朗と萩生田光一“裏金コンビ”の神宮再開発利権の疑惑を改めて検証する!
瀬戸内寂聴が生前、語っていた護憲と反戦…「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥」と語り、ネトウヨから攻撃も
「BTSグラミー賞逃す」報道に「韓国人のニュースいらない」「日本人の受賞を報じろ」と炎上攻撃が! 日本スゴイの精神的鎖国
ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』を読めば、安倍首相が病気で辞任ししたのでなく国民が声をあげ追い詰めたことがよくわかる
百田尚樹が「安倍総理にお疲れ様とメールしても返信なし、知人には返信があったのに」とすねると、2日後に「安倍総理から電話きた」
村上春樹が長編小説『騎士団長殺し』とエッセイ『猫を棄てる』に込めた歴史修正主義との対決姿勢! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
村上春樹がエッセイ『猫を棄てる』を書いたのは歴史修正主義と対決するためだった! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
安倍首相に利用された星野源がエッセイに書いていた“音楽が政治に利用される危険性” 「X JAPANを使った小泉純一郎のように」
“宇予くん”で改憲煽動のJCと手を組んだTwitter Japanはやっぱり右が大好きだった! 代表は自民党で講演、役員はケントに“いいね”
ウィーン芸術展公認取り消しを会田誠、Chim↑Pomらが批判! あいトリ以降相次ぐ“検閲”はネトウヨ・極右政治家の共犯だ
「ノーベル賞は日本人ではありませんでした」報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも「日本スゴイ」に回収
幸福の科学出家騒動は清水富美加個人の責任なのか? カルト宗教信者の子どもたちが抱える問題
話題の本『夫のちんぽが入らない』のタイトルに込められた深い意味…しかし一方では広告掲載拒否の動きが
福島の子ども甲状腺がん検診「縮小」にノーベル賞の益川教授らが怒りの反論! 一方、縮小派のバックには日本財団
介護殺人に追い込まれた家族の壮絶な告白! 施設に預ける費用もなく介護疲れの果てにタオルで最愛の人の首を…
宇多田ヒカル「東京はなんて子育てしにくそう」発言は正しい! 英国と日本で育児への社会的ケアはこんなに違う
今もやまぬ人工透析自己責任論の嘘を改めて指摘! 糖尿病の原因は体質遺伝、そして貧困と労働環境の悪化だった
『最貧困女子』著者が脳機能障害に! 自分が障害をもってわかった生活保護の手続もできない貧困女性の苦しみ
雨宮塔子が「子ども捨てた」バッシングに反論! 日本の異常な母性神話とフランスの自立した親子関係の差が
『NEWS23』に抜擢された雨宮塔子に「離婚した元夫に子供押しつけ」と理不尽バッシング! なぜ母親だけが責任を問われるのか
小島慶子が専業主夫の夫に「あなたは仕事してないから」と口にした過去を懺悔!“男は仕事すべき”価値観の呪縛の強さ
人気記事ランキング
カテゴリ別ランキング
社会
ビジネス
カルチャー
人気連載
アベを倒したい!
ブラ弁は見た!
ニッポン抑圧と腐敗の現場
メディア定点観測
ネット右翼の15年
左巻き書店の「いまこそ左翼入門」
政治からテレビを守れ!
「売れてる本」の取扱説明書
話題のキーワード