蒼井そらが結婚報告ブログで明かしたAV女優の経歴への「後ろめたさ」…紗倉まなもコラムでセカンドキャリアへの不安を

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オフィシャルブログ「今日のSORA模様」で結婚を明かした蒼井そら


 1月2日、元AV女優でタレントの蒼井そらがDJ NONと結婚したことを自身のオフィシャルブログで明らかにした。

 日本はもちろんのこと、中国やタイなどでも絶大な人気を誇る蒼井。中国版ツイッターといわれる「weibo」での結婚報告は2億5千万もの閲覧数があったというのも話題となった。

 そんな吉報を報告するブログのなかに少し気にかかる言葉があった。夫の人柄について紹介するくだりのなかで、彼女はこのように書いているのだ。

〈彼はイケメンでもないし、お金も持っていないけど
アダルトをやっていたという事実や、
その他全てのことに対する私の不安を一気になくしてくれる人でした。
アダルトをやっていたことに後悔はないですが
世間の目に対する、後ろめたさがないわけでもない。
家族になるということは、そういう過去やこれからの未来で、
全ての受け入れが必要だと思っています。
だから、私を貰ってくれるなんて本当すげー奴だなって思います〉

 いわゆる「セクシー女優」の分野のみならず、タレントとしても国際的に大成功をおさめた蒼井だが、そんな彼女でもアダルト業界からキャリアをスタートさせているということに対してスティグマ(偏見・負の烙印)を抱えているということが、この文章では明かされている。

 それは、結婚というタイミングだからこそ表面化したのかもしれない。実は、過去には彼女の身近でこんな事例もあった。

 蒼井とアイドルグループ・恵比寿マスカッツで活動を共にしてきた元AV女優でタレントのみひろは、2015年にスーツアクターの下川真矢との結婚を発表したが、その際〈よく元AV女優なんかと結婚できるね〉〈子供できたら子供が気の毒だね。母親が元AV女優なんて知ったら子供は傷つくよ〉などといった酷過ぎる中傷を受けた(ウェブサイト「wotopi」報道より)。それを受けてなのか、みひろは2015年5月20日更新のブログでこのように書いている。

〈過去の私のしてきたお仕事に対して、よく思わない人がいるのは事実。
傷ついたりする事もある。
でも、全部私が決めてきたこと。後悔はしてないです。
そこがあったから、今の私がいると思っているし、こうやってたくさんの人たちに巡り合えてるんだから。
これが、誰もが思うまっとうな人生ではないかもしれないけど、そんな人生もあったっていいんでは〉

紗倉まなもAV引退後のセカンドキャリアへの不安を吐露

 これは結婚だけに限った問題ではない。AV女優引退後の再就職に関しても、内なるスティグマとの葛藤や、偏見および差別の問題は、“第二の人生”をスタートさせるのにあたって高い壁となって立ちはだかる。

 AV女優のセカンドキャリアに関する問題はしばしば取り沙汰されるが、最近でも、現役の人気AV女優である紗倉まなが「週刊プレイボーイ」(集英社)17年12月18日号の連載コラムのなかで、AV引退後の人生についてこんな不安を書いていた。

〈AV女優のセカンドキャリアというのはとても大切だ。(中略)一度引退して本名に戻ったとき、自分には何ができるのか、どうやって生きていくのかというのを必ず考えることになるわけで、そして私のように社会人としての経験が一度もなく、AV業界にどっぷりつかって、ある程度名を知られてしまった女のコたちとなればなおさらだ。たとえ就活したとしても、どこの会社が自分を採用してくれるのだろうかなど、不安だってたくさんあるだろう。(中略)エロ屋ではなくなった瞬間、切腹して終えてしまうのではないかと思うくらいに、なかなか想像できない〉

 紗倉まなといえば、デビュー当時から親にAVの仕事を明かしていると公言している稀有な女優であり、また、現在では小説家として『最低。』『凹凸』(いずれもKADOKAWA)を上梓するなど、AV女優の枠を超えた活動をしている人だ。

 紗倉は、フォトブック『MANA』(サイゾー)のなかで〈「AV出演=人生崩壊」というイメージを払拭できたら。偏見という厚い鉄製の壁を壊す作業を、今はアイスピックくらいの小さい工具でほじくっているような気持ちです。(中略)「もしかしたら、何かの拍子にツンとつついたら壊れるかもしれない」と希望を抱けるのも、ある意味で“グレーな領域の仕事”だからこその醍醐味なのかもしれません〉と主張するなど、AV女優としての自分の仕事に誇りをもち、そして、アダルト業界に対して世間が押し付ける偏見を少しでも減らせるよう仕事をしてきた。

 そんな紗倉でさえ〈エロ屋ではなくなった瞬間、切腹して終えてしまうのではないかと思う〉と、半ば諦めにも似た赤裸々な不安を述べるのは少し意外な感がある。

 しかし、残念なことに、現在の日本社会では、このような不安を抱くのは至極当然のことなのかもしれない。AV女優として仕事をしたことがあるというだけで職に就くことを阻まれるという例が現実に起きているからだ。

AV出演の過去のせいで会社をクビになる事例は現実に起きている

 その典型的な例が、「週刊現代」(講談社)16年6月11日号で報じられた、ゴールドマン・サックスから内定をもらっていた女性が大学時代にAV女優として活動していたことが明るみになり内定取り消しとなった事件だろう。

 記事では、AV出演の過去を知った後に会社が内定者の周辺情報を改めて洗い直したところ、私生活で就業規則に反するものがあったことからの内定取り消しであるとされており、直接的にAV出演が原因ではないと書かれていたが、そもそも、AV出演をきっかけに周辺情報の洗い直しが行われたということ自体が不自然な話で、その説明には何とも腑に落ちないものがある。

 こういった例は枚挙に暇がない。AVに出演していた過去(といっても、本人にはAVであることを知らされずバラエティ番組のようなものだと説明されており、内容もただ飴を舐めているだけなのだが)が明るみになり出演番組をすべて降板、勤めていたテレビ愛知からも去ることを余儀なくされたアナウンサー・松本圭世氏の騒動、過去のAV出演歴が発覚して人目につかない管理部門の部署へ配属になった小学館の新卒女性社員のケースなど、現在でもまだまだAVに携わった人々をまるで犯罪者のように扱う偏見はなくなってはいない。

 そんななかでも、特に矢面に立たされたのが、日本経済新聞の元記者で、現在は社会学者として文筆活動をしている鈴木涼美氏だろう。彼女はAV女優として70本以上の作品に出演していた過去を「週刊文春」(文藝春秋)に書き立てられ、大きな波紋を呼んだ。

 鈴木氏が日本経済新聞社を退社したのは、「文筆業との両立に時間的/立場的にやや無理が生じたため」であり、会社側からの懲戒処分ではないとしているが、それでもAV出演の過去が発覚したときは厳しい対応を受けたらしく、「元勤務先からも『日経のブランドに傷をつけた』など、やっぱりいろいろ言われました」(「SPA!」16年3月8日号/扶桑社)と語っている。

 16年10月に当サイトが行ったインタビューでは、AV出演者の人権を守るための団体「表現者ネットワーク(AVAN)」代表で、元AV女優・官能小説家・怪奇作家の肩書きをもつ川奈まり子氏が、自らの体験談も交えつつ、AV女優が社会のなかで受ける偏見や差別についてこのように訴えていた。

「AV女優たちの一番の悩みはヘイトクライムです。住んでいるアパートを追い出されるとか、仕事をクビになるとか、職場でイジメに遭うとか。会社でAV女優だった過去がバレてレイプされそうになったという相談すら受けたことがあります。
 私もライターとして連載させてもらっている媒体から『川奈さんがAVに出ているなんて知りませんでした。今後の取引は中止させていただきます』と言われたり、編集部は大丈夫でもスポンサーからNGが入って仕事がなくなったりと職業差別を受けてきました」

 言うまでもなく、彼女たちは犯罪を犯したわけでも、道義的によからぬことをしたわけでもない。ただ、アダルトビデオに出演していたというだけだ。それなのにも関わらず、なぜこんなにも強いスティグマを内面化させられなければならないのか。ある特定の職業に従事していた者に対して、公然と偏見や差別の目が向けられている現在の状況は看過していい問題ではないだろう。

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