リテラの新年特別企画●サブカル論争&炎上事件簿

吉田豪、町山智浩、菊地成孔、はあちゅう、真木よう子、キンコン西野…2017年、サブカル論争&炎上事件簿

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■事件6 真木よう子のコミケ参加が大炎上! 理由は本当にクラウドファンディングか?

 小林幸子や叶姉妹など、近年コミケに参加し大きな話題を集める芸能人が増えてきた。そのなかにあって、理不尽な大炎上をさせられてしまったのが真木よう子だ。
 真木はコミケで出品するフォトマガジンの製作のため、クラウドファンディングでの資金調達をしようとしたのだが、これが問題視された。
 コミケは自費出版物を販売するためのイベントであり、そのための制作費をクラウドファンディングで集める行為はイベント趣旨に反するというのが、彼女を批判する人たちの論拠であった。
 これを受けて真木はコミケの参加を取りやめ、謝罪のコメントを出すことになるが、この炎上が引き起こされた原因が本当にクラウドファンディングだったのかは正直疑問が残る。
 炎上に乗じてSNSに放たれたものには、「真木よう子にはアニメやコスプレへの愛がない。ドラマの宣伝、金儲けのための参加」といった言及が少なくない数見られたが、真木は漫画について造詣が深いことでも知られており、少なくとも小林幸子や叶姉妹よりはよほどオタクカルチャーを愛してのものと思われる。
 にもかかわらず、なぜ真木は大炎上して、小林幸子や叶姉妹は歓迎されたのか。
 その真相は、オタク層の人たちにとって真木の認識は「モテ」で「リア充」サイドの人間であり、彼らにとって敵だと認識されたからではないかと思われる。
 この件が起因するものかどうかはわからないが、彼女はその後体調不良から映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の降板を強いられる事態ともなっている。
 どうも後味の悪い炎上騒動であった。

■事件7
キングコング西野が「お金の奴隷解放宣言」と謳い、絵本を無料公開し大炎上!

「絵本を無料で公開します。金を払わない人には見せないとか糞ダサい。お金の奴隷解放宣言です」
 こんな言葉とともに、キングコングの西野亮廣は2016年10月の発売以来20万部も売り上げていた『えんとつ町のプペル』を全ページ、昨年1月ネットで無料公開した。
 すると、ネット上で西野に対する批判が巻き起こった。いわく「すでに買った人が損」「ほかのクリエイターがもらえる対価まで安くなってしまう」「子どもがお金のありがたみがわからなくなる」「出版社や書店にお金が入らず迷惑」なかには「西野は、生理的に無理」というものまで……。
 しかしそうした批判の声は、どれもこれもいちゃもんのレベルにすぎなかった。たとえば、「出版社や書店にお金が入らず迷惑」というが、無料公開前の時点で20万部を超えており、すでに大きな利益が出ていし、騒動後もその余波でさらに売り上げを伸ばし増刷もした。そもそも無料公開というのは、プロモーション・販売戦略としては、目新しい方法などではない。
「ほかのクリエイターにしわ寄せがくる」という批判も、たしかに多くのクリエイターが劣悪な環境に置かれているのは事実で、改善されるべきだ。
 現在の出版界では、一部の売れっこ作家や芸能人だけが知名度をバックに大々的にプロモーションを展開してもらい、「有名人の本だから」「売れているから」というだけの理由で買われていく。一握りのベストセラーとそれ以外の売れないたくさんの本という、一強多弱の傾向がどんどん進んでいる。そして西野もまた強者に属するひとりだ。
 しかし、この西野の言動は、逆にそういった状況に風穴を開けようとするもの。一握りの売れた者が得た利益を独占するのでなく、社会に還元する流れをつくりだすきっかけにもなり得るものだった。
 西野は宣言のなかで「お金を持っている人は見ることができて、お金を持っていない人は見ることができない」ことに「猛烈な気持ち悪さ」を感じると書いていたが、親の所得格差がそのまま教育格差に直結している現在の日本においてこの西野の指摘は非常に真っ当な感覚だろう。
 むしろ、この西野の炎上で痛感させられたのは、日本人が表現や創作さえ、「お金」という尺度でしか見られなくなっているという現実だ。西野の言う「お金の奴隷」状態を、まさに証明した炎上騒動だったと言っていいだろう。


……………………………………………………………………………………

 2017年サブカル事件簿、いかがだっただろうか。これはサブカル界隈の論争に顕著な傾向だが、最初はひとつのテーマで2人が論争していただけなのに、どんどん話が広がっていろんな人を巻き込んでいったり、また、サブカル界隈の動向に関心をもつ野次馬からの「空気入れ」がさらに話をややこしくしたり、といったことが往々にして起こる。
 しかし、こういう面倒くさいところも含めて、サブカルというジャンルは状況がダイナミックに変わり、面白い。今年も様々な論争が起こるだろうが、当サイトでは逐一その動向を追いかけていくつもりなので、サブカル関係者はどうか冷たい目で見守っていただきたい。

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