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獣医学の重鎮が加計問題で安倍首相を一刀両断! 過剰な獣医師養成は税金の無駄遣い、地域振興のために獣医学レベル低下…

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獣医公衆衛生学の専門家である岡本嘉六・鹿児島大学名誉教授(撮影・横田一)


 加計学園「岡山理科大学」獣医学部新設に邁進する安倍首相に対して、獣医学の専門家からも厳しい批判が出ていた。岡本嘉六・鹿児島大学名誉教授は7月7日、ネット上に掲載した論考「獣医学小史」で、「要請があれば2つでも3つでも獣医学部を承認する」(6月24日の神戸講演)という首相発言を「何の根拠もない戯言」と一刀両断したのだ。

 と同時に岡本氏は、安倍首相を「裸の王様」とも断言した。側近たちからは“岩盤規制改革派”と称賛されて本人も信じ込んでいるが、専門家の目には、獣医学部レベル低下を招く税金の無駄遣いをする無知なトップに見えるというのだ。

「それぞれの教育分野について大学基準協会が最少基準を定めており、それを知らないトップは裸の王様である。6年制専門教育の医師、歯科医師、薬剤師とともに獣医師の養成には多額の税金が使われている。過剰な人数を養成することは税金の無駄遣いであるのみならず、専門職に就けない者を生み出してしまう。その他の職業と同様に、『市場の原理で安い労働力を得るためにはある程度の失業者を抱える必要がある』という乱暴な見解もあるが、命を預かる専門家の質の低下と引き換えになる」(前出「獣医学小史」より)

 素朴な疑問が浮き上がってくる。安倍首相は“岩盤規制改革派”を標榜しながら腹心の友に利益供与、「日本の獣医学部のレベル低下」という国益を損ねる愚行に邁進する“国賊”に等しいのではないか。

 安倍首相がいかに獣医学部の実態を知らない「裸の王様」なのか。鹿児島大学で30年以上教鞭をふるってきた岡本氏に聞いてみた(注・経歴:1980年に鹿児島大学農学部獣医公衆衛生学の講師、1984年に助教授、1999年に教授、2013年に定年退職して名誉教授となった)。

――今でも安倍首相は「岩盤規制にドリルで穴を開ける」と、加計獣医学部新設を進めようとしています。

岡本名誉教授 加計問題で不思議なのは、日本の獣医学部が国際的レベルに達していないことと、文科省が共同獣医学部の構想をここ最近進めていることが報道されていないことです。まず知っておくべきは「日本には国際的な獣医学部が一つもない」ということ。欧米に比べてレベルが低く、国際機関の基準を満たしていないことが問題になっていたのです。一昔前までは大学独自で再編整備を進めてきましたが、国会議員から「地元から(獣医学部が)出て行ったらダメ」と文句が出たりして進まなかった。そうなると、今度は文科省の責任になるから、6年くらい前から「共同獣医学部」という構想を提案したのです。北海道大学と帯広畜産大学、鹿児島大学と山口大学というように二つの大学の獣医学科を一大学の体裁にしてレベルアップをはかるものです。ようやく文科省は予算と人をつけ始め、いま進行している最中なのです。

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