オレオレ、ワンクリック…詐欺の帝王は元大手広告代理店のエリートだった

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 騙される人間というのは、そもそもカネがある、そこを根こそぎ搾り取る…というのが本藤の必勝法らしい。

 そんな本藤が詐欺人生から足を洗うきっかけになったのは、09年のこと。広域暴力団系の組長に貸したカネを巡ってトラブルが起こり、右足首を撃たれてしまう。翌年にかけて入退院を繰り返す中で「もう潮時かなと本藤は感じた」のだという。

 作者によれば「詐欺師が詐欺商売から足を洗うのは、ほとんどの場合、逮捕をきっかけとしている。仲間が次々逮捕されて身近に逮捕されそうな危機を迎えたとき、あるいは実際に自分が逮捕されて、初めて詐欺商売から決別する」という。

 だが、本藤は違っていた。「身近に逮捕されそうな危険は迫っていなかった。単に自分のグループ支配にガタがきているなと感じただけにすぎな」かった。

 引き際までスマート。やってることの悪どさはかわらないが、この“詐欺の帝王”はこれまでの詐欺師や詐欺集団とは、バックボーンがかなりちがっているようだ。

 本藤彰は、本書によれば「若い頃から伝説がつきまとって」いた。「歌舞伎町五人集の筆頭」「半グレ集団関東連合の黒幕」「数百億円を握った正体不明の大物」といったものだ。一方、インターネット上では本藤について「存在しません、騙されないで下さい!」と注意をよびかけるページさえあるという。

 しかし、実際の本藤は関東連合とはなんの関係もなく、暴力団にも所属したことはなかった。むしろ、そういったものとは真逆の、本藤の前職である広告代理店的なスマートさをもつワルだった。そういう意味でいうと、本藤の存在は代理店的な発想が詐欺の世界をも制圧してしまうくらい悪どいことを証明したといえるかもしれない。
(寺西京子)

最終更新:2015.01.19 04:39

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