新潮が報道 菅首相と「第二の森友事件」の相手とのもうひとつの疑惑 所有ビルを事務所費問題発覚後に買い取ってもらっていた

2020.10.29 11:21
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新潮が報道 菅首相と「第二の森友事件」の相手とのもうひとつの疑惑 所有ビルを事務所費問題発覚後に買い取ってもらっていたの画像1
自由民主党公式サイトより


 菅義偉首相に一大スキャンダルが噴き出した。本日発売の「週刊新潮」(新潮社)が、「第二の森友事件」と銘打ち、菅首相の「タニマチが公有地でぼろ儲け」「異常すぎる特別扱いの「払い下げ」」について報じたからだ。

 記事によると、菅首相が横浜市議会議員時代から付き合いがあるとされる河本善鎬氏が代表を務める「(有)成光舎」は、2015年に神奈川県横浜市保土ケ谷区にある県有地を購入。しかし、この公有地取引は非常に不可解なものだった。

 そもそも、この土地は2013年秋に一般競争入札がおこなわれる予定だったというが、問題の土地の隣接地権者だった同社は同年6月に「保育所と学生寮を併設した施設整備」を理由に土地取得に名乗りをあげた。だが、同社はパチンコホールの経営が主な業務で、保育所を設置できるの「能力や意欲があったかどうか疑問」を持たざるを得なかったという。にもかかわらず、神奈川県はわざわざ“横浜市長からの副申書(参考意見)が必要”などとアドバイス。さらに、実際に林文子・横浜市長は保育所整備が理由であることを挙げて黒岩祐治知事宛てに副申書を提出。これによって同年9月に県は同社と随意契約で売却する方針を固めたというのだ。ちなみに林市長といえば、2009年に民主党の推薦を受けて市長選に初当選を果たした人物ではあるが、菅氏にあっさり取り込まれ「菅氏の操り人形」「菅氏の直系」と呼ばれてきた人物だ。

 だが、土地取引はさらに怪しさを増してゆく。県は不動産鑑定をもとに売却額を約4億5700万円と決定したのだが、河本代表はこの額に納得せず、「3億円台の半ばくらい」ではないのかと反論。これを受けて県側は一般競争入札に切り替える意思を見せ、河本氏が訴訟をちらつかせても再鑑定には応じない姿勢をとっていたという。

 ところが、その後、県の姿勢は一変。2014年5月に再鑑定の実施を河本氏に伝え、さらに2015年1月には当初の評価額よりも約7000万円も安い約3億8800万円で成光舎に売却をおこなうのだ。しかも、驚くことに同社は売却された当日にこの土地を関連会社に転売。転売禁止の条件を反故にする明確な契約違反だが、県は「保育所建設は困難」という同社の言い分をそのまま認め、用途指定を解除。2016年8月に同社の関連会社は住宅メーカーに売却してしまうのだ。河本氏がこの土地を「5億円台半ばで売りに出していた」という証言もあるが、それが事実なら、約2億円近くを儲けたことになる。

 まさに驚くような展開だが、問題は、一時は県も一般競争入札さえ辞さない構えだったというに、再鑑定に応じ、しかも当初評価額よりも低く売却したことだ。一体、この間に何があったのか。「週刊新潮」が入手した県の内部文書には、県との交渉における河本氏のこんな発言が記されていたという。

「対応によっては、知事、副知事、菅官房長官へ話しに行く」(2014年1月21日)
「いろいろとしっかり頼みますよ。納得がいかなければ、知事、副知事にも、官房長官にも行きますから」(2014年2月25日)

 森友学園問題では籠池泰典氏が近畿財務局の職員に昭恵氏との写真を見せた2014年4月28日以降、明らかに交渉の潮目が変わったが、この土地取引でも同じように「菅官房長官」の名によって「神風」が吹いたのではないのか──。そう考えずにはいられないだろう。

 というのも、河本氏と菅首相は「知り合い」「支援者」の関係を超えたものだからだ。

神奈川県との交渉記録に「対応によっては、知事、副知事、菅官房長官へ話しに行く」との記述も

「週刊新潮」によると、河本氏は菅首相が国政で初当選を果たした1996年から2007年までのあいだに、「成光舎」名義で菅首相の関係政治団体に合計342万5000円もの献金をおこなってきたというが、深い関係を示すのはそれだけではない。

 第一次安倍政権では、伊吹文明文科相や松岡利勝農相、中川昭一・自民党政調会長(いずれも当時)らといった重要閣僚や党役員による「事務所費」問題が吹き荒れたが、2007年8月には、よりにもよって政治資金規正法を所管する総務相だった菅氏にも同様の問題が発覚。菅氏が代表を務める自民党神奈川県第2選挙区支部と政治団体「菅義偉後援会」は、菅氏が2004年末に5690万円で購入した所有ビルに「主たる事務所」を置いていたというのに、2005年分の政治資金収支報告書には計1956万円あまりもの事務所費を計上していたのだ。

 政治資金規正法の施行規則では、事務所費は家賃や電話代、切手代などといった事務所の維持に通常必要とされる費用を計上することになっている。そして、1956万円のうち家賃は405万円。つまり、菅首相は政治資金を悪用し、私的な資産形成をおこなっていた、というわけだ。

 この問題が発覚したことにより、すでに菅氏は安倍首相から総務相から官房長官への横滑り人事が伝えられていたものの内閣改造では立ち消えとなり、官房長官は与謝野馨氏に。菅氏は閣僚の座から降ろされてしまった。

 この事務所費問題は当時の菅氏にとって相当の痛手となったが、重要なのはここから。じつは、菅首相は問題となった自分が所有していたビルを、事務所費問題報道の3カ月後に「成光舎」に売却。さらに、翌2008年に菅首相は事務所を他のビルに移したが、それも河本氏の関連会社が所有するビルだったというのだ。

 所有者を変えたところで菅首相の不適切な事務所費問題がなくなりはしないが、問題追及を塞ぐために登場した人物が河本氏だったということは、菅首相との結びつきの深さを物語っているだろう。しかも、河本氏側が所有するビルに事務所を移したということは、河本氏側は「大家」であり、事務所費を支払う金銭のやりとりもあったということだ。だが、その大家と店子という関係は2011年に解消される。というのも、同年3月11日付の朝日新聞朝刊が当時の菅直人首相が在日韓国人から104万円の献金を受け取っていたと報道。政治資金規正法は外国人からの寄付を禁じているが、この献金をおこなっていた人物が河本氏だったのだ。ご存じのとおり、この報道があった午後に東日本大震災が発生したこともあり、菅直人氏の献金問題は大きな話題とはならなかったが、「週刊新潮」によると、同年9月に菅義偉首相は別のオーナーのビルに移ったという。

 しかし、2013年にはじまった土地取引の問題を考えれば、昵懇の関係はずっとつづいていたのだろう。今回、「週刊新潮」が入手した神奈川県の内部文書の記述や土地取引の経緯を見れば、県側の対応は異例なものと言わざるを得ない。しかも、そこでは菅官房長官の名前まで飛び出していたのだ。神奈川県知事の黒岩氏は菅氏の子飼いであり、これだけこじれた河本氏との土地取引の問題が、菅氏の耳に入っていないなどということは考えにくい。

問題だらけの「GoToイート」で予約件数2.7倍の「ぐるなび」創業者も菅首相のパトロン

 まさしく森友学園を彷彿とさせる、菅首相と「パトロン」である河本氏の関係、そして公有地売却をめぐるこの問題。──だが、菅首相の「パトロン」との関係にスポットがあたったのは、これがはじめてではない。

 本サイトでもお伝えしてきたが、菅首相が官房長官時代から主導して進めている「GoToイート」キャンペーンをめぐっても、「GoToイート」事業に参加しているグルメサイト経営者が菅首相の有力なパトロン・後援者といわれている。それは「ぐるなび」の創業者で現会長の滝久雄氏だ。

「GoToイート」事業には、事務委託費として最大469億円、オンライン部門には約61億円が投じられており、事業者の企画競争入札には18社が応募し、13社が選ばれている。「ぐるなび」はその13社のなかでも高額の委託費が配分されているとみられている。

 だが、その「ぐるなび」の滝会長は古くから菅首相の有力なパトロンといわれており、実際、菅氏が初当選した1996年から2012年にかけて、滝氏が会長を務める電車の中吊りなどを扱う広告代理店「NKB」や同社の子会社が、菅氏の政治団体に多額の寄付をおこなってきた。「週刊文春」(文藝春秋)9月24日号は菅首相と滝会長の関係について「菅氏が困った時に頼るのが滝氏」という証言を掲載している。

 しかも、菅首相と滝会長の関係は、寄付だけにとどまらない。なんと、菅氏は滝会長に、あの政権御用ジャーナリスト・山口敬之氏への資金援助まで頼んでいたという疑惑が報じられている。

 周知のように、山口氏は伊藤詩織さんへの性暴力事件で告発を受け、逮捕状が出されるも、当時の警視庁刑事部長・中村格氏(現・警察庁次長)によって直前でストップがかけられ、事件が握りつぶされてしまったことが明らかになっている。この中村氏は菅氏の秘書官も務めていた最側近の警察官僚で、逮捕状ストップも菅氏の意向があったのではないかといわれている。

 ところが、その山口氏に対して、菅首相と親しい「ぐるなび」滝会長の経営する広告代理店「NKB」が「顧問料月額42万円」や「交通費その他の経費」等を支払っていたことが明らかになっているのだ。

菅首相パトロンの「ぐるなび」創業者に安倍御用ジャーナリスト・山口敬之氏への資金援助も依頼

 この問題を最初に報じたのは、「週刊新潮」2019年7月18日号。同誌には、山口氏はTBSを退社したあとの2016年11月に「NKB」の子会社と顧問契約を結んでいた事実、そして広告代理店関係者のこんな証言が掲載されている。

「この滝会長と菅さんが仲良しなんです。山口がTBSを辞めた後に、菅さんが”山口にカネを払ってやってくれないか”と滝会長に依頼したそうです。具体的には月42万円で、実際に払っているのは横浜にあるNKBの子会社。本体の方が業績がよくないので、そうなったということですが、子会社の経営陣は不満を抱えていたようです。“会社と何の関係もない山口に、ちゃんとした人を一人雇える額をなんで払わなきゃいけないのか”と」

 さらに、この関係者は、山口氏は滝会長の子会社に一度も出社したことがなく、「週刊新潮」が2017年5月に伊藤詩織さんへの準強姦疑惑の告発記事を出すと支払いを止めたことから、山口氏との顧問契約は「どうしても断れない特別な案件だったからと考えるのが自然」とも述べている。

 一方、「週刊新潮」は滝会長への“山口氏支援の依頼”にかんして菅氏を直撃しているが、言葉少なに関与を否定するだけで、「それ以上は言えない」などと、事実上、説明を拒絶したという。

 いずれにしても、菅首相と「ぐるなび」の滝会長がかなり昵懇な関係にあり、これまで菅首相がさまざまな協力・支援を受けてきたことは疑いようがない。「ぐるなび」は昨日28日、2021年3月期の連結最終損益が95億円の赤字になりそうだと発表したが、その一方で「GoToイート」により10月のネット予約件数は前年同月と比べて2.7倍に増えたという(10月23日までの実績)。「GoToイート」のポイント還元事業は大手グルメサイトを通さなければいけない制度になっており、「飲食店支援ではなくグルメサイト支援になっているのでは」と批判が起こっているが、こうした制度設計になったことと、菅首相と「ぐるなび」の親密な関係は影響していないのか。

 このような政治の私物化が疑われる事例は安倍晋三・前首相の時代から頻発している問題ではあるが、今回の「週刊新潮」のスクープを見れば、安倍前首相を「継承」する菅首相も同じなのではないかと疑わざるを得ない。だが、両者には大きく異なる点があるだろう。

 安倍前首相の場合は「腹心の友」である加計孝太郎氏や、自身の熱狂的な支持者であり、かつ同じ極右思想の持ち主で妻・昭恵氏が校長を引き受けるなどの関係があった籠池氏など、縁故や思想によって政治を私物化していた。対して菅首相の場合は、その関係性以上に「金」の匂いがつきまとっている、ということだ。

 菅首相をめぐって今回あきらかになった不透明かつ不可解な公有地取引の問題は氷山の一角にすぎず、今後、このような「金」が絡んだスキャンダルがどんどん出てくることになるのか。注視したいところだ。

最終更新:2021.06.29 02:20

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