コロナ対策で政府と電通の癒着が次々…持続化給付金では中小企業庁長官に疑惑、「Go To」3000億円も発注は電通で決まりか

2020.06.03 10:52
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コロナ対策で政府と電通の癒着が次々…持続化給付金では中小企業庁長官に疑惑、「Go To」3000億円も発注は電通で決まりか の画像1
電通HPより


 中小・個人事業者向けの「持続化給付金」の給付業務を769億円で国と契約した一般社団法人サービスデザイン推進協議会がじつは電通の“トンネル法人”だった問題で、新たな事実が次々とわかってきた。

 2日におこなわれた野党合同ヒアリングに政府が出してきた資料によると、サービスデザイン推進協議会は業務の管理・運営を749億円で電通に再委託、そこから電通は電通の子会社である4社に広告制作などを、給付金支給業務などはやはり子会社の電通ライブに外注。さらに電通ライブがパソナやトランスコスモス、大日本印刷などに業務を発注していることが判明。また、749億円のうち広報に50億円もあてられていることもわかった。

 しかも、サービスデザイン推進協議会は、辞任を発表した代表理事の笠原英一・アジア太平洋マーケティング研究所所長や、「経産省に太いパイプがある」といわれる元電通職員のA氏のほかは、理事6人が電通ライブやパソナ、トランスコスモス、大日本印刷などに所属しており、常勤の理事が1人もいないことも発覚。そんな団体と、769億円もの巨額の契約をおこなっていたのである。

 その上、ここにきて、点と点をつなぐ具体的な人脈が判明。本日夕、明日発売の「週刊文春」(文藝春秋)の先出し記事が公開されたが(外部リンク→https://bunshun.jp/articles/-/38190)、そこでは経産省とサービスデザイン推進協議会をつなぐ「キーパーソン」として、中小企業庁のトップである前田泰宏長官が名指しされているのだ。

 サービスデザイン推進協議会は今回の「持続化給付金」を含め、設立以来4年で14件もの事業を経産省から委託されてきたが、この記事によると〈そのうち少なくとも1300億円以上、率にして8割以上が、前田氏が幹部を務める部署からの受注だった〉という。しかも、前田長官とA氏は「一緒に食事に行く」関係だったと電通関係者が証言しているのである。

 経産省・中小企業庁と電通の“癒着”の中心人物として浮上してきた前田長官とA氏の関係──。じつは、この記事がネット上で公開される数時間前、衆院経済産業委員会の場でも、前田長官は“怪しい”答弁をおこなっていたのだ。

 そもそも、今回の「持続化給付金」給付事業の入札調書によると、入札に参加したのはサービスデザイン推進協議会とデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社の2社。そして入札調書では、資本金等の財務状況などでランク付けした等級として、サービスデザイン推進協議会が「C」だと評価されている一方、デロイトトーマツは「A」と評価されていた。しかし、落札したのはサービスデザイン推進協議会であり、詳しくは後述するがデロイトトーマツがいくらで入札したのかは黒塗りにされて公表されていない。

 最高ランクの「等級A」であるデロイトトーマツを、どうして「等級C」のサービスデザイン推進協議会が押しのけることができたのか──。しかも、「持続化給付金」を含む緊急経済対策が閣議決定されたのは4月7日の18時ごろで、翌8日に競争入札が公示されたというのに、きょうの衆院経産委員会で確認されたところによると、サービスデザイン推進協議会が「持続化給付金」事務事業の委託にかんする業務執行理事を元電通社員A氏と決定したのは、入札公示の前日である4月7日の午後だという。

なぜか競合企業の入札価格が黒塗りに…電通のトンネル法人のほうが高かった疑惑も

 入札公示前から委託業務を受託するのは自分たちだとわかっていたかのような、この流れ。きょうの衆院経産委員会ではこの不自然な動きについて立憲民主党の大串博志衆院議員が追及をおこない、「事前に経産省・中小企業庁とサービスデザイン推進協議会のあいだで何らかの打ち合わせがあったのではないか」と質問。すると、前田長官はこう答弁をおこなった。

「事前の打ち合わせがあったとは承知していない。いろんな報道が出ていたためそれを参考にしたのではないか」

 しかし、大串議員が「前田長官が承知していないだけなのか、事前の相談は絶対になかったのか、どっちなのか」と重ねて質問すると、前田長官は答弁を訂正。「4月2日に電通……サービスデザイン推進協議会にヒアリングをし、3日にデロイトトーマツに、もう一社も4月上旬にヒアリングしていた」と述べたのだ。

 さっきまで「事前に打ち合わせはしていない」と否定していたのに、次の答弁でサービスデザイン推進協議会を「電通」といったん言い間違えた上、と事前打ち合わせしていたことを認める……。怪しさしか感じられない前言撤回の答弁だったのだが、競争入札なのに公示前に打ち合わせをおこなっていたとは、談合も疑われる話ではないか。

 だが、怪しい答弁をおこなったのは前田長官だけではなかった。

 ここで問題になってくるのは、「等級A」だったデロイトトーマツの入札価格だ。公共事業には透明性が求められるというのに、前述したようにその入札価格は黒塗り状態となっている。

 どうしてデロイトトーマツの入札価格は黒塗りにされているのか。立憲民主党の川内博史衆院議員がその理由を問うと、梶山弘志経産相は「2度確認したが『公表していただきたくない』ということだった」と答弁したのだが、そのあと、川内議員はこう切り出したのだ。

「デロイトトーマツさんに確認しました。『経済産業省ならびに中小企業庁から価格の公表について尋ねられてはいない』とおっしゃいましたよ。『確認されていない』とおっしゃいました」

 入札価格の公表について確認などされていない──。つまり、梶山経産相の主張とは真っ向から食い違っているのだ。

 梶山経産相はそれでも「デロイトにおいては社長まで上げたうえでの結論だということだった」「メールで確認している」と抗弁したが、ならばどうして「確認されていない」というコメントが出てくるのか。ここにも怪しさしか感じられないが、公共事業の透明性を担保するために梶山経産相がデロイトトーマツを説得して入札価格を公開するべきなのは言うまでもない。

「GoToキャンペーン」事務依託費3000億円も電通に決まっているとの情報が

 きょうの衆院経産委員会ではこのほかにも、一般社団法人および一般財団法人は法律で定時社員総会の終結後に遅滞なく貸借対照表を公告しなければならないと定められているにもかかわらず、サービスデザイン推進協議会の決算報告が官報にないことが判明。さらに、サービスデザイン推進協議会が入っている東京・築地の雑居ビルには「商店街まちづくり事業事務局」や「中心市街地再生事業事務局」「農商工連携等によるグローバルバリューチェーン構築事業事務局」など6つの公共事業にかんする事務局が入居していることを国民民主党の斉木武志衆院議員が指摘。そして、これらの事業は電通が落札者であると政府も認めたのである。

 露骨な政府と電通の癒着ぶりを象徴するような“電通ビル”にサービスデザイン推進協議会が入居していたというわけだが、今回、ここまで問題になっているのは、政府は新型コロナ対応までをも安倍政権に近い電通に融通し、焼け太りさせているという事実だ。

 そして、これは「持続化給付金」事業だけにかぎった話ではない。安倍政権が第一次補正予算で1兆6794億円も予算を付けて非難轟々となった経産省主導の「GoToキャンペーン」でも事務委託費が最大約3000億円にものぼることがわかっているが、じつは、この事業もA氏と電通に委託する方向で経産省は動いている、という情報があるのだ。広告代理店関係者はこう語る。

「委託先の公募は5月26日からはじまり、締め切りは6月8日までとなっていますが、広告業界では5月下旬ごろから『すでに電通で決まっている』という噂が広がっています。正直、『持続化給付金』は『なんで電通が?』という感じですが、『GoTo』は広報展開や政府との関係をも考えれば既定路線。例の元電通社員のA氏が動いている可能性も十分あるでしょう。ただ、『持続化給付金』がここまで問題になってしまったんで、どうなるかは経産省次第でしょうね」

 たしかに、ここでまたも「GoToキャンペーン」を電通が受託すれば火に油を注ぐようなものだが、安倍首相の最側近である今井尚哉首相補佐官の存在によって安倍政権下における“最強官庁”となった経産省がどう出るかは蓋を開けてみないとわからない。

 実際、サービスデザイン推進協議会は「持続化給付金」の事務委託を769億円で受託しているが、これは第一次補正予算から捻出されるもの。第二次補正予算案では、なんとこの金額を上回る850億円が計上されており、委託先はやはりサービスデザイン推進協議会になる見込みだということが本日の衆院経産委員会で明らかになったのである。

 これだけ国の契約が問題視されても見直そうとしないのは、いくら問題が大きくなっても“電通タブー”によってメディアの追及が激化することは絶対にない、すなわち国民も騒がない、と安倍首相が高を括っている証拠だろう。

 しかも、安倍自民党は、新型コロナ対応に迅速にあたらなければならないというのに今国会の会期を延長せず、来週17日には閉会させようとしている。森友・加計学園や「桜を見る会」問題もそうだったように、国会を閉じることで追及を幕引きさせ、疑惑を有耶無耶にしようという算段なのである。

 国民から「持続化給付金が支給されない!」という悲鳴があがる一方で、政府と電通が一体化し食い物にする──。このグロテスクな癒着を、看過するわけにはいかないだろう。

最終更新:2020.06.03 10:54

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