伊藤詩織さんをカルバン・クラインがキャンペーンに起用! ネトウヨがまたぞろ攻撃もSNSでは称賛の声が圧倒

2019.03.27 11:21
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伊藤詩織さんが参加したカルバン・クラインのキャンペーン映像


 安倍首相と近い元TBS記者・山口敬之氏からの準強姦被害を訴えたジャーナリスト・伊藤詩織さんが、世界的ファッションブランドであるカルバン・クラインのキャンペーン映像に起用された。

 周知の通り、詩織さんは2017年、山口氏からの性暴力を告発し、実名と顔出しで記者会見に臨んだ。山口氏の“セカンドレイプ”的な反論やネット右翼によるバッシングにあったが、それでも彼女は「真実」を伝えるため著書『Black Box』(文藝春秋)を出版。世界的な「#MeToo」運動の流れのなかで複数の海外メディアの取材にも応じ、昨年にはイギリスのBBCが詩織さんを中心に据えたドキュメンタリー「Japan's Secret Shame」を公開。国際的に大きな反響を呼んだ同ドキュメンタリーは昨日、日本でもニコニコ動画にて放送された。

 今回、詩織さんが起用されたのは、カルバン・クラインが「MY STATEMENT. #MYCALVINS」と題するキャンペーン。同社のアンダーウェアをまとった中国、韓国、台湾、香港、インド、日本のアーティストやアクティビストたち10名が取り上げられている。カルバン・クラインのホームページによれば、この試みは〈文化の前衛となりパーソナルなステートメントを押し出しているアジアからの果敢な個人のグループを讃える〉もので、その一人として詩織さんが選ばれた。

〈国際女性デーとその2019年のテーマであるバランスに触発され、カルバン・クラインはこの10人に、バランスのコンセプト及びその様々な解釈を模索してもらいました。その結果は、それぞれの個人を形成するもの、その力の源、そしていかにして障害を勝利へと変えたかを物語る一連の密着したイメージ及びビデオとなりました。
 カルバン・クラインは、自己表現の強い意志をたたえ、常識への抵抗、ステートメントを提示するための挑戦をサポートします〉(カルバン・クライン公式サイトより)

 カルバン・クラインは伊藤さんを「映像作家(ジャーナリスト)/サイレンスブレーカー」と呼び、このように紹介している。

〈伊藤詩織は、すべての女性のエンパワメントをサポートしています。ドキュメンタリー映像作家であり提唱者である彼女は、小さな声を世界中に届けることに挑んでいます。自分自身を、そして彼女の内なる真実を信じて、現実に対して勇敢に挑戦し、暗闇に光を届けています。〉

 この世界的企業からのオファーは、ジャーナリストとしての評価はもちろん、抑圧や沈黙を強いられがちな性暴力被害について声をあげ続けたことが高く評価された証だろう。日本企業や国内メディアの態度とは180度違うものだ。

 考えてみてほしい。こと日本において、性暴力被害を告発した女性はある種のステレオタイプとして扱われがちだった。メディアは一様に“かわいそうで無力な被害者”として描写する。心ない人たちは“売名行為”だとか“彼女にも悪いところがある”というような誹謗中傷を投げかける。方向は違えども、いずれもネガティブなイメージを植え付けていることに変わりはない。

 そして、別の事件が告発されるたび、同じことが繰り返され、その「女性個人」の価値観や生き方は一切注目を浴びないまま、いつのまにか抽象的な存在として世間から忘れ去られていった。メディアも「その後」を伝えなかった。いや、日本社会の「性暴力被害は恥」という風潮が、それを許さなかったと言ったほうがいい。

 事実、2017年に「#MeToo」運動が世界的に盛り上がったときも、日本国内では被害者が顔を出して告発できるような空気はまったくなかった。誤解を恐れずに表現すれば、性暴力被害の告発者は「主体的な個」でなく、「被害女性という記号」としてだけ扱われてきた。

SNSでは伊藤詩織さんに「サイレンスブレーカーいいね!」の賛意が

 その空気に、詩織さんは抗った。顔と名前を公開した記者会見の場で「『被害女性』と言われるのが嫌だった」と公言し、その後も「伊藤詩織という個人」として自らの信念に従って行動し続けた。

 性暴力被害を告発した人は、漠然とした「彼女たち」ではなく、みなひとりひとり違う考え方を持ち、違う生き方をしている。詩織さんは、その行動で「性暴力について語ることができない日本社会」と「画一的な『被害女性』であることを強いられる」という“2重の沈黙”を破った。これこそ、カルバン・クラインが詩織さんを「サイレンスブレーカー」と表現した理由だろう。

 一方で、詩織さんへのバッシングは未だに続いている。前述したBBCのドキュメンタリーでも、自民党の杉田水脈衆院議員が「彼女の場合はあきらかに、女としても落ち度がありますよね」などと宣っていた。今回のカルバン・クラインのキャンペーンへの出演に対しても、ネット右翼は〈さようならカルバンクライン。CMに伊藤詩織を使うのは日本に対する敵対行為と判断した〉〈伊藤詩織さん…今度は下着姿ですか。怖すぎるわこの女性〉などと、懲りずにツイートしている。

 しかし、そんな中傷とは比べ物にならないほど、いま、SNS上では詩織さんを賞賛する声が多数あがっている。

〈詩織さんのカルバン・クラインのCM見た。堂々とした姿に圧倒された。こうも清々しく、どうやったら生きていけるだろうか。汚い誹謗中傷を受けた身をもって、どうしたらこんな素晴らしい決断にもっていけるんだろう。〉
〈滅茶苦茶かっこいいCM!「サイレンスブレーカー」いいね!!詩織さんの沈黙を破った勇気が、他の人たちの勇気になる〉
〈詩織さんを社のstatementに起用してくださったカルバンクライン社に心から感謝。本当に素晴らしいです。〉
〈あのカルバン・クラインの詩織さんのCMは素晴らしいよね。力強いメーッセージ性もあってね。〉
〈詩織さんの勇気を尊敬するし、応援してます。〉

伊藤詩織さんがカルバン・クラインのオファーを受けた理由

 詩織さんは、カルバン・クラインのオファーを受けた理由を自身のFBに綴っている。〈カルバンクラインから連絡をいただいた時は、いくら女性をエンパワーしたいと言われても下着と聞いて、お断りするつもりでした〉という。だが、〈「レースの下着を履いていたから同意していた」と無罪判決になったアイルランドでのニュースを見て、これまで自分自身に向けられた服装への批判などがフラッシュバックしたと同時に、このCKオファーについて考え直し、参加させていただくことにしました〉。今回の出演に関しても、自分の信念を強く持っていることがわかる。詩織さんは〈どんな格好をしていようが、どんな下着を身につけていようがそれは同意にはなりません〉と続けている。

 日本社会において、いまだに「性暴力被害者」に対する偏見やバッシングが横行していることは事実だ。だが、詩織さんの行動が、その風潮を確実に変えつつあることは間違いない。キャンペーン映像のなかで、カルバン・クラインのアンダーウェアを纏った詩織さんは、このように語りかけている。最後に引用しておこう。

「私は女性が女性を助けたり、サポートするということは、女性が社会的に力を得る上で大切なことだと思います。私の役目はその小さな主張を見つけて、それを世界に届けること。私たちに必要なのは、自分を信じ、真実を信じること」

最終更新:2019.03.27 09:53

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