解散総選挙で「自民40議席減、過半数割れ」の調査結果は本物だった! 党本部パニック、官邸は解散強行の姿勢崩さず

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自由民主党HPより


 政府・自民党が、ある調査データをめぐってパニック状態に陥っている。先週末、党本部が調査会社を使ってひそかに行った衆院選の情勢調査データが想定を大きく下回り、“過半数割れ”の可能性が出てきたからだ。自民党関係者が打ち明ける。
 
「現在の290議席から250議席へと40議席も減らすという数字が出たんです。しかもこのデータ、野党の選挙区調整を一切考慮していない。すでに共産党候補が出馬を取りやめ、民進党系の候補に共産党の基礎票が加わる選挙区がどんどん増えていますから、減らす議席は40にとどまらず、うちの獲得議席は過半数の240議席を割り込む可能性も出てきた。とても解散総選挙なんて打てない状況です」

 きのう(4月14日)の時点で「日刊ゲンダイ」がこの調査の存在をすっぱ抜き、「自民30~40議席減」とやや控えめに書いていたが、大手メディアは現時点でもこのデータを一切報道していない。

 が、この調査は本当に行われたものだった。実は、本サイトは12日の時点でこの調査データを入手し、官邸の反応を取材していたところだった。裏事情を交え、以下、レポートしよう。

 そもそも自民党が独自調査に乗り出したのは、衆参ダブル選挙の試金石となる、与野党全面対決の北海道5区補欠選挙をめぐる一件だった。前出の自民党関係者の話。

「実は4月初頭に、北海道新聞の調査で、自民党の和田義明候補が野党の池田真紀候補に4ポイント差で負けているという初めてのデータが出たんです。和田候補は町村信孝元官房長官の娘婿で、選挙は強いと思われていただけに、党本部は『そんなはずはない』と大慌て。そこで1週間後の先週末、北海道5区に限らず全選挙区で独自に調査をかけてみようとなった」

 その結果、やはり3ポイント差で和田氏が負けていたという。党独自の調査だと、自党に有利な調査結果が出るといわれる。そんな独自調査で和田氏に不利と出たのであれば、大ごとだ。

「北海道5区のデータは地元の和田事務所に伝え、陣営の尻を叩きました。そして党本部では谷垣禎一幹事長を中心に『安倍総理をどんどん現地入りさせろ』と注文を付けたんです。そうしたら官邸は『負ける選挙なら応援に入れたくない』と背を向けてしまった」(前出・自民党関係者)

 一方、党本部はこの北海道補選の調査と一緒に、全国の衆院選調査も行っており、その結果、出たのが、冒頭の40議席減という数字だった。しかし、全国の調査データは官邸が一時、ひた隠しにしていたようだ。官邸詰めの民放記者が言う。

「週明けの11日(月曜日)になって『党本部の調査データが出たらしい』という噂が飛び交ったんですが、本当に調査したのかどうかも分からないままでした。この日、官邸では北朝鮮のミサイル発射疑惑で騒然としていて、防衛省や外務省の幹部がひっきりなしに官邸入りしていて、それどころじゃなかった。ただ、そのなかに、内閣情報調査室の北村滋情報官が2度も官邸に来ていたんですね。そのうちの1回は北朝鮮問題ではなく、この選挙データの分析結果についてのご注進だったようです」

 さらに、本サイトがつかんだ情報では、この少し前に、自民党の谷垣禎一幹事長側が官邸に調査結果を突きつけて「解散を打つべきタイミングではない」と詰め寄ったという。ところが、官邸側の反応は意外なものだった。

「安倍総理を取り巻く今井尚哉秘書官らが『野党が勢い付いて、民進・共産の共闘が加速する前に解散に打って出るべきだ』と理解しがたいことを言い出しているんです。ここにきて、甘利明氏のあっせん利得事件に東京地検のメスが入ったでしょう。それで、逆にスキャンダルを吹き飛ばすために、解散総選挙でガラガラポンにしたほうがいいと考え始めたようです。小渕優子元経産相ら閣僚の不祥事が相次ぎ、あえて解散に踏み切った1年半前と同じ手口をやろうということのようです」(官邸関係者)

 ダブル選に慎重だった菅義偉官房長官も、今週になって「解散権は首相にしかない」と解散容認とも受け止められる発言に軌道修正している。もう一人の重鎮、麻生太郎財務相に至っては、解散に乗る気満々らしい。

「麻生さんの場合は敗けたら敗けたで、安倍首相を辞任に追い込んで、自分が首相に再登板するというそろばん勘定もあるのかもしれません」(前出・官邸関係者)

 いずれにしても、今回の調査結果流出は、官邸のこうした前のめりぶりを牽制しようと、自民党関係者が仕掛けたもののようだ。

「『解散総選挙で敗ける』ということになれば、党内に動揺が広がって、慎重論が台頭してきますからね。ただ、全国紙が官邸ににらまれるのを怖がって、この調査結果を一切書かなかったうえ、安倍首相自身は、調査なんて関係なく、どんどん解散へ前のめりになっている。この流れは変わらないんじゃないでしょうか」(政治ジャーナリスト)

アベノミクスの失策で景気悪化が深刻になっている中、安倍政権は延命を図るべくこの4年間に3度目の総選挙をやろうというのだから、あきれてモノが言えない。一度の総選挙にかかる費用は600億円超。4年間に2000億円の選挙費用が消える計算になる。そんな金が調達できるなら、どうして待機児童問題など焦眉の課題を解決しようとしないのか。

この政権に国の舵取りをこれ以上任せていたら、国民の幸福などお構いなく、破滅の道を進みかねない。今こそ「ストップ 安倍」を掲げなければならない。
(小和田三郎)

最終更新:2016.04.15 07:34

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