安倍政権の「慰安婦問題否定」の詐術を改めて暴く!

国連で慰安婦問題をつめられた日本政府が安倍首相の意向に沿って仰天のデマ反論!“吉田証言と朝日の捏造のせい”

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中曽根康弘が慰安所をつくったことを証明する戦時文書、産経の総帥も

 たとえば海軍出身の中曽根康弘元首相は、回想記『終りなき海軍』のなかで、当時、設営部隊の主計長として赴任したインドネシアで〈原住民の女を襲う〉部下のために〈苦心して、慰安所をつくってやった〉ことを自慢話として書いている。この中曽根証言は、防衛省のシンクタンク・防衛研究所の戦史研究センターが所蔵している当時の文書「海軍航空基地第2設営班資料」において、〈気荒くなり日本人同志けんか等起る〉ようになったところで〈主計長の取計で土人女を集め慰安所を開設気持の緩和に非常に効果ありたり〉と記されているように、歴史事実として裏付けされたものだ。

 また、陸軍出身の鹿内信隆・元産経新聞社長は、桜田武・元日経連会長との対談集『いま明かす戦後秘史』(サンケイ出版)のなかで、慰安所と慰安婦が軍主導であった事実をあけすけに語っていた。

「(前略)軍隊でなけりゃありえないことだろうけど、戦地に行きますとピー屋(引用者註:慰安所のこと)が……」
「調弁する女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとか、それからムシロをくぐってから出て来るまでの“持ち時間”が将校は何分、下士官は何分、兵は何分……といったことまで決めなければならない(笑)。料金にも等級をつける。こんなことを規定しているのが『ピー屋設置要綱』というんで、これも経理学校で教わった」
 
 実際、靖国偕行文庫所蔵の『初級作戦給養百題』(1941年)という陸軍主計団記事発行部が発行した、いわば経理将校のための教科書の記述にも〈慰安所ノ設置〉が業務のひとつとされており、この鹿内証言も軍の資料と完全に一致するのだ。

 日本政府代表は国連人種差別撤廃委員会で、吉田清治の『私の戦争犯罪』を「捏造」と持ち出したが、ちゃんちゃらおかしい。同書は1983年の出版だが、鹿内証言の『いま明かす戦後秘史』も同年刊行であるし、中曽根手記が収められている『終りなき海軍』に至っては1978年に出されたものだ。

 というか、それ以前から日本でも韓国でも慰安婦についての記述がある本はいくつも出版されてきた。たしかに、元慰安婦女性が実名でインタビューに応じ、日本でそれが報じられたのは90年代に入ってからだが、その前から「本」というかたちで慰安婦に言及したものはいくらでもあるのだ。

 それを、さも吉田清治の『私の戦争犯罪』だけが慰安婦および慰安所の「イメージ」を作り上げたとする日本政府代表の言い分は、どう考えても悪質なデマゴギーではないか。はっきり言って、吉田証言の虚偽と朝日の吉田証言関連記事取り消しのみを突破口に、「慰安婦問題」の人権侵害や加害事実を否認しようとしているとしか思えない。

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