安倍応援団の攻撃に怯まない「#検察庁法改正に抗議します」の有名人たち…小泉今日子は「読んで、見て、考えた。その上で今日も呟く」

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上・裕木奈江/東ちづるTwitterより


 多数の著名人を含む人びとがTwitter上で声をあげた「#検察庁法改正案に抗議します」。ついには900万ツイートという驚異的な数字を叩き出しているが、一方、安倍首相はこうした市民の声も無視して検察庁法改正案を明日か明後日にも衆院内閣委員会で強行採決することを目論んでいる。

 しかも、ネット上では声をあげた著名人たちに「知らないくせに言うな」「政治的発言をするなんてガッカリ」などと難癖をつける者が続々と登場。さらに、今回、反対の声をあげたミュージシャンや俳優、マンガ家らの名前をまとめたリストを作成する者まで現れ、安倍応援団の百田尚樹はこれを〈このリストは永久保存版やね〉などとコメントをつけてRTし、拡散したのだ。

“安倍政権の政策に反対する芸能人は要注意人物”と言わんばかりの下劣な行為──。津田大介も指摘していたが、韓国の朴槿恵・前大統領は政権に批判的な芸能・文化人の“ブラックリスト”を作成していたことがわかっているが、ようするに百田らはリストを拡散させて“非国民の芸能人”として監視しようと呼びかけているのだ。

 しかし、こうした卑劣な攻撃を受けても、声をあげた芸能人たちは黙らなかった。

 たとえば、リストに名前を挙げられた裕木奈江は、このリストについて〈なにこれ、シンドラーのリスト?脅迫を受けている気持ちになりますね。何のためにこれを作っているのでしょう?〉と投稿。さらに、〈このリストは永久保存版やね〉という百田のツイートをリツイートして、〈永久保存して誰が何にどう使うの?〉と直接投げかけ、また〈言論の自由が保障されている国でこのようなリストが作られて配られていること自体が恐ろしいこと〉ともツイートしたのだ。

 また、9日深夜から「#検察庁法改正に抗議します」のハッシュタグをつけて連投してきた小泉今日子は12日夜、「勉強不足」だという批判を意識して、こう投稿した。

〈私、更に勉強してみました。読んで、見て、考えた。
その上で今日も呟かずにはいられない。 #検察庁法改正に抗議します〉

 小泉だけではない。やはり攻撃を受けていた東ちづるは、きゃりーぱみゅぱみゅがネトウヨ評論家の加藤清隆氏に〈歌手やってて、知らないかも知れないけど〉などと上から目線の説教ツイートを受けて〈歌手やってて知らないかもしれないけどって相当失礼ですよ、、、、〉と反論したことを伝える記事をRTした上で、〈私にも「ファンだったのに政治発言にガッカリ」「女優さんだから分かってないでしょうが」みたいなコメントが。芸能人は社会や時事に疎いという思い込み?そうあってほしい?優位、上から目線でいたい?おバカでいてほしい?ということかあ。職業差別が根底にあったのかあー〉とツイートした。

 今回、検察庁法改正案に反対の意見を示した芸能人らには必ずといっていいほどクソリプが投げつけられているが、とりわけ女性には露骨なマンスプレイニングが繰り広げられている。だが、裕木や小泉、東らはこうした攻撃にも屈せず、反論をおこなったのだ。

 さらに、9日にハッシュタグをつけて〈身近な信頼できる人達がみんな抗議してるから、どういうことだろう?と思って調べてみたらマジで半端ねぇ事が起きてた。みんなもちょっと調べてみて〉と投稿していたOKAMOTO'Sのオカモトレイジも、〈自由に発言しなさい。ただし自分の芸名を使う限り商業的リスクを考慮しなさい。全ては自分に降りかかってくることを理解しなさい。それが責任ということです〉という説教ツイートに対し、〈命令口調〉と反撃。「ルーピー」というアカウントによる〈真面目に話し合いたいなら笑をつけるのは失礼だと思いますよ。初めから真面目にやるつもり無いとは思いますがね〉というツイートに対しては、そのまま〈ルーピー〉と返答。この見事な反撃には、水原希子も笑い顔の絵文字とともにリツイートした。

浜野謙太は森友、甘利問題にも言及し「検察まで絡めとられたらウチらは詰みだよ」

 このように、攻撃されても萎縮せず、自分の意思表示をやめない芸能人たち。しかも、ネトウヨたちは「たんにタグのブームに乗っただけだろ」「もう終了したの?」などと批判していたが、まったくそんなことはない。いまも検察庁法改正案に反対する投稿を繰り返している有名人はたくさんいる。

 なかでも象徴的なのが、ミュージシャンで俳優の“ハマケン”こと浜野謙太だろう。

 浜野は「#検察庁法改正案に抗議します」のツイートが溢れかえっていた5月10日に本人アカウントを開設し、水原希子が黒川氏の定年延長閣議決定撤回と辞任を求める署名の呼びかけたツイートをRTし、〈だいぶ遅れ馳せすいませんだけどリツイート。今はデモとかできないしTwitterでできるだけ発信するっきゃないよね〉と投稿。〈もし検察庁法改正案を止められたとしても、この黒川さんの定年延長閣議決定を無しにするとこまでいかなきゃまずいままよね。ついでに内閣人事院も解体しなきゃ忖度、改竄止まらない。深ぇ…〉ともコメントした。

 さらに、11日には「首相「恣意的な人事の懸念ない」検察庁法改正案めぐり」というNHKニュースの記事をRTし、〈黒川さんの勤務延長だって「業務遂行上の必要性に基づき、引き続き勤務させる」て説明ゼロな人たちが、事前に明確にするから大丈夫!ってああそうですかなら安心だ!……っていくらなんでもならねぇよ〉と切り込んだかと思えば、12日も、森雅子法相が検察庁法改正案を「問題ない」と発言したニュースに対し、〈「国民の疑念や誤解に対し真摯に説明していきたい」って、検察は国民に疑念持たれた時点でダメだよ。不偏不党だろうが。お友達人事で閣僚も官僚も終わってんだから検察まで絡めとられたらウチらは詰みだよ〉と批判。そして、同じく12日夜には、こんな投稿をおこなった。

〈はまけんが本人アカウント始めたがいきなりの政治ツイートばかりでフォローためらってる方や引いてる同業者の方もしいたらごめんなさい。僕は森友問題からもっと前の甘利さんの時から検察ナゼ?と。今回のことで頭爆発しそうになったので固執してます。後でバランスとります〉

 じつは、浜野は個人としてTwitterをはじめた10日に、「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグをつけ、ある画像を貼り付けた上で〈これもうやむやにされたくない〉というコメントを投稿していた。その貼り付けられていた画像は、森友公文書改ざん問題で自殺に追い込まれた近畿財務局職員・赤木俊夫さんの妻が国と佐川宣寿・元財務省理財局長を提訴したことを伝える今年3月19日付けの新聞記事だった。

ようするに、ネトウヨが言うような「ブームに乗っかっているだけ」などではなく、浜野は佐川氏はじめ財務省関係者全員が不起訴処分となった森友問題のことも、贈賄側の実名証言まであったのに甘利明経済再生相(当時)はおろか秘書すら立件されなかった甘利口利きワイロ事件のことも、ずっとおかしいと感じ、問題を注視していたというわけだ。

『逃げ恥』の脚本家・野木亜紀子は陰謀論による攻撃を冷静に鮮やかに論破!

 また、『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』(TBS)などのヒットドラマを手掛け、星野源と綾野剛のW主演で放送開始が待たれている『MIU404』(同)でも脚本を担当している脚本家の野木亜紀子は、法案審議がはじまる前から問題を指摘していたひとりだが、今回の「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグに「広告代理店が仕掛けた」「中国の仕業」などという陰謀論や「ハッシュタグをつけた芸能人は全員反日」などという声が出ていることについて、きょう、このような意見を投稿した。

〈このタグについて陰謀論が出てるけど、個人的にはもっと単純な話だと思ってます。これまで皆がそれぞれ、疑問や不信を少なからず抱いていた。しかし政治的と受け取られる発言は、嫌がるファンもいるし反発食らうし政治色つけたくないし黙っていた(是非はともかく)〉
〈だがコロナ禍で日常が崩れ、おいおい我が国大丈夫?と気持ちが強まったところに今回の件。さすがに黙ってられん!と抗議に至ったのでは。タグが寄与したところは大きいだろうけど、大人の職業人なんだから自分で考えて動いてるでしょう。大体、金や指令(?)で動く人たちですかね。〉
〈意見が違うというのなら何が見解を分けているのかという中身の話になるけれど、改正案に抗議した著名人=「反日」で「動員」という括りには根拠がなく、それこそデマです。また、『タグのほとんどがスパム』説は、ねとらぼの調査では否定されてます。5%以下だって。〉

 無論、これは有名人たちだけの話ではない。ハッシュタグをつけて抗議の意思を示した多くの人たちが「このまま黙っていたら大変なことになる」という危機感を覚えたのだろう。しかし今回、多くの芸能人や作家が声をあげたことで、わずかながらテレビでも取り上げられた。もし有名人が参加していなければ、ほとんどの番組が多くの人が示した危機感を無視して、検察庁法改正案の問題をスルーしたかもしれないのだ。

 安倍首相はいまだにそうした大きな声に向かい合わず、法案を強行採決させる姿勢を崩していない。だが、この状況を変えられるのは、市民の声の高まりとメディアの報道しかない。安倍首相が無視できないほどのもっと大きな声にするために、影響力のある芸能人たちにはこの運動を牽引してほしいと願うほかない。

最終更新:2020.05.14 11:52

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