安倍首相が“外国人労働者受け入れ”でもお友だち優遇か! 日立の外国人技能実習生違反をアシストした斡旋団体と密接関係

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監理団体との接点も…(首相官邸HPより)


 今月5日、日立製作所とグループ会社10社が技能実習適正化法違反で改善勧告や改善指導を受けていたと朝日新聞朝刊がスクープした。これらの事業所では、外国人技能実習生に技能習得のための必須業務と違う作業をおこなわせたりしていたといい、4月からの外国人労働者受け入れ拡大を前に、その土台となる外国人技能実習制度の問題点があらためて浮き彫りになった。

 日立といえば、経団連のトップである中西宏明会長が取締役会長兼執行役を務めるお膝元企業。中西会長は入管法改正案を安倍政権が強行採決、成立させると「歓迎する」と談話を発表し、外国人労働者受け入れ拡大にあたって「適正な雇用・労働条件の確保を図る」としていた。ところが実態は、すでに事業所で違法行為が横行していたのである。

 しかも、今回の朝日新聞の報道であきらかになったのは、技能実習生を受け入れ企業に斡旋する監理団体の悪質性だ。

 記事によれば、技能実習適正化法違反で改善勧告などを受けた日立とグループ会社計11社に実習生を紹介、実習の監査をおこなっていた監理団体は、広島市の「協同組合フレンドニッポン」。「フレンドニッポン」は〈日立や三菱グループなど全国の200社に5千人の実習生を紹介〉している監理団体では最大手のひとつなのだが、朝日が入手した録音データには、実習目的と実際の作業が異なることを訴える実習生に「フレンドニッポン」の担当者が「全然違うじゃないかというのは分かる。ただ、みんなの思っていることをクリアさせてあげるのは現実的に難しい」となだめている模様が収められていたという。

 本来、監理団体は受け入れ企業が適正な技能実習をおこなっているかを確認・指導する役割を担うが、このように、違法行為に加担するような立ち回りをしていたのである。

 こうした監理団体の問題はずっと指摘されてきたものなのだが、安倍首相は国会審議でも「問題を重く受け止めている」と繰り返すだけ。それどころか、外国人技能実習生たちの過酷な労働実態を突きつけられても、安倍首相は出席した懇親会で「明日はややこしい質問を受ける」などと挨拶をして会場で笑いを取ろうとしたり、その国会審議で実習生たちの死亡例について追及されると「私は答えようがない」と無責任に言い放つ始末だった。

 あまりにも冷酷非道な態度を取りつづけた安倍首相だったが、しかし、こうした現実を一顧だにしない姿勢には、きな臭い背景があったらしい。

 じつは、今回問題になっている「フレンドニッポン」は安倍首相と関係のある団体で、その創業者は安倍首相主催の晩餐会にも招待されていたというのだ。

 この問題を報じた「しんぶん赤旗日曜版」2月24日付け記事によると、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が2016年10月に来日した際におこなわれた安倍首相主催の晩餐会では、「フレンドニッポン」の創業者であるT氏が招待を受けて出席していたという。実際、赤旗では、外国人技能実習生の研修機関で、T氏が創業した「フィル・ニッポン・テクニカル・カレッジ」(以下、PNTC)のFacebookに掲載された、安倍首相やドゥテルテ大統領とともにT氏が写っている記念写真を掲載している。

現地自治体が「安倍首相の政治アドバイザー」という発言を紹介

 これだけならばフィリピン人実習生を斡旋する監理団体の代表として招待されただけとも感じられるが、問題はこのあと。フィリピンのカタンドゥアネス州のHPに掲載されている2018年3月6日付けの記事では、PNTCの社長(president)が、このように語ったと書かれているのだ。

「PNTCの会長(chairman)は安倍晋三首相の政治アドバイザー(political adviser)である」

「フレンドニッポン」の創業者T氏は安倍首相の政治アドバイザーだ──。もちろん、T氏あるいはPNTCの社長がホラを吹いている可能性もあるだろう。しかし、「フレンドニッポン」との関係を示す情報は、ほかにもある。

 たとえば、2015年にさかのぼると、11月18・19日に安倍首相はAPEC首脳会議出席のため昭恵夫人とともにフィリピンを訪問したのだが、外務省のHPには、その際の昭恵夫人の動向について、こう書かれている。

〈19日晩、安倍総理夫人は、協働組合フレンドニッポンにて研修中のフィリピン人技能実習生らと懇談しました。(中略)安倍総理夫人は「来年訪日されるフィリピン人技能実習生の方々とお会いすることができ嬉しく思います。訪日後は生活習慣や言葉の違い等苦労があると思いますが、是非日本の良い点を学んでいただきたいです。皆さんが日本で働かれている姿を見ることができればと思います」と伝え、技能実習生に対してエールを送りました〉

「ここにも昭恵夫人か」と思うほかないが、「フレンドニッポン」はこのほかにも、2014年2月に自民党本部で開かれた「監理団体へのヒアリング」に「講師」として出席。〈技能実習制度を拡大して安価の労働力として使おうという自民党の提言づくりにも深く関与〉(しんぶん赤旗)していたというのである。

昭恵夫人とも接点、政界の利権草刈り場と化す外国人労働者受け入れ

 つまり、安倍首相・昭恵夫人がそろって「フレンドニッポン」と接点をもち、さらには「フレンドニッポン」は外国人技能実習制度そのものにもかかわるような提言にまでかかわっていた、というわけなのだ。

 監理団体をめぐっては、本サイトでも既報の通り(https://lite-ra.com/2018/11/post-4386.html)、大物政治家の存在が取り沙汰されてきた。たとえば、ベトナム人技能実習生受け入れの監理団体である「公益財団法人東亜総研」の特別顧問は自民党の二階俊博幹事長。また、監理団体から手数料を徴収している「一般社団法人日本ミャンマー協会」の役員名簿(今年2月現在)には、名誉会長に中曽根康弘・元総理大臣、最高顧問に麻生太郎・副総理兼財務相、理事に甘利明・自民党選挙対策委員長など、大物政治家の名前がずらりと並んでいる。

 そしてここにきて、安倍首相にも持ち上がった監理団体との接点──。外国人労働者の受け入れ拡大によって、こうした団体はさらに儲けが増えることが見込まれる上、今年4月からは外国人労働者の支援をおこなう「登録支援機関」が新設される。ここに監理団体がスライドすると見られているのだが、現行の技能実習法では主務大臣が監理団体に対して指導や改善命令を出すことができるのに、改正法概要では登録支援機関には指導・助言しかおこなえなくなっている。つまり、現行よりも「甘く」なるのだ。

 果たして、「フレンドニッポン」の創業者T氏は「安倍首相の政治アドバイザー」なのか。さらにはそのことが法案作成や審議に影響を与えることはなかったのか。ともかく、改正入管法が施行される4月からも、外国人技能実習生を取り巻く労働問題に注意深く目を光らせていくしかない。

最終更新:2019.03.08 03:05

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