カルチャーに関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
射精だけじゃない!◯◯と×××を刺激すれば男もイク!知られざる男性のオーガズム
『オトコのカラダはキモチいい』(KADOKAWA/メディアファクトリー)
Googleで「オーガズム」とニュース検索をかけると、ヒットする90%以上の記事が、
「男性を虜にする『イク女性』の秘密」
「セックスで『他の男には絶対に渡したくない』と言わせるイク女性の特徴」
「エッチでオーラ美人になる秘密4つ」
などなど、女性のそれである。
不思議なことに、男性のオーガズムについて書かれたニュースはほんの数%。まあただ射精をするだけの話である、それだけ世間の関心がないということなのだろうか。……と、思うのは早計。男にも、射精以外のオーガズムがあるのだ。
そんな説をBL、そしてアダルトビデオという相容れないと思われる2ジャンルから熱く掘り下げたのが『オトコのカラダはキモチいい』(KADOKAWA/メディアファクトリー)である。
著者は、「美しい女性による痴女モノ」の第一人者であるアダルトビデオ監督の二村ヒトシ氏、やおい・BL・同人誌研究家であり社会学研究者の金田淳子氏、「アダルトグッズ評論家」の異名も持つ編集者・文筆家の岡田育氏の3人。AV監督の二村氏と、腐女子の金田氏&岡田氏が掲げる本書のテーマは、〈男のカラダだって、もっと褒められて、愛でられて、ありのままでキモチよくなっていいんだよ〉だそうだ。
今まで「チンコこすって勃つ」程度だった男のカラダが、3人によるとたちまちいやらしく、神秘をまといだす。
まず、「男の気持ちいいカラダ」の一部として持ち出されるのが「やおい穴」だ。いわゆるBLに登場するアナル、「穴」なのだが、金田氏によるとこの穴、〈「耽美」とか「やおい」とか呼ばれていた頃の〉70年代の漫画にはなかったのだという。その時代をズバリ、〈穴不在の時代〉と評する。
〈セックスシーンは、股間と股間をこすりつけているだけに見える描写ばかり〉〈何かが何かに入っている気がしない。チンチンすらも描かれていない〉
その後、80年代初めに〈「穴の発見」の時代〉に突入。当時、この「穴」を広めたのが小説家の栗本薫氏であるといい、彼女の〈有名な古典的BLで明らかに「穴」がある描写をしている〉という。ただし、その「穴」は〈毎回、血が出る〉そうで、現在のどこからともなく溢れる潤滑液のようなものが描かれる「穴」とは違っていたようだ。とにかく栗本氏が書いたことで、〈みんな「穴」に気付いたり、「穴を描いていいんだ!」〉となったのだそう。
そして、90年代後半にはついに、〈「やおい穴=アナルでは?」と感じさせる描写が増え〉はじめ、その「穴」表現が全盛をきわめていく。
ただ、いくら「イコール、アナル」だとしても、〈洗わなくても清潔で、セックスに適した穴のように描かれる〉〈うんこは出ないし、穴は初回でも10〜30分ぐらいで拡張できる。受けは挿入されるとすぐに気持ちよくなってアンアン言う。やや性急に挿入しても血が出ない〉というから、やはり現実のアナルとは程遠い。
さらに、「穴」が気持ち良いときの擬音語を岡田氏が解説するのだが、〈「くぱぁっ」と開けば恥じらって、「つぷっ」と咥え込んだら「きゅんきゅんっ」と締まって、というのが名器〉とするなど、男性向けエロ漫画におけるマンコ描写と完全に一致する。
だが、本書によると、この「やおい穴」はBLというファンタジーの世界観にとどまるものではないらしい。リアルな男性同士はもちろん、女性とのセックスでも大きな役割を果たすことになるのではないか、というのだ。AV監督のなかでも、特にリアルに男がヒイヒイ言う姿を撮っている二村氏は、男たちとアナルの関係についてこう言う。
〈男は、自分の体が性の対象になることに全く慣れていない。そして男にとってペニスであれば安心して能動的に快楽を抱けるんだけど、アナルはそうじゃない〉
〈(アナルは)自分でコントロールすることができない、受動的な快楽に身を任せることになってしまう〉
そういったことを嫌がって出演を拒む男優もいるというが、それは、〈カメラ前で『ヒクヒクヒク、イッちゃうー』みたいな姿を晒すわけにはいかない〉〈男の沽券にかかわる。プライドが傷つく〉からだという。
そんな男たちに、金田氏が〈普段、女のそれを見たがっておいて?〉と斬り込んでいるが、そう、女はヒイヒイ恥ずかしい姿を晒してもいいが、男は勘弁!というのが、現在のごく一般的なセックスなのである。
その常識を打ち破るのが、前立腺の存在だという。二村氏いわく前立腺とは、〈陰茎海綿体の根っこの、膀胱側のすぐ横〉にあるといい、〈まだ医学会でも謎の多い器官〉で、〈女性のスキーン腺〉、いわゆる〈Gスポットに対応しているのではないかという話も〉あるらしい。そして、二村氏によると、前立腺を刺激することで、今までにない快楽が男の身体を襲う。
〈指や器具、ペニスを肛門から挿入し、物理的に前立腺に触って刺激して、強制的に活動を促すわけです。すると刺激の信号が逆襲し、ペニスには触れていないのに勃起し前立腺液を垂れ流し、逆流した快感は脳まで届きます。そのとき全身に鳥肌が立ち、乳首・耳たぶ・太ももの内側などの性感帯が敏感になるという男性もいますね〉
それはすなわち、女性の「膣の中でイクこと」に当たる現象だという。〈ほとんどの男性は、まさか「自分たちも中イキできるんだ」とは知らず、女性で言うクリトリス・オーガズムだけしか知らずに生きている〉と、二村氏は言う。
さらに本書では、前立腺のエネマグラによる開発方法にまで話が及んでいる。その際には、従来のエネマグラはアメリカ製のため〈初心者が使うには相当でかい〉といい、二村氏が日本人向けに〈「処女の男性」でも抵抗なく入れることができる〉という、〈小指ほどのサイズの初心者バージョン〉を開発、その名も「プロステート・ギア」だというから、興味のある読者諸兄はググってみることをお薦めする。
〈今までに経験したことのない快感が繰り返し繰り返し訪れて、男の体はパニックを起こす〉(二村氏)とまで言わしめる、射精以外のオーガズム。
二村氏は言う。その昔、フェラチオが〈ゲイの男性かプロの女性による変態行為の一種とみなされて〉いたが、〈AVの登場によって80年代に入ってから一般社会に加速度的に広まった〉。同様に、〈「男の乳首が性感帯であり、女性が男性の乳首を愛撫してもよい」と周知されたのは、ここ15年ほど〉。
つまり、アナルと前立腺刺激によるオーガズムも同様の軌跡をたどる可能性があるということだ。〈カメラの前でよがり狂うことが許されない(中略)セックスの固定概念に縛られた自分を含めた男性一般〉が、こうした刺激を受けることで意識が変わり、男のセックスのありようが変わっていくということだろう。
もしかしたら、数年後には「彼女の前でアナルをヒクヒクさせる彼氏」という絵面が当たり前になっているかもしれない。
(羽屋川ふみ)
最終更新:2018.10.18 05:51
関連記事
新着 | 芸能・エンタメ | スキャンダル | ビジネス | 社会 | カルチャー | くらし |
『報ステ』大越の“万博礼賛”はテレ朝上層部の維新忖度か 『モーニングショー』でも吉村の“出禁”発言以降、万博批判が消える
吉村知事はガス爆発でも開き直り「他区域ではガスが出ない」と大嘘! 地下鉄工事でメタンガス確認、大阪市も発生可能性認めたのに
萩生田光一 裏金2728万円でも“事実上お咎めなし”で高笑い! 岸田と森に取り入って安倍派も“独り占め”の悪夢のシナリオ
吉村知事が「万博出禁」と攻撃した玉川徹のコメントはどれも当たり前の指摘ばかり! 吉村の言論弾圧体質はプーチン並み
大阪万博の工事現場でガス爆発 会場地下に溜まるメタンガスへの懸念が現実に! 危険な有害物質PCB汚泥も覆うだけ
小林製薬「紅麹」で問題視される「機能性表示食品制度」は安倍案件! 維新と一体の大阪万博パビリオン総合Pも旗振り役
安倍派裏金で読売新聞「非公認以上の重い処分」報道の違和感! 実際は軽い処分を重く見せるために岸田首相周辺が印象操作
政倫審でも「法令遵守体制」を自慢して顰蹙! 世耕弘成の法令遵守とはかけ離れた「政治と金」疑惑の数々
世界的建築家の「カジノありきの万博」「あり得ない」の批判に、維新・大阪市長が「万博とカジノ関連ない」と失笑の大ウソ反論
政倫審 安倍派4人の嘘と矛盾を徹底検証! 萩生田も含め証人喚問は絶対必要だが、マスコミ報道は大谷の結婚一色
『仰天ニュース』“赤木ファイル”特集で安倍政権・公文書改ざん事件の卑劣があらためて注目! 中居正広も「あってはならない」と
ジャニーズ会見で井ノ原の「ルール守って」発言賞賛と記者批判はありえない! 性加害企業が一方的に作ったルールに従うマスコミの醜悪
ジャニーズ性加害でジュリー社長辞任もテレビ局は検証放棄! 局内での行為が疑われるテレ朝とNHKの無責任な姿勢
ジャニーズ性加害問題で露わになったテレビ局の共犯性! ジュニアの練習場を提供したテレビ朝日はジュリーの謝罪後も批判なし
坂本龍一が最後まで中止を訴えた「神宮外苑森林伐採・再開発」の元凶は森喜朗! 萩生田光一も暗躍、五輪利権にもつながる疑惑
れいわから出馬 水道橋博士が主張する「反スラップ訴訟法」の重要性! 維新・松井だけでなく自民党も批判封じ込めで訴訟乱発
自公維新が提出「国民投票法改正案」にネットで批判の声広がる! 小泉今日子も〈#国民投票法改正案に反対します〉と投稿
三浦瑠麗が「医者はワイドショー見てコロナ怖がりすぎ」と医療従事者を嘲笑! 専門家から反論されると半笑いで「私、医者じゃないんで」
Netflix版『新聞記者』の踏み込みがすごい! 綾野剛が森友問題キーマン官僚に、安倍御用ジャーナリストはあの人が…
NHK捏造・虚偽放送問題で河瀬直美監督のコメントが無責任すぎる!ドラマの デモ描写に異議唱えた『相棒』脚本家と大違い
吉村知事はガス爆発でも開き直り「他区域ではガスが出ない」と大嘘! 地下鉄工事でメタンガス確認、大阪市も発生可能性認めたのに
吉村知事が「万博出禁」と攻撃した玉川徹のコメントはどれも当たり前の指摘ばかり! 吉村の言論弾圧体質はプーチン並み
大阪万博の工事現場でガス爆発 会場地下に溜まるメタンガスへの懸念が現実に! 危険な有害物質PCB汚泥も覆うだけ
小林製薬「紅麹」で問題視される「機能性表示食品制度」は安倍案件! 維新と一体の大阪万博パビリオン総合Pも旗振り役
2700万円裏金でも萩生田に反省なし! 月刊誌で被害者気取り発言、「裏金はメディアとの会食に使った」とマスコミを恫喝
森喜朗、安倍晋三、菅義偉は東京五輪不正にどう関わっていたのか? “キーマン”高橋治之が保釈後初インタビューで証言
“インチキ派閥解消”の陰で自民党と岸田政権が温存する裏金づくりのシステム! 企業団体の献金、パー券購入も不透明なまま
検察の安倍派幹部“立件見送り”の不可解! 西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長、森喜朗元首相にくすぶる疑惑
松本人志と並んで万博PRの吉村洋文知事 能登半島地震で救助や支援を自分の指揮のように演出して大顰蹙
裏金問題捜査で田崎史郎が「安倍政権時代なら法務省と官邸で内々に」とポロリ! 実際にあった安倍官邸の検察捜査ツブシ総まくり
維新ゴリ押し 万博&カジノにかかる金はインフラ整備を含めると8000億円以上だった! 大半が国と大阪市の負担、巨額の税金も投入
防衛費増額の財源で「法人税」を削除し「国民全体の負担」だけにした政府有識者会議は読売社長、日経元会長、朝日元主筆がメンバー
菅首相の追加経済対策の内訳に唖然! 医療支援や感染対策おざなりでGoToに追加1兆円以上、マイナンバー普及に1300億円
菅首相のコロナ経済支援打ち切りの狙いは中小企業の淘汰! ブレーンの「中小は消えてもらうしかない」発言を現実化
菅首相の追加経済対策が“自助”丸出し! コロナ感染対策は10分の1以下、大半が新自由主義経済政策に…坂上忍も「バランスおかしい」
悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、1カ月で半分を浪費! 事務局事業も電通がトンネル法人通じて140億円
三浦瑠麗のアマプラCMは削除されたが…amazonもうひとつの気になるCM! 物流センター潜入取材ルポが暴いた実態とは大違い
安倍首相“健康不安”説に乗じて側近と応援団が「147日休んでない」「首相は働きすぎ」…ならば「147日」の中身を検証、これが働きすぎか
正気か? 安倍首相の諮問機関「政府税調」がコロナ対策の財源確保と称し「消費税増税」を検討! 世界各国は減税に舵を切っているのに
東京女子医大がボーナスゼロで400人の看護師が退職希望! コロナで病院経営悪化も安倍政権は対策打たず加藤厚労相は “融資でしのげ”
『報ステ』大越の“万博礼賛”はテレ朝上層部の維新忖度か 『モーニングショー』でも吉村の“出禁”発言以降、万博批判が消える
萩生田光一 裏金2728万円でも“事実上お咎めなし”で高笑い! 岸田と森に取り入って安倍派も“独り占め”の悪夢のシナリオ
安倍派裏金で読売新聞「非公認以上の重い処分」報道の違和感! 実際は軽い処分を重く見せるために岸田首相周辺が印象操作
政倫審でも「法令遵守体制」を自慢して顰蹙! 世耕弘成の法令遵守とはかけ離れた「政治と金」疑惑の数々
世界的建築家の「カジノありきの万博」「あり得ない」の批判に、維新・大阪市長が「万博とカジノ関連ない」と失笑の大ウソ反論
政倫審 安倍派4人の嘘と矛盾を徹底検証! 萩生田も含め証人喚問は絶対必要だが、マスコミ報道は大谷の結婚一色
裏金に反省なし、岸田首相と自民党が死守する「企業団体献金」は事実上の賄賂だ! トヨタ、電通、経団連の大口献金と優遇政策
検察が動くまで裏金疑惑を1年放置したマスコミの弱腰 報道されなかった自民党の“政治と金”疑惑を総まくり
橋下徹の「政治と金」めぐる“維新アゲ”発言の「デマ」に抗議殺到、『めざまし8』が謝罪! 語られなかった維新の金まみれ実態
安倍首相が「官房機密費あるから、いくらでも出す」…馳浩の五輪招致買収工作発言で改めて注目される「官房機密費」の不正な使われ方
瀬戸内寂聴が生前、語っていた護憲と反戦…「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥」と語り、ネトウヨから攻撃も
「BTSグラミー賞逃す」報道に「韓国人のニュースいらない」「日本人の受賞を報じろ」と炎上攻撃が! 日本スゴイの精神的鎖国
ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』を読めば、安倍首相が病気で辞任ししたのでなく国民が声をあげ追い詰めたことがよくわかる
百田尚樹が「安倍総理にお疲れ様とメールしても返信なし、知人には返信があったのに」とすねると、2日後に「安倍総理から電話きた」
村上春樹が長編小説『騎士団長殺し』とエッセイ『猫を棄てる』に込めた歴史修正主義との対決姿勢! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
村上春樹がエッセイ『猫を棄てる』を書いたのは歴史修正主義と対決するためだった! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
安倍首相に利用された星野源がエッセイに書いていた“音楽が政治に利用される危険性” 「X JAPANを使った小泉純一郎のように」
“宇予くん”で改憲煽動のJCと手を組んだTwitter Japanはやっぱり右が大好きだった! 代表は自民党で講演、役員はケントに“いいね”
ウィーン芸術展公認取り消しを会田誠、Chim↑Pomらが批判! あいトリ以降相次ぐ“検閲”はネトウヨ・極右政治家の共犯だ
「ノーベル賞は日本人ではありませんでした」報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも「日本スゴイ」に回収
幸福の科学出家騒動は清水富美加個人の責任なのか? カルト宗教信者の子どもたちが抱える問題
話題の本『夫のちんぽが入らない』のタイトルに込められた深い意味…しかし一方では広告掲載拒否の動きが
福島の子ども甲状腺がん検診「縮小」にノーベル賞の益川教授らが怒りの反論! 一方、縮小派のバックには日本財団
介護殺人に追い込まれた家族の壮絶な告白! 施設に預ける費用もなく介護疲れの果てにタオルで最愛の人の首を…
宇多田ヒカル「東京はなんて子育てしにくそう」発言は正しい! 英国と日本で育児への社会的ケアはこんなに違う
今もやまぬ人工透析自己責任論の嘘を改めて指摘! 糖尿病の原因は体質遺伝、そして貧困と労働環境の悪化だった
『最貧困女子』著者が脳機能障害に! 自分が障害をもってわかった生活保護の手続もできない貧困女性の苦しみ
雨宮塔子が「子ども捨てた」バッシングに反論! 日本の異常な母性神話とフランスの自立した親子関係の差が
『NEWS23』に抜擢された雨宮塔子に「離婚した元夫に子供押しつけ」と理不尽バッシング! なぜ母親だけが責任を問われるのか
小島慶子が専業主夫の夫に「あなたは仕事してないから」と口にした過去を懺悔!“男は仕事すべき”価値観の呪縛の強さ
人気記事ランキング
カテゴリ別ランキング
社会
ビジネス
カルチャー
人気連載
アベを倒したい!
ブラ弁は見た!
ニッポン抑圧と腐敗の現場
メディア定点観測
ネット右翼の15年
左巻き書店の「いまこそ左翼入門」
政治からテレビを守れ!
「売れてる本」の取扱説明書