ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第5号

同僚へのメールの語尾に“ござる”で解雇!? 入社2カ月での理不尽減給に抵抗した社員を解雇したその驚愕の理由

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 賃金減額、解雇の話をするでござる。最近担当した事件の中では、もっとも「トンデモ事件」だと思うでござる。

 読者の皆さんは「この弁護士はふざけてるのか!『ござる』『ござる』言って!」とお怒りかもしれない。別にふざけていない。ご紹介する事件は、同僚に送ったメールの語尾に「ござる」と付たことが解雇理由の一つにされていたのでござる。

 Aさんからの最初の相談は、賃金を減額されたことだった。Aさんは、とあるベンチャー企業Z社に月給30万円で入社したが、与えられた仕事ができていないとして、入社2カ月にして仕事を変えられ、月給も20万円に減額されたという。2カ月は早すぎる。……まぁ、早さはともかくとして、賃金を減額するには原則として労働者の同意が必要となる。同意がなければ、就業規則などの根拠が必要であり、その就業規則の内容も合理的なものでなければならない(たとえば、使用者が自由に減額できたり、大幅な減額をしたりすることを定めてもダメだ)。

 Aさんから就業規則を見せてもらったが、特に賃金を減額する根拠は見当たらない。では、Aさんは「同意」したのか。Aさんの話によれば、賃金減額の話をされたとき、「分かりました」と答えたそうだ。……微妙である。Aさんとしては、「会社の考えは分かった」という趣旨だったそうだが、賃金減額に同意したとされる可能性もある。しかし、労働事件を扱う私たちの界隈では、ある大事な考え方がスタンダードとなっている。それは、労働条件を不利益に変更する際の労働者の同意については、その同意が労働者の自由な意思に基づいてされたであろう合理的な理由が客観的になければならない、という考えだ。不利益の内容や使用者の説明などからして、労働者がしっかりと不利益を理解したうえで同意したといえるのか厳しく判断する。労働者は使用者より弱い立場に置かれており、使用者からの不利益な提案を拒否するのは大変なことだ。そういう実態からすれば当然の考えである。Aさんの件も、よくよく考えると、2カ月しか働いていないのに10万円の大幅な減額である。そんなのに普通は同意しない。しかし、入社したばかりのAさんは、職を失うのが怖くてはっきり拒否できなかった。Z社はそこにつけこんだ。そんな賃金減額は認められない。私からのアドバイスを受けたAさんは、それから毎月、Z社に対して減額分の賃金を請求する内容証明郵便を送り続けた。

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