死刑確定、木嶋佳苗被告の「再審請求しない」発言の裏にあった母親との確執、そして裁判所への絶望

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繰り返される冤罪事件と裁判所の罪

 だが日本の裁判所において、今回のように状況証拠や自白の強要だけで有罪判決が出され、しかし実際は冤罪だったということは、決して稀有なことではない。足利事件、東電OL事件、袴田事件、そして昨年8月に再審無罪となった大阪東住吉の両親による小6女児焼死事件──。なかでも深刻なのが、死刑判決での冤罪だろう。その典型例が1992年、福岡県飯塚市で起きた“飯塚事件”だ。

 この事件は小1女児2人を殺害したとして久間三千年元死刑囚が逮捕され、06年に死刑が確定、2008年に執行された。しかし、久間元死刑囚は一貫して無罪を主張。さらに有罪を決定付けたDNA鑑定は、精度の低いDNA鑑定が冤罪を引き起こした足利事件と同時期に同じ鑑定方法で行われたものだった。つまり、飯塚事件のDNA鑑定も精度の低いものであり、鑑定の信憑性そのものに疑いが生じたのだ。そのため久間元死刑囚も再審請求を準備していたとされるが、その最中、しかも足利事件で東京高裁がDNAの再鑑定を認める可能性が高まっていたというタイミングで死刑が執行されたのだ。

 死刑という刑罰は執行されてしまえば、もし冤罪が明らかにされても、その命が戻ることはない、取り返しのつかない事態なのだ。

 さらに本サイトで何度も指摘していることだが、多くの場合、最高裁判所を含む裁判所は、真実を見極めるどころか、不当な捜査をした警察や証拠を隠蔽する検察を疑うことなく全面的に擁護することを繰り返してきた。足利事件でも一審、高裁、最高裁と3度も有罪判決を導き出し、冤罪を事実上、後押しした。さらに1997年に弁護側が行ったDNA鑑定が不一致だったにも関わらず、最高裁はこれを無視、その後の再審も退け続けた。袴田事件でも、不自然で杜撰な証拠や物証を問題にせず、1980年に死刑判決が確定。再審が決定したのは、なんと30年以上も経った2014年だった。また飯塚事件でも、死刑執行後に遺族が再審請求を行っているが、今年2月、福岡高裁は、遺族の求める血液型鑑定の検証さえ行うことを拒否している。

 元判事である瀬木比呂志氏も、その著書『ニッポンの裁判』(講談社)のなかで、裁判所の実態を「(刑事系裁判官の)多数派は検察寄りであり、警察、検察が作り上げたストーリーについて一応の審査をするだけの役割にとどまっている。つまり『推定無罪』ではなく、『推定有罪』の傾向が強い」と指摘しているほどだ。

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