野党が安倍政権に勝てないのは経済政策のせいだ! 民進党は緊縮財政路線を捨て庶民のために金を使う政策を

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 しかも、実はこうした図式は日本に限ったことではなく、広く先進国全般で見られることだと松尾氏は指摘する。その典型が、アメリカ大統領選を席巻したトランプ現象だ。勝利したドナルド・トランプ氏が選挙戦後半に徹底攻撃していたのが、政治的エスタブリッシュメントだ。政治的エスタブリッシュメントとは、これまで政治の主流を占めてきたのは中道右派・保守政党と中道左派・米国リベラル派といった左右の「真ん中」に近い勢力だ。ところが、そんな左右の中道が進めた新自由主義的グローバリズムで国民が幸せになったかというと、まるでそんなことはなかったことに一般庶民が目を覚ました。そこで、そうした人々の声をくみ上げ、代弁したのがトランプ氏であり、民主党最左派の「社会主義者」バーニー・サンダース氏だったというのだ。

 同じことがヨーロッパでも起こっている。フランスやスペインでは中道勢力が軒並み地盤沈下し、極右と極左が不気味な台頭を続けている。イギリスでは、2015年の労働党党首選で泡沫候補と見られた最左翼候補のジェレミー・コービン氏が圧勝し、ブレア元首相以来の「中道」路線に幕が引かれた。緒戦で泡沫扱いされていたのは、まるでトランプ現象と見紛うばかりだ。一方の保守党側でも、EU市場にばかり顔を向けて緊縮路線を続けるデーヴィッド・キャメロン首相らの主流派勢力に対して“もっと右”のEU離脱派が公然と反旗を翻した。結果、国民投票で「EU離脱」が多数を占める事態になった。

 こうした状況について松尾氏は、〈八〇年代のサッチャー時代以来緊縮を続けてきたグローバル市場推進の新自由主義路線によって、大企業と大金持ちばかりがもうかる一方で、多くの人々が生活を壊され、はなはだしくは満足な医療や介護を受けられなくて命を落とし、大量の若者が職につけず、怨嗟が渦巻いているから〉だと分析する。

 本来、これに対抗するはずの左派のリベラル勢力も、90年代の英労働党ブレア政権の「第3の道」や米民主党クリントン政権以来、グローバル企業ばかりを優遇し、かつての「大きな政府」による福祉国家から「小さな政府」を標榜するようになっていた。こうした状況に対して、“もっと右”“もっと左”からの異議申し立てが起きているというのである。

 松尾氏はこの動きの背景に共通するものがあると指摘する。

〈だからそのスローガンは「反緊縮」である。「政府は民衆にもっとお金を使え!」ということである。これを、世界的普遍性を持った階級連帯の論理で言うか、自国民優先の身内扶助の論理で言うかが左右で違っているのである〉

「反緊縮」。要は政府が民衆のためにお金を使う――有権者はそんな政策こそ求めているというのだ。

 そこで思い出すのが2009年に民主党(現・民進党)が政権交代を果たしたときに掲げた政策の数々だ。「コンクリートから人へ」をスローガンに、子ども手当、高校無償化、高速道路の無料化、農家の戸別補償、ガソリン暫定税率撤廃……と、いずれも政府が国民のためにお金を使う政策ばかりだった。対する自民党は、これを「バラまき」と批判した。結果はご存知のとおり、財務省の言いなりになって「緊縮」を唱える自民党に、民主党は307議席と圧勝した。

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