過熱する高畑裕太レイプ事件報道で被害者のプライバシー暴き、セカンドレイプが横行! ネットでは被害者の年齢中傷も

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「40のババア大袈裟すぎんだよ、金が欲しいだけだろ」
「40代のババアが女として見られただけいいと思えよ。何通報してんだよ」
「高畑裕太許してあげなよ どうせ40のババアだし てかいいじゃん俳優とやれたんだし」

 40代のババアは被害を受け入れろ、黙っていろ──。つまり、女性の価値を年齢で推し量り、犯罪を犯罪とも捉えていないのである。

 もちろん、現在の日本で性暴力のターゲットになっているのは圧倒的に10〜20代の女性たちではあるが、2014年度の犯罪白書によると、強姦犯罪の被害者は40代が4.4%、50代が1.0%、60歳以上が1.1%。昨年には愛知県で、農作業中の80代の女性が38歳の男性に襲われ、強姦未遂で逮捕される事件も起こっている。

 こうして実際に年配の女性が性暴力の被害に遭っているにもかかわらず、今回のネット上の反応のような社会の視線に晒されることを恐れて、被害の実態を訴えていない女性が多くいることは想像に容易い。すべての性暴力の被害者が被害を訴えにくい世の中ではあるが、中年や高齢者の場合、肉親や配偶者、子どもに知られたくないという思いや、今回のように世間からの「いい年して」という年齢差別や犯罪を過小評価する視線が、被害者たちに泣き寝入りを強いているはずだ。

 しかも、今回のテレビ報道が被害者のプライバシーへの配慮があまりになさすぎる要因に、この年齢の問題があるのではないか。性犯罪の被害者に対しては、週刊誌などは被害者特定につながりかねない情報を出すことがあるが、テレビはそれにくらべればまだ慎重に扱っている。それが今回は、そうした配慮がまったく見えない。相手が芸能人であることだけではなく、被害者女性を「年齢も年齢だから」と、どこかで軽んじて扱っているのではないか。社会の反応を見ていると、そんな気さえしてくるのだ。

 あまりに当然のことだが、性犯罪の恐怖、尊厳を台無しにされることの暴力性、そして犯罪は犯罪であることに、年齢は関係ない。だが今回、「年増は被害者面するな」という価値観が露呈したように、この社会は女性への年齢差別に無関心すぎる。これから先、事件が司法の場に移れば、「なぜ抵抗しなかったのか」「回避できたのではないか」という被害女性をさらに貶める意見が必ず出てくるだろうが、そのまえに、テレビ報道関係者と被害者叩きをしている者たちは、自分が第二の加害者になっていることをしっかり認識するべきである。
(田岡 尼)

最終更新:2016.08.25 11:04

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