熊本大地震「激甚災害指定」に消極的な安倍官邸が3年前、山口県の豪雨ではすぐに指定を明言していた! なぜ?

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 それは、2013年7月28日に発生した、山口県と島根県での豪雨災害のときのことだ。死者・行方不明者は4人、家屋被害は全壊49棟、半壊66棟におよび、安倍首相の地元・山口県も大きな被害を受けた。

 すると、それから4日後の8月1日の会見で、菅義偉官房長官が「山口、島根両県で先月起きた記録的な豪雨被害を激甚災害に指定し、復旧を支援する」という考えをはっきり示したのだ。

 しかも、菅官房長官はこのとき、「激甚災害の指定には時間がかかっていたが、できるだけ速やかに地元の要望に応えるようにと指示した」と、迅速化のために指定の手続きを変えることまで明言したという。

 当時の報道には、〈被害額が確定していない段階でも速やかに激甚災害に指定できるよう運用改善を指示したことを明らかにした〉(毎日新聞)とある。「事務的な数字を積み上げていかないと法律的にできない」という今回の安倍首相の答弁と完全に矛盾する対応ではないか。

 菅官房長官の、地元の要望を先回りするような素早い態度表明は、おそらく、山口県が安倍首相の地元だからだろう。

 実際、安倍首相自身の態度も今回とはまったく違うものだった。安倍首相は熊本大地震ではいまだ視察を見送っているが、このときの豪雨災害では、避難勧告が一部でまだ出ていた8月4日に現地を視察。山口県のJR山口線や県道萩津和野線の被災現場を視察した際、報道陣に対し、「早く復旧が進むよう全力を挙げる」と言い、被災地復旧のために交付税の繰り上げ交付、そして激甚災害指定をすると明言した上、こうはっきり語っている。

「激甚災害指定に向けた作業を加速化させるよう関係閣僚に指示した」

 この態度は今回の「今日、明日、明後日ということになったとしても災害支援には何のかかわりもないこと」という発言と大違い。ようするに、安倍首相も菅官房長官も、首相の地元の問題となったら、「手続きが」などと面倒なことは一切言わず、閣議決定のないままに指定を明言。やり方を変えて、迅速に指定することまで口にする、サービスぶりを見せるのだ。

 激甚災害指定を急がせる発言をしていた自民党幹部は他にもいる。民主党政権下の2011年9月、台風12号で和歌山県などが甚大な被害を受けたが、その和歌山県を地元とする自民党の大物、二階俊博・現自民党総務会長だ。

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