朝日誤報と国連の批判は無関係…安倍政権の慰安婦問題スリカエを暴く

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
asahiianhu_01_140814.jpg
吉田証言に続きクマラスワミ報告まで?(イメージ画像は『朝日新聞』8月5日朝刊より)


 彼らはあの報告書をちゃんと読んでいるのか。最近の慰安婦問題をめぐるメディアの雄叫びを聞いていると、そんな疑問を抱かざるをえない。

 吉田証言の取り消し以降、勢いづいている産経、読売をはじめとする保守メディアは朝日の全面謝罪にも納得せず、今度は「朝日の誤報が国際社会の誤解を生んだ」「国連のクマラスワミ報告撤回を要求せよ」という大合唱を始めた。

「クマラスワミ報告」というのは1996年に国連人権委員会が採択したスリランカの女性法律家、クマラスワミ氏による慰安婦問題の調査報告書のこと。日本軍の従軍慰安婦を「性奴隷」と認定して日本に法的責任をとることを求めたことから、「河野談話」とともに右派陣営から目の敵にされてきた。そして、このクマラスワミ報告の「性奴隷」という認定に根拠を与えたのが、朝日新聞の「吉田証言」報道だった。つまり、朝日が「吉田証言」を取り消したのだから、クマラスワミ報告も無効だし、朝日はその責任を取れというのが、読売、産経をはじめとする保守メディアの主張なのだ。

 いや、メディアだけではない。菅義偉官房長官は9月5日の記者会見で「(クマラスワミ)報告書の一部が朝日新聞が取り消した(吉田証言に関する)記事の内容に影響を受けていることは間違いない」とわざわざ強調。「朝日新聞は記事を取り消したが、慰安婦問題に関して国際社会で誤解を生じている」とまで言っている。

 そして、この会見を受けた読売は〈世界の誤解、払拭多難…「性奴隷国家」吉田証言から〉などと大々的に報じた。

 安倍晋三首相もすかさず「夕刊フジ」のインタビューで「(朝日の報道で)多くの人が悲しみ、苦しみ、国際社会において日本の名誉が傷つけられている」と、まるで朝日の報道がなければ国連の報告書そのものが存在しなかったように語っている。

 だが、これらの主張はどう考えてもおかしい。それは、実際にクマラスワミ報告を読めば明らかだ。ちなみに「クマラスワミ報告書」の全文日本語訳はアジア女性基金のホームページにアップされているので誰でも読める。

 たしかにクマラスワミ報告に「吉田証言」が引用されているのは事実だが、それはA4判50ページ近い報告書のうち数行にすぎない。しかもそれは、本題に入る前の「歴史的背景」という項目で先行調査のひとつとして紹介されているだけで、報告書の根幹ではない(吉田証言と同様に信用性が問題視されているジョージ・ヒックスの著作もこの「歴史的背景」の項目で引用されている)。

 クマラスワミ報告書が立脚しているのは、報告書の正式タイトルにある「朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国及び日本への訪問調査」からもわかるように、元慰安婦や元兵士らからの聞き取りである。吉田証言が虚偽であっても、クマラスワミ報告書の有効性とは何の関係もないのだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

朝日誤報と国連の批判は無関係…安倍政権の慰安婦問題スリカエを暴くのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。エンジョウトオル慰安婦朝日新聞歴史観の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 長渕剛が安倍政権を批判する新曲を発表
2 トランプ差別発言に有本香と玉川徹が
3 『永遠の0』は恐い!元特攻要員が批判
4 Nスペ731部隊検証にネトウヨ錯乱!
5 ウーマン村本こそ“最強反戦芸人”だ!
6 吉永小百合が「9条は変えさせない」
7 トランプ的どっちもどっち論横行の日本
8 日本の外務省が文大統領と同様の発言
9 葵つかさが「松潤とは終わった」と
10 綾瀬はるかが毒ガス製造の元兵士を取材
11 ネトウヨ高須院長に息子が苦言!
12 テレ朝が萩生田に全面謝罪した背景
13 欅坂46平手欠席の背景にブラック労働
14 寂聴「憲法を汚した安倍は世界の恥」
15 幹部から新人までほとんどが商売右翼
16 『朝生』で百田尚樹が徹底論破され大恥
17 水木しげるが描いた慰安婦「地獄だ」
18 イノッチが夫婦別姓反対派を一蹴!
19 グッディ!土田マジギレ真の原因
20 ローラが所属プロと奴隷契約トラブルも
1吉川晃司が安倍の核禁止条約拒否を批判
2長渕剛が安倍政権を批判する新曲を発表
3加計幹部が官邸訪問、安倍と下村が
4久米宏、さんま、村本も東京五輪批判
5綾瀬はるかが毒ガス製造の元兵士を取材
6テレ朝が萩生田に全面謝罪した背景
7高橋洋一ら安倍応援団が特区ビジネス
8市原悦子が語る戦争と安倍政権への怒り
9長崎のメッセージも安倍には届かず!
10安倍応援団が発狂状態でメディア攻撃
11グアム北ミサイルは存立危機事態でない
12仲代達矢と桂歌丸が語った戦争体験
13手塚治虫が描いた戦争をいま読み直す
14閉会中審査、小野寺防衛相も隠蔽体質
15寂聴「憲法を汚した安倍は世界の恥」
16幹部から新人までほとんどが商売右翼
17極右丸出し”日本ファースト”は小池命名
18ネトウヨが『ひるおび』を勘違い攻撃
19安倍の「人づくり」名称のルーツは?
20岸田『ひるおび!』出演にネトウヨが
PR
PR 飲むだけで女性のカラダの悩みを解消!?

人気連載

アベを倒したい!

室井佑月

室井佑月が斎藤貴男と「共謀罪」を徹底批判!「安倍政権に逆らう人が片っ端から逮捕される」

アベを倒したい!

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄

"体育会系相田みつを"松岡修造は本当に「ブレない男」なのか? 年を追うごとに変わっていく修造語録を読み解く

「売れてる本」の取扱説明書

ネット右翼の15年

野間易通

高市早苗はいかにして"ネオナチ"と出会ったか

ネット右翼の15年

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

戦争を放棄せよ! 軍事力がなくても侵略と闘う方法はある、自由のために闘える!

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」