朝日誤報と国連の批判は無関係…安倍政権の慰安婦問題スリカエを暴く

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吉田証言に続きクマラスワミ報告まで?(イメージ画像は『朝日新聞』8月5日朝刊より)


 彼らはあの報告書をちゃんと読んでいるのか。最近の慰安婦問題をめぐるメディアの雄叫びを聞いていると、そんな疑問を抱かざるをえない。

 吉田証言の取り消し以降、勢いづいている産経、読売をはじめとする保守メディアは朝日の全面謝罪にも納得せず、今度は「朝日の誤報が国際社会の誤解を生んだ」「国連のクマラスワミ報告撤回を要求せよ」という大合唱を始めた。

「クマラスワミ報告」というのは1996年に国連人権委員会が採択したスリランカの女性法律家、クマラスワミ氏による慰安婦問題の調査報告書のこと。日本軍の従軍慰安婦を「性奴隷」と認定して日本に法的責任をとることを求めたことから、「河野談話」とともに右派陣営から目の敵にされてきた。そして、このクマラスワミ報告の「性奴隷」という認定に根拠を与えたのが、朝日新聞の「吉田証言」報道だった。つまり、朝日が「吉田証言」を取り消したのだから、クマラスワミ報告も無効だし、朝日はその責任を取れというのが、読売、産経をはじめとする保守メディアの主張なのだ。

 いや、メディアだけではない。菅義偉官房長官は9月5日の記者会見で「(クマラスワミ)報告書の一部が朝日新聞が取り消した(吉田証言に関する)記事の内容に影響を受けていることは間違いない」とわざわざ強調。「朝日新聞は記事を取り消したが、慰安婦問題に関して国際社会で誤解を生じている」とまで言っている。

 そして、この会見を受けた読売は〈世界の誤解、払拭多難…「性奴隷国家」吉田証言から〉などと大々的に報じた。

 安倍晋三首相もすかさず「夕刊フジ」のインタビューで「(朝日の報道で)多くの人が悲しみ、苦しみ、国際社会において日本の名誉が傷つけられている」と、まるで朝日の報道がなければ国連の報告書そのものが存在しなかったように語っている。

 だが、これらの主張はどう考えてもおかしい。それは、実際にクマラスワミ報告を読めば明らかだ。ちなみに「クマラスワミ報告書」の全文日本語訳はアジア女性基金のホームページにアップされているので誰でも読める。

 たしかにクマラスワミ報告に「吉田証言」が引用されているのは事実だが、それはA4判50ページ近い報告書のうち数行にすぎない。しかもそれは、本題に入る前の「歴史的背景」という項目で先行調査のひとつとして紹介されているだけで、報告書の根幹ではない(吉田証言と同様に信用性が問題視されているジョージ・ヒックスの著作もこの「歴史的背景」の項目で引用されている)。

 クマラスワミ報告書が立脚しているのは、報告書の正式タイトルにある「朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国及び日本への訪問調査」からもわかるように、元慰安婦や元兵士らからの聞き取りである。吉田証言が虚偽であっても、クマラスワミ報告書の有効性とは何の関係もないのだ。

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