久米宏が終了決定のTBSラジオ番組で田中眞紀子とタブートーク! 自民党と電通の癒着、岸信介のA 級戦犯・無罪問題まで

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『久米宏 ラジオなんですけど』(TBSラジオ)HPより


 久米宏がパーソナリティを務める『久米宏 ラジオなんですけど』(TBSラジオ)が6月27日で終了することが明らかになった。昨年12月の聴取率調査でもトップ2に入るなど、高い人気を誇っているにもかかわらず、突然、番組終了が発表されたことで、「同番組が厳しい安倍政権批判をしていたことが原因ではないか」「政権批判よりも久米宏が東京五輪やそれにからんで電通のことを糾弾したことが逆鱗にふれたのでは」など、様々な憶測が飛び交っている。

実際、TBSラジオ では、大手広告代理店出身の三村孝成氏が社長に就任して以降、硬派番組『荒川強啓 デイ・キャッチ!』も打ち切りになっており、今回も上層部からなんらかの圧力があった可能性はあるだろう。

 番組終了の詳細については稿を改めて検証したいが、注目したいのは、終了が発表されてから、当の久米宏と番組の舌鋒がさらに鋭くなっていることだ。番組終了まで残り3回となった13日には、田中眞紀子元衆院議員をゲストに招いて、安倍政権批判と電通批判、さらには安倍首相の祖父・岸信介をめぐるタブーにまで踏み込んだ。今回はその内容をぜひ、抜粋して紹介したい。

 久米と田中は早稲田大学時代、同じ演劇サークルに席を置いていた仲だが、番組は冒頭から絶妙な掛け合いで始まった。

久米「昨今の政治ですけど、安倍政権に関しては田中眞紀子さん、どうご覧になってます?」
田中「どうご覧になってるって、その顔見ればわかるでしょ」
久米「誘導尋問やってるんですから(笑)。じゃあ顔つき変えましょ」

 このあと、いったん、別の話題に移るが、しかし、「今どこの官庁もキャリアの知ってる人たちと話しても、みんなやる気をなくしているの」という田中の言葉から、日本の政治に対する批判が一気にヒートアップする。

久米「それが聞きたいんです。日本の役人は優秀だ、政治家はダメでも、日本は何とか霞が関でもっているんだと言ってたけど、でも最近の霞が関のひどさったらないじゃんですか。どうして急にあんなひどくなったのか」
田中「上が悪いから。政治家が悪いから。決まってるじゃないですか」

 久米が「誰のこと、言ってるんです?」とつっこむと、田中は「あなたが答えなさい。どうぞ(笑)」とかわしながらも、こう吠え始める。

「ようするに結論から言っちゃえば、今の政治のシステムね、選び方、すべて変えなきゃいけないし、中央だけじゃなく地方もいっぱいお金をもらった、わけのわかない人たちがですね、今の自民党なんてもう結論、あなたが一番おっしゃりたいことでしょうけど、お金で動いていてですね、誰が金権政治家だなんて批判してたの? (安倍政権が)今、一番やってる、バラマキやってるじゃないですか」

久米「持続化給付金は電通の五輪損失穴埋め」田中「自民党は電通にメディア監視させている」

 この「バラマキ」という言葉を受けて、久米は持続化給付金と電通の問題に、こう切り込んだのだ。

「僕、なんでバラマキを電通が引き受けるかわかんないんですよ。僕が思うには、電通ってのオリンピックがなくなっちゃったんで、今年、ものすごくお金が入ってこないんです。大量な金が電通には流れ込むはずだったんです、今年。で、それがなくなった分を穴埋めしてるんじゃないか、自民党は。それ何千億円か何百億円か、電通に下請けにして電通がまた下請けに出して……じゃないの、って僕は思っている。誰もそれ言わないんです。民放で電通の悪口言う人、いないですもん。僕ぐらいしか。電通の悪口は、絶対言えない」

 持続化給付金の不可解な電通への丸投げ再委託は、オリンピック延期のための穴埋めなのではないか。しかし、電通はタブーであるためマスコミはそうした疑問や批判を呈することはしない──。

 なんとも衝撃的な分析だが、田中も負けてはいない。追い打ちをかける。なんと、安倍政権・自民党の情報操作に電通が関与しているとして、こう語ったのだ。

「それだけじゃないですよ。電通に、自民党はですよ、各メディアの、このTBSも、あなたが前いらっしゃったテレ朝もそうだけど、全部リサーチさせてですね、誰がどの記者が、どのディレクターがどういう発言してるかということを(調べさせている)。あなたも以前おっしゃってたことあったじゃないですか。幹事長室からとか、官邸からストレートに注意してくるわけですよ。まあ今だったら産経、読売、それ以外についてはですね。こんなメディア規制をやってる国がね、どこにありますか!」

 本サイトも先日の記事で、電通が自民党から、選挙CM、広報だけでなく、ネットのSNS監視やSEO対策、情報操作などを“受注”していた事実を指摘したが、田中は、テレビや新聞のリサーチ、監視も、自民党から依頼されて電通がおこなっていると指摘したのだ。

 政権与党の情報操作に電通が関与していることが民放キー局系のラジオで堂々と語られたのは初めてではないだろうか。

久米「安倍首相はなぜ米国の言いなりなのか」に、田中が持ち出したA 級戦犯・岸信介の無罪放免問題

 その後も、2人の激烈な政権批判は続く。田中が小泉政権、安倍政権と続く「アメリカのポチぶり」を批判し、「アジア、ヨーロッパの小さな国と緊密な関係を築いて、自立した国になるべきだという論を展開すると、2人の間でこんなやりとりが展開された。

久米は「そのくらいのこと、安倍さんはわかってないんですか?」
田中「わかってないでしょ」
久米「どうして?」
田中「あまり利口じゃないから。勉強してない」
久米「なるほどね、すごい同感します」
田中「そういうことです」

 また、財政赤字の問題に話が及ぶと、田中は歳出の見直しを主張し、タブーともいえる防衛費に切り込んだ。

「アメリカ製の武器、購入。行っちゃあゴルフやってきて、言われるとトランプとやるとOK、OK。ゴルフはOKでもね、OとKしか言えないんですかね。安倍さんの頭では。そういうことでオスプレイとかイージスアショアの迎撃ミサイルでしょ。F35売れ残っているようなものばっかり押し付けられて……。特に F 35はすでに 42機あるんですよ。防衛省に聞きました。ところが、2019年の閣議決定だからといって勝手に決定してさらに105機買うことにしてきちゃった。あの安倍ちんが」

 さらに、なぜ、安倍首相がアメリカの言いなりなのか、がテーマになると、田中と久米は安倍首相が信奉する祖父・岸信介とアメリカの特別な関係にまで踏み込んだ。

田中「日本はアメリカの属国じゃないんです。それを、岸信介さんという方が、安倍さんのおじいちゃんが……。東條内閣の主要閣僚だったのね、その後、助命してもらったから、ずーっと宿痾ですよ、彼も。それが頭の中にあった、トラウマね、言ってみれば。アメリカに物は言えない! おじいちゃん助けてもらったから。私、そうだと思っていますよ。それ以外、考えられない」
久米「だってあの人、今の首相ですけど、なんでじいさんの教えを守って、じいさんの後、くっついていくだけで精一杯なんですか?」
田中「お母様が生きているからでしょ」
久米「じいさんは1回巣鴨(プリズン)に入った人ですからね。あの人の考え方を未だに踏襲してるって」
田中「なんであの方だけが、巣鴨から出てきたんですか! 他は絞首刑になったのに」
久米「なんで、出てきたんですか? アメリカにイエスと言ったからなのですか?」
田中「外務省に私、何度も聞きました。みんな答えません。何があったんですか?  アメリカとの間に。そのへんから歴史をつまびらかにしなきゃダメですよ」

『久米宏 ラジオなんですけど』次回はゲストは玉城デニー知事、番組終了の真相も暴露か?

 2人が指摘していたのはもちろん、東條内閣の重要閣僚だった安倍首相の祖父・岸信介が、終戦後、連合国軍からA級戦犯容疑で巣鴨拘置所に収監されたにもかかわらず、不起訴になった問題だ。岸は満州官僚時代に軍部と結託してアヘン取引に手を染め、取引で得た巨額の利益を戦費に回し、一部を政治資金として活用して東條英機を首相にまで昇りつめさせた。さらには東條の片腕として商工大臣、軍需次官を務め、国家総動員体制、大東亜共栄圏の自給自足体制の確立を遂行するなど、戦時日本の寵児として辣腕を振るった。そういう意味では、まさにA 級戦犯として有罪になって当然の人物だった。

ところが、東條ら他7名のA級戦犯が処刑された翌日、岸は無罪放免になった。この裏には、岸とアメリカの裏取引があったとの見方が濃厚だ。実際、岸は戦後、公職復帰して政治活動を再開するや、CIAから資金提供を受けていたことがさまざまな資料から明らかになっている。

明言はしなかったが、田中と久米は安倍首相の「アメリカのポチぶり」の背景として、こうした岸信介とアメリカの裏取引問題まで示唆したのだ。これまで、こんな事実にまで踏み込んだラジオ番組ってあったのだろうか。

 あらためて、この番組がなくなることが残念でならないが、放送はあと2回残っている。次回20日の放送では、沖縄県の玉城デニー知事。そして、久米宏は番組の終了を発表した先週の放送で、残りの放送で番組終了の理由を丁寧に説明するとも宣言していた。どんな最後っ屁を聞かせてくれるのか。ぜひ注目したい。

最終更新:2020.10.12 11:42

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