小倉智昭、坂上忍がゴールデングローブ賞受賞式に「胸開けドレス着てセクハラダメとか言うな」と女性差別発言

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フジテレビ『とくダネ!』(上)、『バイキング』(下)番組サイトより


 今月7日に開かれた第75回ゴールデングローブ賞。多く報道されている通り、今回のゴールデングローブ賞では、ハーヴェイ・ワインスタイン騒動に端を発したセクハラ告発の流れを反映し、出席した映画業界関係者の多くが抗議の意味を込めた黒い服装で参加した。

 ところが、日本におけるゴールデングローブ賞の報道では、思わず耳を疑ってしまうようなものが少なからず散見されたのだ。

 まず、1月9日放送『とくダネ!』(フジテレビ)では、ゴールデングローブ賞で起きたことを説明するVTRが流れた後、司会の小倉智昭が開口一番こう言い放った。

「確かにセクハラはダメですけど、女優さんにあんなに胸強調されたら、男の人もたまりませんよね」

 また、10日放送『バイキング』(フジテレビ)では、松嶋尚美が「いいことだとは思いますけれども、あんなパコーッとおっぱい半分出てる服とか着るの止めたほうがいいんじゃないかと。肩出したりとか、スケスケとか、ノーブラとか、もう」とコメントしたのを皮切りに、おぎやはぎの小木博明は「おっぱい見えちゃってるんだもんね」と発言し、加えてそれに乗っかるようにして坂上忍は「セクハラダメだろって言ってるわけだもんね」とコメント。

 そして、挙げ句の果てには、こんな発言まで飛び出した。

「セクハラを受けたことによって売れた人たちっているじゃないですか、枕営業で。訴えた人のなかにもそれで売れた人ってたくさんいると思うんです。そういう人たちがいま訴えたところでどっちが悪い?」(小木博明)
「それはダメでしょ。合意のうえで、利害関係が一致したうえでなんじゃないですか?」(坂上忍)

 いったいこいつらは自分がなにを言っているのか、わかっているのだろうか。

 服装や公の場での表現と、セクハラ被害は何の関係もないのに、胸を開いているドレスを着ている女性はセクハラ批判するな。これは、女優たちが黒いドレスを着て授賞式に参加した意図を無に帰する発言であるのはもちろん、“グラビアアイドルやAV女優はセクハラされても文句言うな”と言っているに等しい。いや、きっと連中は本音ではそう思っているのだろう。

ゴールデングローブ賞がセクハラ撲滅を訴える一方、日本では……

 枕営業をめぐる問題も同様だ。「枕営業で売れた人間がいまさらセクハラ被害を告発するな」というのは、そういう男性が性関係強要で支配する枕営業の構造を温存したがっているとしか思えない。

 しかも、公共の電波でこんな時代錯誤な女性差別丸出し言説を平気で口にするというのは、いったいどういう神経をしているのだろうか。

 この反応は、アメリカの芸能界の動きとは雲泥の差だ。

 今回のゴールデングローブ賞で功労賞にあたる「セシル・B・デミル賞」を黒人女性として初めて受賞したオプラ・ウィンフリーによるスピーチは多くの人の感動を呼んだ。「男性たちの力に対し、女性たちが勇気を出して真実を語っても、誰にも聞いてもらえず、信じてももらえない。そんな時代があまりにも長く続きました。ですが、そんな時代はもう終わりです。タイムズアップ! 彼らの時間はもう十分なのです」(ウェブサイト「ELLE ONLINE」より)というスピーチは、スタンディングオベーションをもって迎えられたのだ。

 監督賞のプレゼンターを務めたナタリー・ポートマンは「候補者は全員男性だけどね」と一言付け加えることで男尊女卑的な映画業界に対する皮肉を込め、また、メリル・ストリープ、エマ・ワトソン、エマ・ストーンといった女優たちは、女性の権利向上を訴えるアクティビストたちを伴ってレッドカーペットを歩いた。

 しかも、今回のゴールデングローブ賞の動きには、女性だけでなく多くの男性が参加していた。タキシードに黒いシャツやネクタイを身につけて授賞式に参加。ジャスティン・ティンバーレイクやニック・ジョナスなどは「TIME’S UP」と記されたバッジをジャケットに着けていたが、これは「セクハラを黙認してきた時代は終わり」を意味するセクハラ撲滅キャンペーンの運動で、このバッジを付けているということは「#TIMESUP」運動へ賛同の意志を示すことを意味している。

 今回のゴールデングローブ賞が伝えようとするメッセージを知ってなお、本稿冒頭で挙げたようなコメントがワイドショーで出てくる状況には頭が痛くなるが、この国のメディアにおいての認識は、所詮その程度なのかもしれない。

 こういったゴールデングローブ賞の動きと対称的なのが、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日年越しスペシャル!絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時!』(日本テレビ)で起きた「ベッキータイキック炎上」を受けてのベッキーの対応だろう。

ベッキーが「ありがたかった」と言わざるをえない日本の芸能界の構造

 浜田雅功が顔を黒塗りにしたことでも問題となっている『絶対に笑ってはいけない』だが、同番組では「ベッキー 禊のタイキック」と題したドッキリが行われ、ベッキーは身体を押さえつけられたうえで芸人たちと同様の強烈なタイキックを受けた。不倫の「禊」という名の下に暴力をふるう。これはまるで姦通罪の発想ではないか。しかも、その場にいた過去に不倫を報じられたことのある男性に「禊」が問われることはなく、ベッキーだけにその「禊」とやらが加えられるグロテスク極まりない女性蔑視的な構図には批判が殺到したが、その炎上を受けたベッキーのコメントは、二重に権力からの暴力を感じさせるものだった。

「年末のバラエティー番組の代表格なので、そこに出演させてもらってうれしかったです。逆ドッキリされるっていうのもね、タレントとして本当にありがたかったなと思います」(6日放送『ミッドナイト・ダイバーシティー~正気のSaturday Night』JFN系)

 ジャーナリストの江川紹子は、ベッキーのラジオでのコメントを受け、ツイッターに〈こう言わざるをえない力関係を利用しての暴力に、よけい番組の問題性を感じます〉と投稿していたが、まさにその通りで、ベッキーに「タレントとして本当にありがたかったなと思います」と言わせてしまう状況こそに問題の本質がある。

 また、ベッキーのコメントを言葉通り捉えた人からは「ベッキーに自虐ネタをやらせることで、タレントイメージの復活を手助けするもの」などという番組擁護の意見が聞こえているが、仮にベッキーにとってプラスになったとしても(騒動がひと段落した時期にこんなパフォーマンスをしてベッキーにプラスがあるとも思えないが)、彼女がそのような扱いを受けるのがテレビで放映されるのは、確実に「不倫に関わった女性は暴力を受けても仕方がない」という価値観を拡散することになる。しかも、過去に何度も不倫が報じられている浜田に対して、このような暴力は行われない。男性の不倫には寛容で、女性にだけ制裁が加えられるという男女の不均等もここにはある。

 年末の目玉番組であり、多くのスタッフが関わっているであろう企画にも関わらず、ベッキーにタイキックを食らわせることについて誰からも疑問の声が出なかったことは、現在の日本のメディアにおける意識を象徴している。

 そのような状況では、ゴールデングローブ賞における俳優たちの思いを一顧だにしないような発言がワイドショーで平然と垂れ流されるのも当然というべきだろう。本当は、いつまでもそんな状況ではお話にならないのだが。

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