安倍政権はこれでも派遣法を改悪するのか? 派遣労働で貧困にあえぐ“普通の女性たち”

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「人がライフスタイルや希望に応じて働き方を主体的に選択し、キャリア形成できる」「働き過ぎを防止できる」「働く人のニーズに応える」……それらが妄言、妄想なのはこうした「正社員を望んでも叶わなかった」女性たちの実情からも明白であり、さらに数字でも証明されていることだ。

 日本の雇用者全体のうち、非正規雇用者は38.2%、そのうちの女性の割合は実に7割だという。さらに2013年の厚生労働省「派遣労働者実態調査」によれば、こうした派遣労働者全体の60.7%もが非正規雇用から正社員として働きたいとの希望をもっていることも明らかになっている。多くの女性たちにとって派遣労働は“ライフスタイルの選択”などではなく“不本意”な労働形態なのだ。若い女性も例外ではない。

「厚生労働白書(平成二十五年度版)によると、非正規雇用で働く人のうち、『正社員に変わりたい』との希望を持っている、いわゆる『不本意な非正規雇用』の状況にある人は三割を超えている(二十五〜二十九歳の女性層)。しかし、パートやアルバイトなどの非正規で働く期間が長くなればなるほど、正社員への転換は難しくなっている」

 それだけではない。20歳から64歳の単身女性の貧困は3人に1人という発表もある(2011年国立社会保障・人口問題研究所)。シングルマザー、単身女性だろうが、学歴、キャリアの有無さえも関係なく、貧困は進行しているのだ。

 現状でさえこうなのに、派遣法が改正されれば、さらに派遣社員は正社員にはなれず、企業にとって都合良く使われ、切り捨てられ、貧困へまっしぐらだ。

 現行では派遣期間が3年を超える場合、派遣を解消し企業が直接雇用しなくてはならなかったが、改正法では派遣を“入れ替えれば”いくらでも別の派遣を受け入れることが可能となる。企業や経済界にとっては好都合の法案であり、その先には派遣難民や生涯派遣社員の増加、そして派遣のさらなる固定化と貧困層の増大が待っているのだ。

「戦争の出来る国」安保法制と「貧困製造マシーン」労働者派遣法改悪。このまま安倍政権が続けば、日本は本当にずたずたにされ、奈落の底に落ちていく。
(伊勢崎馨)

最終更新:2017.04.18 12:54

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