高円宮典子女王の婚約相手が祀るのは、朝廷を祟る怨霊!?

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『出雲大社』(学生社)

 先日、千家国麿氏との婚約を発表した高円宮典子女王。お相手の千家氏が禰宜をつとめ、次代宮司となるだろう出雲大社とは、縁結びパワースポットとして人気を博す神社でもある。両家の婚約は「さすが、恋愛祈願に効く出雲大社!」といったほのぼのムードばかりが先行するが、果たしてそれだけに留まるニュースなのだろうか?

「プロポーズの言葉は、ございませんでした」

 発表会見にて典子女王が語ったように、また2007年より家族ぐるみの付き合いをしているとの情報からも分かるように、この成婚は現代における「普通の個人恋愛」とは一線を画すものだ。むしろここは「家と家との結婚」という面にこそ注目すべき。つまり歴史科学としては1700年、神話におくなら2000年ぶりに天皇家と出雲国造家が固く結びついた、という衝撃こそが重要なのである。

 そもそも出雲大社とは、「国譲り」の神話に端を発する。国津神である大国主は、天皇家の始祖とされる天照大神ら天津神に出雲の地を譲り(土着民が新興勢力に土地を明け渡した、というイメージが判りやすいだろうか)、交換条件として出雲大社を建立してもらう。そんな大国主を祀るため遣わされた神が天穂日命であり、千家氏はその子孫とされる。

「国を譲る代わりに立派な神社に祀ってくれ」という大国主の要求は、逆に言えば「祀らないと祟るぞ」という脅しともとれる。実際、出雲の神々は恐ろしい祟りを起こしているのだ。『古事記』によれば、大物主(大国主の別形態とも)の疫病によって多くの民衆が死んでしまった上、垂仁天皇の時代にも出雲大神(これもおそらく大国主)の祟りがあったとされる。

 これらがヤマト朝廷による『古事記』に記されている点に着目したい。天津神の子孫であるヤマト朝廷に、出雲を去らせた大国主への畏れがあればこそ、わざわざ祟り物語を記述したのだろう。もちろん「国譲り」を「土地収奪」と見るかについては議論の余地がある。梅原猛の『葬られた王朝 古代出雲の謎を解く』(新潮文庫)など、出雲関係のさまざまな書籍で語られている問題だし、なかには古代ロマンがゆきすぎて、かなりの無理がある本も見受けられる。ともあれ、あえてオカルト的な視点をとるならば、大国主とは菅原道真や平将門をもしのぐ日本ナンバーワンの怨霊であり、その怨念を封じるため造られたのが出雲大社なのでは……という見方もできるのだ。

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