石破茂の政策がアンチ安倍でキレキレ! 改憲より日米地位協定見直し、LGBT差別解消、東京と平壌に連絡事務所を

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石破茂総裁選特設サイトより

 ようやく自民党総裁選への正式な出馬表明をおこなった安倍首相だが、そこで述べた「骨太の議論をしていきたい」という発言に注目が集まっている。

 対抗馬の石破茂・元幹事長との論戦を避けるために出馬表明を引っ張り、公開討論や街頭演説の回数を減らすなどの“逃げ工作”をはかる人間が、「骨太の議論をしたい」などと言い出す……。それだけでも噴飯ものだが、しかも安倍首相は、党員・党友などに宛てて決意文と政策ビラを送っていたのだという。

 石破氏は昨日、政策発表会見を開いて「石破ビジョン」を公表し、ネットでも中継されるなど広く国民に対しても説明をおこなった。にもかかわらず、本来は国民に方針を示す必要・責任がより強くある現職総理は、国民より前に党内に政策を発表する──国民軽視もここに極まれりだろう。

 しかも、その「政策ビラ」に書かれている「5つの決意」の中身もすごい。何の成果も出していないのに「地球儀を俯瞰する外交の更なる展開」を謳ったり、多くの国民の賛同を得られていない「憲法改正」を打ち出して「新たな時代を切り開く」と勝手に決意するという政策のほかにも、「戦後最大のGDP600兆円を実現」「希望出生率1.8の実現」「訪日観光客4000万人を実現」などと書いているのだ。

 そもそもGDPについては安倍政権による“かさ上げ”疑惑がある上、「名目GDPが50兆円増加」と言いながら個人消費は一向に伸びず、実質賃金も低迷。結局、大企業しかアベノミクスの恩恵を受けていないのに、GDP600兆円を目指して何になるのか。さらに、待機児童や女性の雇用環境改善もおざなりにしている上、産まない・産めない女性の人権をも無視した杉田水脈議員の「生産性」発言や加藤寛治議員の「3人以上子どもを産め」発言の責任をとらせないでいて希望出生率を上げようとは、安倍政権が「女は産む機械」としか見ていない何よりもの証拠だ。また、訪日観光客を増やそうというのなら、まずは訪日観光客トップ2である韓国や中国に対する自民党議員のヘイト発言や敵愾心を煽る言動を諫めるべきだろう。

 このように、威勢のいい言葉や数字を並べるばかりで中身がスカスカな安倍首相の政策。他方、石破氏が発表した「石破ビジョン」は、そうした安倍首相の政策は何を隠しているのかを暴く、強烈なダメ出しになっていた。

 たとえば、石破氏は格差是正などに重点を置いた経済財政運営や「真の地方創生」の実現に向けた政策を公表したが、なかでも目を引いたのは「政治・行政の信頼回復100日プラン」なるものだ。

 森友・加計問題で失った政治・行政への信頼を取り戻す──。しかも、石破氏は昨日の会見で、こう断言したのだ。

「政治・行政の信頼回復は、まず官邸の信頼回復であります」

 そして石破氏は、内閣人事局の運営方針の見直しを提言。「官邸主導の政策推進プロセスの透明化」のほか、利害に関わる者と官邸の接触に明確なルールを設けるとし、「いつ、どこで、誰が、誰に会ったかという記録は明確でなければならない」「(面会記録の)保管は義務化」と打ち出したのである。

 本来ならば安倍首相こそが明言すべきルールだが、安倍首相の政策ビラには森友・加計問題による国民の政治・行政不信への言及は一切なし。完全に「終わったこと」にしてしまっている。つまり、何の反省もしていないのだ。このままでは政治の私物化が繰り返されることは目に見えているだろう。

「憲法改正より日米地位協定見直し」「東京と平壌に連絡事務所を」

 また、石破氏は会見のなかで、LGBTへの差別解消のための法案についても、「法律をつくることは必要」「差別をなくすということ、権利の侵害を除去するとともに活躍の場をさらに広げていくために、実効性のある法律であってほしい」と発言をおこなった。

 先の通常国会では、野党4党が「LGBT差別解消法案」を提出したが、その一方で自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」は「差別解消法案」ではなく「理解増進法案」を検討。しかしそれさえも党内の反発によって国会提出にはいたっていない。そんななかでの石破氏の発言は大きな意味をもつだろう。逆に言えば、杉田発言を受けて性的少数者に対する提言を盛り込むこともなく、挙げ句、総選挙のための山口県連との会合では安倍首相と杉田議員が同席していたというほど。「生産性」発言の何が問題か、いまだに安倍首相はまったく理解していないのである。

 さらに石破氏の政策で驚かされたのは、日米地位協定の改定に踏み込んだことだろう。

 石破氏は憲法改正について「スケジュール観ありきとは考えていない」「国民の深い理解を得ることが重要」としたが、一方、外交・安全保障政策に話題が及ぶと、アメリカ国内の自衛隊常設訓練場の創設を目指すと発言。そのためには日米地位協定の策定が必要だとし、こう述べたのだ。

「(日米は)お互いに対等でなければならない」
「在日米軍とのあいだには日本は家主、米軍はゲストという関係は十分構築可能なもの」

 憲法改正より日米地位協定の見直しを──。無論、石破氏の安全保障の考え方は自衛隊の役割を拡大させる危険なものではあるが、在日米軍に特権的な地位を与える現在の不平等な地位協定の改定を打ち出したことは、対米従属で思考停止、沖縄に負担を強いてばかりの安倍首相とはまったく対照的だ。

 このほかにも、石破氏は北朝鮮に絡んで「拉致問題、核ミサイル問題は圧力だけですべて解決する問題ではない」と切り込み、東京と平壌に連絡事務所を設けることで「北朝鮮の主張を公的に検証する仕組みをつくる」と提言。「拉致問題の全面的解決がなければ何も進展しないというものからは脱却しなければならない」と、安倍首相の怠慢を見事に暴いたのだ。

 石破氏の政策ビジョンは手放しで賛同できるものではないが、それでも、その中身は安倍首相の「不都合な真実」を暴露するものであることは間違いない。しかも、石破氏は昨日の会見でアベノミクスを検証した資料を配付。そこではGDPかさ上げ問題など安倍首相の嘘・まやかしにも踏み込んでいる。

 少なくとも石破氏は、どんな記者からの質問にも意味の通じる日本語でていねいに返答しており、ここが安倍首相と大きく違う点であることは一目瞭然。果たして、安倍首相の政策に真っ向勝負を挑む石破氏との公開討論会で、安倍首相はどんな醜態を晒すことになるのか。楽しみなところだ。

最終更新:2018.08.28 11:09

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